[6年生向け]『クエスチョン・バンク 医師国家試験問題解説 2016 vol.7必修問題』本日7月9日発売! 必修特集★第2回:必修独特の問題ってどんな問題?
みなさん,こんにちは!
編集部のM.Sです.
本日,7月9日,『クエスチョン・バンク 医師国家試験問題解説 2016 vol.7必修問題』が発売になりました!
そこで今回は,必修対策の特集・第2弾をお送りします!
前回は,「基本」を問われるはずの必修問題で,多くの人が不合格になっている!
ということをお伝えしました↓
(★第1回★「受験生を苦しめる必修問題の合格基準とは?」)
今回は,実際に出題された問題をお見せしながら,
「必修落ち」の原因を解明していきたいと思います.
★第2回★必修独特の問題ってどんな問題?
どうして「必修問題」は受験生にとって鬼門になっているのでしょうか.
1つめの理由は前回お伝えした1.合格基準でしたが,
今回お話する2.必修独特の問題内容も大きな理由になっています.
受験生にとって「必修問題」の内容が大きな落とし穴となっているんです!
一体,必修問題のどこが「落とし穴」となるのか,
今回は,実際の国試の問題とともに詳しくみていきましょう!
◆必修で出題されるのは,「座学では勉強しにくい範囲」◆
皆さんの中には,先輩から,
「必修対策なんか必要ないよ,一般・臨床問題の勉強で十分.」
なんて話を聞いた人もいることでしょう!
確かに,疾患についての基礎的な知識を問われることもありますが,
必修で問われるのは,それだけではありません.
必修問題のガイドラインには,医療面接,終末期ケア,一般教養など,
普段は勉強する機会の少ない項目が多く並んでいます.
これらは座学だけでは勉強しづらいテーマであり,受験生を悩ませています.
では,これらのテーマから出題される問題にはどのようなものがあるのでしょうか.
109回の国試を実際にみてみましょう.
【109F14】
経鼻胃管を挿入する際に正しいのはどれか.
a 挿入時に患者の頸部を後屈する.
b 噴門を通過するときに抵抗を感じる.
c 成人男性では鼻孔から30cmの深さまで挿入する.
d チューブ先端の位置を腹部X線写真で確認する.
e シリンジで送気し上腹部で水泡音が聴取されれば適正な位置である.
経鼻胃管の合併症として気管内挿入が挙げられるので,
これを回避するために,
経鼻胃管挿入後にはより確実性の高い確認方法が必要となります.
患者が発声できること,医官から胃内容物が引けることなどを確認した後に,腹部X線写真によりチューブ先端の位置を最終確認するのが正しい方法です.
よって,正解は,d.
この問題の正解率は,56.1%.
ガイドライン「14.基本的手技」からの出題ですが,学生にとっては難しい問題でした.
経鼻胃管が気管支に誤挿入され,
頸管栄養剤が注入されるという医療事故がたびたび起きているため,
この出題となったのでしょう.
実際の手技を実施したことがある人にとっては基本的なことといえますが,
経験がない人にとっては,間違えてしまいがち.
必修で問われるのは,
“学生にとっての基本“ではなく,“出題者(臨床医)にとっての基本”.
学生にとって悩んでしまう問題も少なくはないのです.
◆必修独特の出題傾向◆
必修問題では疾患各論のテーマからも出題されます.
そう聞くと,「一般・臨床問題の知識があれば大丈夫!」と
思う方も多くいらっしゃるかもしれません.
ですが,実際は独特の出題傾向のために,
思わぬところで点数を落とすことも少なくはありません.
独特の出題傾向とは,どんなものなのでしょうか.
実際の問題をみてみましょう.
【109H27】
1歳4ヵ月の女児.4日前から発熱が続くため母親に連れられて来院した.4日前から毎日,最高で39℃以上の発熱を認める.咳嗽,鼻汁,嘔吐および下痢はない.食欲はやや低下し,普段よりよだれの量が多く,大好きなオレンジジュースも嫌がる様子がある.4種混合ワクチン,BCG,Hibワクチン,小児用肺炎球菌ワクチン及びMRワクチンの接種は終了している.保育所などの集団生活には入っていない.両親との3人暮らしで母親は口唇ヘルペスを繰り返している.意識レベルの低下はなく,全身状態はおおむね良好.体重10.0kg.体温38.8℃.脈拍124/分,整.SpO2 98%(room air).
診断に有用な所見が得られる診察はどれか.
a 結膜の視診 b 口腔内の視診 c 頸部の触診 d 胸部の聴診 e 外陰部の視診
必修問題では,「診断はついていないけれども現時点で行うことは何なのか」を多く問われます.
この問題では,診断はついていないですが、有用な診察方法を選ばなくてはなりません.
鑑別診断として、症状からは手足口病,強制喉頭蓋炎,アフタ口内炎などが挙げられますが,HSVに曝露していることから,HSV初感染の病像であるヘルペス性死肉口内炎が最も考えられます.
ですので,答えは,b. 正答率は76.7%でした.
【109F21】
50歳の女性.料理中に包丁で指を切ったため来院した.左中指に巻いているハンカチから血液がしたたり落ちている.意識は清明.体温36.2℃.脈拍80/ 分,整.血圧106/78mmHg.呼吸数12/分.左中指に1.5cm の切創を認める.
まず確認すべきなのはどれか.
a 異物 b 腱損傷 c 神経損傷 d 指動脈損傷 e 皮膚欠損範囲
動脈性出血が持続していれば詳細な診察にも支障が出るため,
まずは止血のために動脈損傷を確認することが必要です.
なので,答えは,d.
創部の処置はまず止血,次いで洗浄,そしてデブリードマンと異物除去の順に行われることをおさえていれば解ける問題ですが,
正答率は66.9%と決して高くはない問題で,aを選んでしまう人も多くいました.
必修問題で問われるのは,
「まず行うべき」「まず初めに」「現時点で」「次に必要な」検査.
特に臨床問題でこの言葉が出てきたら要注意.
3点を落とさないためにも,何を問われている問題なのかということを,
しっかりと読み取るようにしましょう.
近年は臨床実習をよく観察しているかどうかが問われるような問題が多いため,
実習での経験を大切にする必要があります.
◆必修を攻略するにはどうしたら良いの?◆
必修問題ならではの独特さをお分かりいただけたでしょうか.
では,座学では学習が難しいように感じるこの必修問題を
攻略するためにはどうしたら良いのでしょうか.
一番の方法は,必修問題をまとめて演習して,問題慣れをすること.
普通に各科の勉強をしたり,各科QBを解いたりするだけでは不十分なんです.
問題演習を数多くこなせば,
・必修問題では,医療者としてどのような考え方が求められているのか
・どういう答えが正解であることが多いのか
・出題者の意図は何か
のパターンがつかめてくるでしょう.
必修の過去問題と,必修ガイドラインに沿って作成された予想問題を収録した
『QB必修2016』や,“必修的”な知識を凝縮した『RB必修・禁忌』で,
必修に特化した勉強をまとめて行うことが,一番の近道.
必修問題を数多くことを解くことで,
必修独特の問題を解くことができる“必修脳”を鍛えていきましょう!
というわけで,第3回では,必修対策に強い味方となってくれる
『QB必修2016』の特徴と使い方をご紹介したいと思います.
次回もお楽しみに!
(編集部M.S)