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[5年生向け]国試からみる,臨床実習のポイント!(その6)現場で必須!患者さんと会話できていますか?

こんにちは,編集部のM.Tです.
「国試からみる,臨床実習のポイント!」もついに最終回です.
今日は109回国試で出た,会話形式の問題を紹介していきます.
皆さん,実習中に患者さんとお話できていますか?

■ 109回国試で出た会話問題!

患者さんのお話を聞くにも,検査や治療の説明をするにも,
絶対に必要なこと.それが「会話」です.
国試では会話文を選択肢にした問題がいくつか出されます.
それを我々は「会話問題」と呼んでいます.

105,106回では10問程度,107回では22問,108回では29問と
これまで増加傾向にあった会話問題ですが,109回ではまた10問に減少していました.
問題数から考えると,会話問題が軽視され始めているようにも思えますが,
実はそんなこともないのです….

なぜそう考えるのか,
実際の問題を見ながら一緒に考えていきましょう.

【109I74】
37歳の男性.左下腹部痛を主訴に来院した.深夜,就寝中に突然の左下腹部痛で目が覚めた.痛みは急激に増強し悪心と嘔吐とが出現したため受診した.意識は清明.体温36.3℃.血圧158/94mmHg.腹部に反跳痛を認めない.左側の肋骨脊柱角に叩打痛を認める.尿所見:蛋白1+,糖(-),潜血3+,沈渣に赤血球15~30/1視野,白血球1~5/1視野.腹部超音波検査では左腎盂に軽度の拡張を認める以外には異常を認めない.腹部X線写真正面像で第3腰椎の左横突起の外側に3×2mmの石灰化を認める.非ステロイド性抗炎症薬の坐薬を挿入して症状は軽快した.
今後の対応についての患者への説明として適切なのはどれか.2つ選べ.

a 「尿酸が主成分なので薬を処方しましょう」
b 「水分を十分摂取して尿量を増やしてください」
c 「また痛みが出てくるようなら手術をしましょう」
d 「痛みがなくても排石されるまで自動車の運転は危険です」
e 「左の尿管が閉塞しているのでその尿管に細いチューブを留置します」

正解はb,dで,正答率は43.9%の問題でした.
誤選択肢であるa,c,eについて考えてみましょう.
腹部X線で石灰化を認めることからX線透過性の高い尿酸結石は否定的です.
左腎盂の軽度拡張を認めるのみで,現時点で手術やステント留置は必要ありません.

ご覧頂いたとおり【109I74】は,
dのように「患者さんに何を注意喚起すべきか」だけでなく,
診断や治療に関する知識も会話形式で問われた問題でした.
問題数は減っても,1問の中にぎゅっと凝縮されていますね.

臨床現場における患者さんとの会話では,検査・診断・治療のいずれもテーマとなりえます.
どんな疾患に対する説明でも,自分で理解して
患者さんに説明できるようにならなければいけませんね.
実習中,自分の担当患者さんの疾患だけでも,
完璧に説明できるようにしてはいかがでしょうか.

では,次の問題をみてみましょう.

【109A1】
HTLV-1抗体スクリーニング検査で陽性と判定された初妊婦に対する正しい説明はどれか.
a 「ワクチンを接種しましょう」
b 「診断には精密検査が必要です」
c 「出産後,母乳を与えてはいけません」
d 「スクリーニング検査を再度行いましょう」
e 「お産のやり方は帝王切開がいいでしょう」

解答率は a 0.2%,b 37.5%,c 60.5%,d 0.6%,e 1.2% でした.
HTLV-1はご存知の通り,授乳による感染がありえるウイルスであり,
感染リスクを考えて,cを選んだ受験生が最も多かったようです.

しかし,正解はb「診断には精密検査が必要です」です.
本問は「スクリーニング検査陽性」とあり,偽陽性の可能性がある現時点では,
ウェスタンブロット法などによる精査が必要になります.
また,HTLV-1感染が確認された場合でも,
凍結母乳栄養や短期母乳栄養といった栄養法が選択肢として存在します.

本問では疾患や病原体だけでなく,「スクリーニング検査陽性」という
その状況に合わせて動ける「対応力」が問われました.
また,これからの子育てに色々と思いを馳せているであろう初妊婦さんに対し,
どんな言葉をかけるかという「対応力」も,実は問われていたのかもしれませんね.

今回紹介した109回国試の問題からわかるのは,
国試受験の時点で様々な「対応力」がすでに学生に問われているということです.
皆さんも臨床実習を通して,患者さんとのやりとりの中で,
患者さんの立場に立った対応ができるようになっていただけたらと思います.

1ヶ月にわたってお送りしてきましたが,
「国試からみる,臨床実習のポイント!」も今回で最後です.
皆さんいかがでしたか?

これをきっかけにして,皆さんの臨床実習がよりよいものになればと思います.
最後まで読んでくださり,ありがとうございました.

(編集部M.T)

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