[分析]データでみる110回国試(その1)合格率・合格基準は?

こんにちは!編集部のM.Tです.
新学年が始まって,もう2週間.
6年生の方は国試まですでに1年を切っていますね….
先輩が受けた110回国試を詳しく知って
本格的な試験勉強を始めませんか…!

というわけで,これから6週にわたって
「データでみる110回国試」という
メルマガを配信してまいります.
今後どう国試対策をしていくのがよいか,
みなさん一緒に考えていきましょう!

まず第1回目の今回は,皆さんに
「医師国家試験」のイメージを掴んでいただくために,
・110回国試の合格率と合格基準は?
・採点除外・必修除外って?
というテーマでお届けします.

■110回の合格率と合格基準は?

医師国家試験では必修問題,一般問題,臨床問題のそれぞれに
合格基準が設けられており,その全てをクリアしなければなりません.
また,一定数以上の禁忌肢を選択してしまうと,
それだけでも不合格になってしまいます.

必修問題,禁忌肢は例年基準が一定です.
それに対し一般問題と臨床問題は,
相対評価で判定され,毎回基準が異なります.

直近5回で比較すると,一般問題・臨床問題ともに
基準が最低値をマークしています.

110data_0415_1

一方で合格率をみてみると,

医師国試が年1回実施となった1985年以降最高の91.5%となっていました.
これらの情報から,一般・臨床問題の基準の引き下げは,
問題の難化だけではなく,合格者を多く出すための調整が入った結果であるとも考えられます.

■採点除外・必修除外って?

医師国家試験では,合格発表にあわせてその年の
「採点除外・必修除外・複数正解」の問題が発表されます.

採点除外は,必修問題を除く一般・臨床問題が対象となるものです.
110回ではA28(臨床),D43(臨床),E38(一般)の3問が
「状況設定が不十分で正解が得られないため」
などの理由で採点除外となりました.
この場合,該当する設問が採点対象から除外されます.
そのため,110回の一般・臨床問題はそれぞれ
199点,594点満点となりました.

それでは必修除外とはなんでしょうか.
まずは110回で実際に必修除外となった問題をみてみましょう.

【110C16】
52歳の男性.墜落外傷で尿道からの出血が止まらないため救急車で搬入された.自宅の庭木の手入れ中に誤ってはしごから墜落した.殿部の痛みのため歩けず,尿道からの出血が止まらないため救急車を要請した.意識は清明.体温36.0℃.脈拍110/分,整.血圧90/58mmHg.呼吸数20/分,整.SpO2 100%(リザーバー付マスク10L/分 酸素投与下).頭頸部と胸腹部とに変形,外傷,皮下血腫および圧痛を認めない.四肢に擦過創を認める.殿部の腫脹と疼痛とを認める.外尿道口から持続的な出血を認める.ポータブルX線写真で骨盤骨折を認める.呼吸と循環の補助を開始するとともに,尿量測定のため尿道カテーテル留置を検討することとなった.
挿入する前に行うべきなのはどれか.
a 剃毛
b 直腸指診
c 尿定性検査
d 血液凝固検査
e 骨盤部用手圧迫

こちらは110回で必修問題として出題された設問です.
a 10.1%,b 15.1%,c 12.5%,d 32.0%,e 30.3%と
各選択肢の解答率から,実際の受験生が悩んだ問題であることがわかります.
みなさん,自信を持って解けるでしょうか.

正解は「b 直腸指診」です.
骨盤骨折の症例に対し尿道カテーテルを留置する際には,
事前に尿道損傷の有無を確かめなければなりません.
その時行うのが直腸診.
前立腺の浮動感があれば,尿道損傷が疑われます.

研修医向けの書籍に記載されている内容ではありますが,
受験生に必修問題として問うには,難しすぎるように感じますよね?
このように,「問題としては適切であるが,必修問題としては妥当でない」問題が
必修除外として扱われるのです.

必修除外は一般・臨床の除外問題と異なり,
正解した場合は点数に含み,不正解だった場合は含まれません.
今年の必修除外は臨床1問でした.
つまり除外となった問題が正解だった場合は160/200点以上,
不正解だった場合は158/197点以上が合格基準となったわけです.

さらに今年はなかったですが,これらに加えて「複数正解」という対応もあります.
これはみなさんのご想像の通り,
「択一式の設問で複数の選択肢が正答肢となるもの」を指します.

皆さんが受験当日には「何だこれ…訳がわからん…」となった問題も,
いざフタを開けてみれば,「採点除外か!気にしなくてよかった!」
となるような場合もあります.
本番であまりに悩む問題に遭遇した際は,こういったことも思い出して,
その1問にあまりとらわれ過ぎないようにするのも大事かもしれません.

今週の「データでみる110国試」はここまで!
まずは一発目ということで,「医師国試って,こういう試験なのか」
ということが少しでもつかめたら幸いです.

残り5週は
・選択肢の形式とその内訳
・不合格の原因と内訳
・科目別出題数と正答率
・英語問題,難問・割れ問の対策
・類似問題とリベンジ問題
について,110回受験生の解答データをもとに分析し,
実際の問題にもいくつか触れながら,
ご紹介していけたらと思います!

それでは,次週もお楽しみに!
(編集部M.T)

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