[Dr.Pの研修医日記]第8回:痛みを訴える患者への問診(その1)
こんにちは,研修医Pです.
前回は,AMPLE historyを勉強しました(前編/後編).
これは基本的には救急患者全員に問診すべきことでしたね.
今度は,その中でも痛みを訴える患者への問診について紹介します.
聞くべきことを漏らさないための「OPQRST」という語呂合わせがあります.
語呂合わせの存在自体は知っていても,具体的にイメージがわかない人もいるんじゃないかなと思うので,
なるべくわかりやすく例を挙げて説明しますね.
今日はまず,OとPです.
◆O:Onset ~発症様式.突然なのか,徐々になのか.◆
「突然ですか?」と聞くと,「はい」と答えてしまう人が多いので,
例えば,テレビを見ている最中に痛くなったという人なら「○○のCMをやっているとき」とか,
仕事中に痛くなった人なら「プレゼンテーションのここのスライドの時」とか,
そのくらいまでハッキリとわかるくらい突然なのか,
そうでないとしたら,痛みを感じてから痛みが最強点に達するまで何分くらいかかったか,
などのように具体的に聞くことが重要です.
◆P:Provocative / Palliative factor ~増悪緩解因子◆
例えば,膵炎なら前屈の姿勢で楽になる,とか,
筋骨格系の痛みなら,動いた時にひどくなる,とか.
これによって,ある疾患を除外できるというものではありませんが,
「より○○っぽい」などと見当をつけるのには有用です.
尿管結石や大動脈解離などでは,身をよじるような痛みのことが多いです.
痛くて痛くてくねくねしている人をみたら,それっぽいなと思います.
逆に,腰椎の圧迫骨折のような整形外科的な痛みの場合は,
安静にしていれば大丈夫だけど動くと激痛,ということが多いです.
胸痛からの心筋梗塞は,見逃してはいけないので,
心電図はもちろん取るし,トロポニンやCK-MBの採血も行いますが,
押すと痛みがひどくなる(=圧痛がある)場合はちょっと違うかな,と思ったりします.
しかし,繰り返しになりますが,圧痛があっても心筋梗塞ということもたまにあるので,
この所見だけでは除外できないことに注意が必要です.
(研修医P)