[5年生向け]国試からみる,臨床実習のポイント!(その5)実習で見るものは,国試でも問われる!(治療編)
こんにちは,編集部のM.Tです.
「国試からみる,臨床実習のポイント!」,第5回の今日は,
「実習で見るものは,国試でも問われる!」のラスト,
治療編をお送りしたいと思います.
■ 109回国試で出た問題!(治療編)
現代医療の目まぐるしい進歩によって,今や多くの治療法が確立されました.
国家試験では,これから現場に出る受験生が知っておくべき
様々な治療法について出題されます.
早速,109回の問題を見ていきましょう.
【109G27】
放射線治療の通常分割照射で正しいのはどれか.
a 週に5日照射する.
b 1日に2回以上照射する.
c 全治療期間は12週である.
d 組織内照射において用いる.
e 1回の線量は5Gy以上である.
正解は「a 週に5日照射する.」で,正答率31.4%でした.
解答率は,
a 31.4%,b 4.0%,c 44.4%,d 10.4%,e 9.8%
で,「c 全治療期間は12週である.」を選んだ人が多かったようです.
通常分割照射は,外部照射による放射線治療の基本となる方法ですが,
さすがに何の知識もなく理屈でアプローチするのは難しい問題ですね.
「毎日同じ患者さんが分割照射を受けていた」と,
実習で見たイメージを元に解答した受験生もいたようです.
あらゆる治療について,広く深く知っていることが当然望ましいですが,
国試までに全ての治療法を網羅することは,ほぼ不可能でしょう.
少なくとも実習で見たものについてはイメージを大事にし,
さらに余裕があれば,教科書やガイドラインに目を通しておくといいですね.
さらにもう1問,治療についての問題です.
【109G38】
腎結石に対する体外衝撃波結石破砕術〈ESWL〉直後に起こり得る合併症はどれか.2つ選べ.
a 血尿
b 骨折
c 腸管損傷
d 皮下出血
e 腎機能低下
正解は「a 血尿」と「d 皮下出血」です.
解答率は,a 97.3%,b 5.7%,c 11.7%,d 48.0%,e 37.2% となっていました.
b以外の選択肢は,どれもESWLで起こりうる合併症ですが,
「直後」という言葉を見逃して,誤答した受験生が多かったようですね.
治療の中には,副作用や合併症を伴うものが多くあります.
それらを治療の前に説明することも,医師の重要な仕事の1つです.
実習では,治療についての説明にも立ち会わせていただき,
説明の内容や仕方も学べると非常にいいと思います.
事前の説明は治療だけではなく,検査でも必要ですね.僕も実習中に
「運動負荷心電図とるから,患者さんにサインもらいに行くぞ」と,
検査前の説明を患者さんにさせていただいたことがあります.
運動負荷心電図の合併症や危険な点を,皆さんご存じですか?
「狭心痛発作や意識消失,転倒による怪我などのリスクがありますが,
それぞれに対し予防策,対応策と実施できるスタッフを用意しています.
もし倒れても支えられるように,僕もそばで構えていますので安心してください!」
という旨のことを患者さんに伝えると,
「君みたいな力ありそうな若い子がおってくれると安心やわ」
と笑って同意書にサインをくださりました.
検査に伴うリスクを知り,さらにその予防・対応の仕方も理解していたので,
患者さんに安心してもらえる説明ができました.
皆さんも多くの知識を身につけて,
そういった現場経験を少しでも多く積んでもらえたらと思います.
前々回から3回にわたって,「実習で見るものは,国試でも問われる!」
をテーマに,器具・検査・手技・治療についてお送りしました.
いかがでしたか?
「国試からみる,臨床実習のポイント!」,
最終回の次回は,臨床現場での「会話」について
お届けしたいと思います!お楽しみに!
(編集部M.T)