[Dr. Yの研修医日記] 真夏の病院
夏休みも終わってしまいましたね.
私の病院でも7月~9月は,研修医も上級医も
順番に1週間ずつ休みをとっていくので,フォローで大変でした(笑).
7月8月はまさかの事態の連続で,印象深い症例にも遭遇しました.
【7月×日】
突然,急性膵炎の,それもインド人の患者さんを担当することになりました.
最初こそ会社の日本人の方がついていましたが,あとはすべて英語で会話.
ごく普通の病院でも外国人が受診する時代なんだ,と実感しました.
膵炎自体は典型的で,腹部レントゲンではcolon cut off sign
(国試に出るけど,見ても指摘されないとわからなかった…)
があり,CTで広範な炎症を認めました.
絶飲食で抗菌薬を投与し自然軽快したあとは,上司とインドへ帰国しました.
彼は元気にやってるのでしょうか.
【8月×日】
末期肝硬変,胃食道静脈瘤,糖尿病,慢性腎不全という,
病気の塊のような患者さんが吐血を主訴に救急外来を受診しました.
胃食道静脈瘤の破裂が疑われ,当直中だった神経内科医がTSBチューブを挿入.
翌日,消化器の専門医がやってきて内視鏡を行ったところ,
静脈瘤破裂ではなく,マロリーワイスと診断されました.
ここまではよかったんですが!
この患者さんは床上安静がまったく守れなかった…….
夜0時にタール便を排泄した後,収縮期血圧が90mmHg以下まで低下.
深夜に担当医の私に電話がかかってきました.
慌てて病棟に行くと,洗面器一杯分も吐血していました.
その場には,研修医の私と看護師2人だけ.
ここで何かしないと,目の前で死にかねません.
細胞外液の補液で血圧の上昇をはかったものの,無理.
いろんな先生に電話して,アルブミンを投与しながら補液という方法を教えてもらい,
一時的には110mmHgまで持ち直しました.
しかし,肝性脳症のために羽ばたき振戦が出現.
そんな状態でも落ち着きなく起き上がろうとする患者さんを押さえつけて,
「早く朝になれ!」と祈りながら,患者さんとモニターを見張っていました.
この患者さんは翌朝,上級医が来るまでねばりましたが,
最終的にはお亡くなりになってしまいました.
医師が自分しかいないという状況で,命が危うい患者さんを目の前にし,
研修医になってから,一番焦った夜になりました.
【8月×日】
ICUに血球貪食症候群のため急変した患者さんが内科へ転科しました.
血球貪食症候群は,病理所見が有名ですが(確か国試にも出ましたよね),
緊急に対応しなければいけない血液疾患の一つです.
この患者さんは,血小板がみるみるうちに激減し,白血球も減り,
血液透析をまわしましたが結局救うことができませんでした.
病理所見しかわからなかった疾患ですが,二度と忘れないですね...
(研修医 Y)