〔分析〕データでみる109回国試(その4) 出題分野の割合は?

こんにちは,編集部M.Tです.
今回で「データでみる国試」シリーズも4回目となりました.
あと少しだけ,お付き合い下さいね.

さて,今回は「出題分野の割合」をテーマに,国試を分析していこうと思います.

■出題数最多は公衆衛生!

まずは108回と109回で分野別出題数にどんな変化があったのか,
早速みていきましょう.

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例年と変わらず,最も多いのは公衆衛生でした.しかし,
「公衆衛生は直前にサクッと終わらせて,メジャー科目などに勉強時間を充てたい.」
「法律や統計の勉強は,やる気があまり起きないよ…」という本音もチラホラ….

ですが,国試の1割以上を占める公衆衛生の勉強を疎かにはできません!
そこで,今年の公衆衛生ではどんな問題が出たのか,確認してみましょう.

【109G7】
疾患と学校保健安全法による出席停止期間の基準の組合せで正しいのはどれか.
a 水痘・・・・・・解熱した後2日を経過するまで
b 風疹・・・・・・解熱するまで
c 麻疹・・・・・・解熱した後3日を経過するまで
d 百日咳・・・・・・出席停止の必要なし
e 鳥インフルエンザ(H5N1)・・・・・・特有の咳が消失するまで

こちらの答えはcで,正答率は96.8%でした.
出席停止期間については,108回でも問われていました.

【108G7】
学校保健安全法における風疹の出席停止期間の基準について正しいのはどれか.
a 発しんが消失するまで
b 解熱した後3日を経過するまで
c 発症した後5日を経過するまで
d すべての発しんが痂皮化するまで
e 症状により学校医その他医師において感染のおそれがないと認めるまで

答えはaで,解答率は91.0%でした.

出席停止や小中学校の定期健康診断のように,学校保健安全法などの中でも特に,
医師として必要な知識が国試で度々問われます
これまでに何度も問われている内容なので,
「正答率の高い=落としたくない問題」になるわけです.

公衆衛生の対策で一番大事なのは,なんといっても過去問を解くことです.
そして過去問を解いてわからなかった事項を
QB公衆衛生の解説などで確認すること.
さらに,過去問の周辺知識をサブノートなどで補充すれば,
自信をもって国試本番を迎えられますね!

公衆衛生の他に今年増えたのが,産科・婦人科
産科だけでも昨年から8問増えており,手を抜けない分野の1つですね!

では109回国試をみてみましょう.

【109G47】
25歳の初産婦.妊娠39週6日.陣痛発来のため入院した.陣痛は周期2分30秒,発作持続時間70秒.外診では第1頭位.内診で子宮口は7cm開大,展退度80%,児頭下降度はSP+3cm,子宮頸部は軟,子宮口の位置は前方である.胎胞は認めない.卵膜を介して矢状縫合を1時から7時方向に触知し,子宮口の中央部に小泉門を触れるが大泉門は触れない.

正しいのはどれか.
a 破水している.
b 反屈位である.
c 過強陣痛である.
d 分娩第2期である.
e 児頭は嵌入している.

正答率は84.0%と高めでしたが,実はこの1問を解くためには,
陣痛周期持続時間胎位胎勢正常分娩の経過など,
多くの情報を知識としてもっておくことが必要なのです….

分量が多いなら,図や表を使って効率よく勉強したいですよね…?
そこでオススメしたいのが,7月発売予定の『レビューブック産婦人科』です!
こちらの内容については,発売時期が迫りましたらメルマガなどで告知していきますのでお楽しみに!

■今年は麻酔科・放射線科が難しかった(?)

では次に,分野別の得点率をみてみましょう.
10%以上前回と比べて下がったものについては,色を付けました.

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消化管の得点率の低下は,正答率3.7%
109G68「胃底腺ポリープの生検組織」という問題が
大きく影響していると思われます.
5枚の病理画像の中から,胃底腺ポリープを選ぶものです.
過去問演習を通して,ぜひ確認してみてください.

また,中毒でも得点率が下がっていますが,
注目すべきは麻酔科・放射線科.なんと30%以上も得点率が低下しています.
「出題数が少なかったから」というのも確かにありますが,
実際に問題を見て,さらに理由を検討してみましょう.

【109G26】
術後鎮痛のため硬膜外腔に投与できるのはどれか.
a ケタミン
b モルヒネ
c アセトアミノフェン
d 副腎皮質ステロイド
e 非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉

【109G27】
放射線治療の通常分割照射で正しいのはどれか.
a 週に5日照射する.
b 1日に2回以上照射する.
c 全治療期間は12週である.
d 組織内照射において用いる.
e 1回の線量は5Gy以上である.

続けて2問,麻酔科・放射線科の問題を見ていただきました.
G26:答えはbの「モルヒネ」で,正答率は63.1%でした.
G27:答えはaの「週に5日照射する」で,正答率は31.4%でした.

この2問はともに実習で見ていれば容易に正答できる問題ですね.
しかし実際に見たことがない受験生も多かったようで,
その結果,正答率が伸びなかったようです.
最近の国家試験の傾向として,実習でどれだけ学んだかを問う問題が増えていますし,
まだ実習が残っている科については,ぜひ以下の点に注目しましょう.
・初診の患者さんの,病歴や身体所見
・必要な検査のオーダーと,そこから得られる情報
・治療の選択と,効果判定,経過に応じた対応

深く関われば,その分印象に残りやすくなりますので,
実際の現場で,診断から対応までの流れをしっかりと自分の目で確認してください!

そして臨床実習でインプットした現場の知識を忘れないために,
また,解答力をつけていくために,必ずアウトプットをしましょう.
これにはやはり,実際に国試の問題を解くことが効果的です!
自分が実習中に回る科のQBを解いて,知識の定着をはかりましょう.

今回は「出題分野の割合」から国試を分析しました.いかがだったでしょうか.

出題数や難易度を把握しておくと,勉強の優先順位を決める際に便利だとも思います.
国試の勉強,何をすべきかわからない!という方は,是非参考にしてみてください.

次回は「正答率からみる難問・割れ問」についてお届け予定です.
お楽しみに!

(編集部M.T)

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