[5年生向け] 国試からみる,臨床実習のポイント!(その3)実習で見るものは,国試でも問われる!(器具編)

こんにちは,編集部のM.Tです.
早速ですが,「国試からみる,臨床実習のポイント!」
今回から次々回までの3回に分けて,
「実習で見るものは,国試でも問われる!」をテーマにお送りしたいと思います.

■ 国試で出た画像問題!(器具編)

臨床実習のいいところと言えば
やはり実際に見て,聞いて,触れられることではないでしょうか?
診察・検査・手術などの手技も見たいポイントであるかと思いますが,
今回はその中で用いられる「器具」についてピックアップしていきます.

それでは早速,109回からこの問題です.

【109B24】
検査用の試験紙を次に示す.

 

109B24-300x202

この試験紙を用いて診断するのはどれか.
a 妊娠悪阻
b 前期破水
c 妊娠糖尿病
d 羊水過多症
e 妊娠高血圧症候群

BTB試験紙の画像が出されたこの問題,正答率は98.5%でした.
正解は「b 前期破水」です.
実際に現場で使われているシーンに遭遇していなくても,
膣内は弱酸性,羊水は弱アルカリ性という知識だけでも解ける問題でした.
この問題と比べて,
「実物を見ている方が解きやすかったな」
となるのが次の問題です.

【109I19】
女性生殖器から細胞診の検体を採取するために用いる器具の写真を次に示す.

 

109I19-300x173

これらの器具を用いて検査する共通の部位はどれか.
a 卵巣
b 卵管
c 子宮体部
d 子宮頸部
e 腟

正解は「c 子宮体部」で,正答率は76.0%でした.
また,受験生の23.4%が「d 子宮頸部」と解答していました.
子宮内膜細胞診でこれらの器具が用いられるのですが,
器具の形状のみを手がかりにこの問題を解くのは,
さすがに難しかったのではないでしょうか.

このような検査や手術で用いる器具を,
先生によっては清潔操作が終わったあとに,
「実際に触ってみる?」
と,学生に手渡してくださることもありますね.

そういった機会は皆さんぜひ大切にしてください.
何となく遠目に見るのではなく,
器具を実際に触って,近くで見ておくと,
形状や使い方が記憶に残ってよりよいと思います.
また,医師が使うものだけではなく,
患者さんが使う道具についても問われることがあります.
例えばこの問題です.

【109E55】
76歳の女性.歩行が不安定になったことを主訴に来院した.3年前にParkinson病と診断され内服治療を受けている.最近,小刻み歩行が悪化し転倒が2回あった.通所リハビリテーションを始め,歩行補助具の使用を勧められて相談のため受診した.小刻み歩行とバランス障害とを認める.徒手筋力テストで下肢は4に低下している.50歳時に関節リウマチと診断され,現在は寛解状態であるが,手指の変形は強く握力は5kg程度である.6年前に夫と死別し一人暮らしになったため軽費老人ホーム〈ケアハウス〉に入居している.歩行補助具の写真(①~⑤)を次に示す.

 

109E55-165x300

この患者に適切な歩行補助具はどれか.
a ①
b ②
c ③
d ④
e ⑤

病歴を読んで適切な歩行補助具を選ぶ問題でした.
本症例では握力が著しく低下しており,握らず使える器具が適しています.
正解は「b ②」,正答率は88.4%でした.
院内で実際に患者さんが使っているのを見て,
こういった器具も特徴とともに,印象に残しておきたいところですね.
今回紹介した以外にも,実際の器具の画像を用いた問題が
国試では何問か出題されています.

例えば,107~109回では
【107E8】「眼科診察器具により観察される部位」
【107G56】「生体弁と人工弁の比較」
【108H9】「点滴器具の部品」
【109H24】「車いすの基本構造と機能」
などが出題されていました.

皆さんがこれから国試対策の勉強をする中で,
「子宮内膜細胞診」や「弁置換」など,
検査法や術式の名称をたくさん覚えることになると思います.

そういった検査や手術が,
実際に何を使ってどんな風に行われているのか,
直接見て,聞いて,触って学ぶことができるというのが,
最初に書いたとおり,病院実習の大きなメリットの1つです.

そのメリットを十分に活かすためにも,
皆さん,常に周囲にアンテナを張って,
中身の濃い病院実習にしてくださいね.

また,それでも見逃してしまう器具もあるかと思います.
QB必修「国試に出る!医療器具セレクション」を使って,
そういった器具の知識の補充をして,
国試や研修医生活に臨んでもらえればと思います.
「国試からみる,臨床実習のポイント!」,
今回は「実習で見るものは,国試でも問われる!」をテーマに
現場にある器具についてお話しました.いかがでしたか?

次回は,現場で見る検査やその手技について,
お届けしたいと思います!お楽しみに!

(編集部M.T)

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