[6年生向け]○○から予想する110回国試 第4回:新ガイドラインから予想する,熱中症

みなさん,こんにちは.
編集部のA.Mです.

早くも4回目となりました,
『○○から予想する110回国試』シリーズ.

前回までの記事はこちら!
第1回:ニュースから予想する,今注目の感染症
https://informa.medilink-study.com/wordpress/web-informa/post9020.html
第2回:ポリクリから予想する,内視鏡検査の留意点
https://informa.medilink-study.com/wordpress/web-informa/post9026.html
第3回:注目疾患から予想する,IgG4関連疾患にはステロイドが有効!
https://informa.medilink-study.com/wordpress/web-informa/post9037.html

今回は,新ガイドラインから予想する,熱中症について,
お届けしていきたいと思います.
今年の夏は本当に暑かった・・・

 

◆熱中症ガイドライン2015登場◆

なんと今年,世界初の熱中症のガイドラインが発表されました.
(“熱中症ガイドライン”で検索するとトップに出てきます.)
熱中症ガイドラインはありそうでしたが,
今まで公式のものはなかったのですね,意外です.

このガイドライン(GL)では,熱中症の疫学,診断,
治療,予後に関することがクリニカルクエスチョン(CQ)形式で記載されており,
医療従事者のみならず,熱中症に関わりうる全ての人が
利用できるものになっています.

疫学として,熱中症にかかりやすい状況は,
若年~中高年層では屋外でのスポーツや労働時,
高齢者では日常生活,特に室内であるということが広く知られてきました.
↓コチラの記事もチェック!
https://informa.medilink-study.com/wordpress/web-informa/post6894.html

高齢者の熱中症に関する問題は,109回の国試でも出題されています.
http://qb-online.com/#/list/109D16
(QBonlineにログインしていれば直接問題に飛べます.)

高齢者が屋内で熱中症を起こした場合,
気づかれずに進行していたり,基礎疾患をもっていたりするため
重症化(様々な臓器障害が起こる)しやすく,非常に注意が必要です.

◆熱中症の診断基準と重症度◆

さて,今回注目するポイントは,
熱中症の診断基準と重症度!

従来,暑熱による障害は主に症状によって
熱失神,熱けいれん,熱疲労,熱射病と分類されていましたが,
今回のGLではこれらを「熱中症」と総称しています.

つまり,熱中症の診断基準は
「暑熱により様々な症状を呈するもの」で,このうち他の原因疾患をのぞいたもの
ということになります.

熱中症を一つの症候群ととらえて診断基準を簡略化し,
医療従事者以外でも容易に判断できるようにすることで
早期認識・早期治療につなげるのが目標です.

このうえで,熱中症を重症度に応じて
Ⅰ~Ⅲ度の3段階に分類しています(日本救急医学会熱中症分類).

Ⅰ度(軽症)はめまいや立ちくらみ,大量の発汗などがあるもので,
徐々に改善すれば現場で対処可能な病態.

Ⅱ度(中等症)は頭痛や嘔吐,倦怠感などがあり,
速やかに医療機関への受診が必要な病態.

Ⅲ度(重症)は中枢神経障害,肝・腎機能障害,血液凝固異常などがあり,
最終的には医療機関での診察・検査によって判断され,
入院(場合により集中治療)が必要な病態
と,なっています.

ちなみに上記で挙げた症状はよくみられるものであり,
必ずしもこの症状がなければ判断できない!というものではありません.
また,熱中症の病態は短時間で変化することが多く,
変化の度合いも大きいため,注意しなければなりません.

細かい内容はGLに書いてあるので,ぜひ,チェックしてくださいね.

では最後におまけの問題!

急性期を過ぎた熱中症の主な死因はどれか.
a 中枢神経障害
b 肝障害
c 腎障害
d 血液凝固異常(DIC)
e 肺障害

a~eは全て熱中症により起こりうる臓器障害であり,
急性期の死亡の原因となりうるものです.
このうちaの中枢神経障害は,急性期を過ぎても死亡の原因となります.
と,いうことで答えはa 中枢神経障害.
熱中症の主な後遺症は神経障害であることを覚えておいてください.

今回はこのへんで!
次回をお楽しみに!

(編集部A.M)

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