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[分析]データでみる111回国試(その5)割れ問・難問への対応

こんにちは,編集部A.Mです.
データでみる国試,5回目の今日は,
「割れ問・難問への対応」をテーマにお話します.

■割れ問って何?

まずは実際に,問題を見てみましょう.

【111I6】
記銘力低下を認める患者の家族の訴えで,Pick病を最も疑わせるのはどれか.
a 「夜中に起きて騒ぎ立てます」
b 「鏡の中の自分に話しかけます」
c 「物がないと家族が盗ったと言います」
d 「同じような食事しか作らなくなりました」
e 「会話の内容に関係ない言葉を繰り返します」

認知症には様々な病型がありますが,
その中でPick病の鑑別に有用な訴えを問われた問題です.
症状を医学用語として記憶するだけでなく,
実際にどのような表現で訴えてくるのかを理解しているかがポイントになります.

正解はeで,Pick病の症状である,
滞続言語,反復言語,反響言語などを反映した訴えと考えられます.

この問題,解答がd 42.3%,e 43.3%で割れました.
このように,2つ以上の選択肢で解答がきれいに割れたものを,
そのまま「割れ問」と呼んでいます.

国試の会場ではこの「割れ問」をめぐって色んな所で議論が起こり,
「あの問題間違えたかも…」と不安にさせられることが多々あります.
毎年何問かこういった「割れ問」が出てくるので,
試験当日はあまり気負いすぎることなく,
沢山の人が迷っている問題だし,気にせず次にいこう
と前向きに対応できるといいですね.

■難問って何?

では次に,難問についてです.
難問とは,平均正答率に比して正答率が著しく低かった問題を指します.
111回で出題された難問をご紹介します.

【111D7】
手根管症候群で筋力低下がみられるのはどれか.
a 方形回内筋
b 母指内転筋
c 短母指伸筋
d 短母指外転筋
e 第一背側骨間筋

こちら,111回の一般問題で最も正答率の低かった問題です.
みなさんは正解がわかりますか?
ちなみに各選択肢の選択率は,以下のとおりです.
a 3.1%,b 78.1%,c 7.4%,d 9.3%,e 2.1%

手根管症候群は,正中神経がなんらかの原因により圧迫されて生じます.
正中神経は手根管を通過後,
短母指外転筋,短母指屈筋浅頭,母指対立筋などの母指球筋に運動枝を送ります.
このため,手根管症候群では母指球筋萎縮により特有の猿手が生じます.
ということで,正解はdでした.

病態を正確に把握しているかが問われた問題でしたね.

正答率は9.3%,一般問題の平均正答率が75.9%である中,
受験生の1割弱しか解けなかった問題でした.

■難問はたくさん出るの?

さて,難問といわれる問題は,国試の中でどれくらい出題されるのでしょうか.
111回国試の正答率の分布をみながら考えてみましょう.
まずは必修問題の分布です.

●必修問題の正答率の分布(問題数)●

必修の基準として,正答率90%以上は誰でも反射的に答えられるレベル,
70~90%未満は国試受験生であればだいたいが知っているレベル,
70%未満は「これ必修なの?」とざわつくレベルで,
必修としては難問といえます.

今年は昨年に比べ,正答率90.0%~の問題が減っています.
誰でも反射的に答えられるレベルの問題が減っているということで,
今年の必修は難しいと感じた人が多かったこともうなずけますね.

次に必修以外の一般・臨床の分布です.

●必修問題を除く,一般・臨床問題の正答率の分布(問題数)●

※111回で採点除外となった2問,
110回で採点除外となった3問はそれぞれは除く.

上記の表から正答率70%以上の問題は272問,
つまり一般・臨床問題の約68%を占めています.
データでみる国試(その1)でも紹介したように,
一般・臨床問題の合格基準は65%程度ですから,
正答率70%以上であればできるだけ落としたくない問題であることがわかります.

また,先ほどの【111D7】のような「半分以上の受験生が間違う難問」となると,
その数は111回の場合398問中54問,1割強しかないことがわかります.
当日の受験生であればこの1割強の問題だけに集中して悩むのではなく,
「難しい問題だから仕方がない」と済ませて
次の問題に切り替えていくことが大切です.
(割れ問と同じですね.)

医師国試は合格率が毎年90%前後で推移する試験ですから,
難問が解けることより,
多くの人が解ける問題で確実に正解することが重要なことを忘れないでください

しかし!これから受験するみなさんは,
過去問を演習する際,「難問だし解けなくていいやー」
「採点除外なら勉強しなくていいじゃんー」
と考えてよいのでしょうか.
ここでポイントとなるのが「リベンジ問題」です.

長くなってしまったので,「リベンジ問題」については
次回のメルマガでお伝えします.
お楽しみに!

(編集部A.M)

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