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[分析]データでみる111回国試(その6)類似問題とリベンジ問題

こんにちは,編集部A.Mです.
「データでみる国試」も6回目となりました.
最終回の今回は,「類似問題とリベンジ問題」をテーマにお届けします.

■類似問題って何?

類似問題はその名の通り,
過去の出題された問題とよく似た内容の問題です.
111回国試では類似問題が500問中96問,つまり,全体の20%ありました.
その中の1問を見てみましょう.
まずは107回の問題です.

【107D2】
胸腹部食道切除後の再建に最も多く使用されるのはどれか.
a 胃
b 空腸
c 回腸
d 大腸
e 筋皮弁

正解はa,正答率は72.2%の問題でした.
では111回の問題です.

【111D5】
食道亜全摘術後の再建臓器として最も使用されるのはどれか.
a 胃
b 大腸
c 小腸
d 筋皮弁
e 人工食道

同じく正解はa,正答率は84.7%でした.
この様に,類似問題は過去問と問われている内容や
選択肢が大まかに同じである問題をいいます.

なお,この96問中,問題文も選択肢も過去問と
ほぼ同じ問題(プール問題)は約20問ありました.
例:【111A011】と【106I29】細菌髄膜炎の主な原因菌 など.
例年,ここまで多くプール問題が出題されることはありません.
あっても数問程度ですので,今年はプール問題が多かったといえます.

類似問題の平均正答率をみてみましょう.
必修問題,一般・臨床全て含めた111回の平均正答率です.

類似問題は当たり前ですが,総じて正答率が高めになります
特に過去3回分(108~110回)に限るとかなり高くなっています
このため,過去3回分の国試は必ず目を通しておくことをオススメします.

■リベンジ問題って何?

国試では「正答率の低かった問題」や「採点除外となった問題」が
翌年以降に問題文や選択肢が再考されて出題されることがあります.
こういった問題は「リベンジ問題」と呼ばれています.

ここで今年のリベンジ問題を紹介します.
109回と111回の問題を1問ずつ見てみましょう.
まずは109回の問題です.

【109A57】
32歳の女性.病院の薬剤師.夕方に職場で急に倒れて外来の処置室に搬入された.2年前からBasedow病で内服治療中であり1週前のFT4値は基準範囲内,体重もBasedow病の発症前より増えていた.本日も昼過ぎまでは元気に働いていた.身長158cm,体重62kg.体温36.2℃.脈拍104/分,整.血圧138/64mmHg.呼吸数14/分.呼びかけに反応しない.甲状腺腫を触知しない.全身に発汗が著明である.胸腹部に異常を認めない.血糖簡易測定で測定感度以下だったため,インスリン測定用の血液を採取してからブドウ糖を静注したところ覚醒した.
鑑別診断を進める上で,採取した検体で追加して測定すべき項目はどれか.2つ選べ.
a FT3
b ACTH
c Cペプチド
d 抗インスリン抗体
e 抗TSH受容体抗体

インスリン自己免疫症候群の検査を問われた問題でした.
次に111回の問題です.

【111 I76】
45歳の男性.職場の廊下で倒れているところを同僚に発見され救急車で搬入された.同僚や家族によると最近,ときに異常な言動がみられたという.常用薬はない.身長172cm,体重84kg(ともに家族からの情報).体温36.5℃.心拍数110/分,整.血圧140/70mmHg.呼吸数18/分.呼びかけにかすかにうなずき,痛み刺激に反応する.全身の発汗が著明である.胸腹部に異常を認めない.血液生化学所見:血糖28mg/dL,Na 138mEq/L,K 3.7mEq/L,Cl 99mEq/L,空腹時インスリン〈IRI〉42μU/mL(基準17以下),空腹時Cペプチド5.6ng/dL(基準0.6~2.8以下).心電図,胸腹部X線写真,腹部超音波検査および頭部CTで異常を認めない.
鑑別診断に必要な検査はどれか.2つ選べ.
a 血中カテコラミン濃度の測定
b 血中抗インスリン抗体の測定
c 血中グルカゴン濃度の測定
d 血中コルチゾール値の測定
e 腹部造影CT

こちらはインスリン自己免疫症候群とインスリノーマの検査を問われた問題でした.
2問とも,「低血糖症で必要な検査」について問われていますね.

【109A57】の正解はc,d,正答率は38.5%でした.
選択肢bを選んだ人も多く,正答率が低くなりました.
【111I76】の正解はb,e,正答率は62.1%となりました.

この2問の違いとして,
【111I76】の症例では常用薬がない点,
【109A57】で選択肢として挙げられていたCペプチドが
問題文中に記載された点などが挙げられます.
このように,過去問の問題文では足りなかった情報が追加され,
かつ整理された問題が出題されると,自然と正答率は上がります

つまり,前年度で正答率が低かった難問や,採点除外になった問題でも,
次の年も捨て問になるとは限りません
前回のメルマガ(その5)でもお伝えしました通り,
当日の受験生であれば,難問・割れ問に対しては
「次の問題!」と頭を切り替えるべきです.
しかし,これから過去問を演習するみなさんは,
「リベンジ問題として出題されても大丈夫!」といえるように
きちんと対策を行いましょう.

正答率が低かった,あるいは採点除外となった問題において,
この問題は何を問われた問題だったのか(出題者の意図は何か)
何がわかれば正解にたどり着いたか,という視点で
問題を演習すれば,リベンジ問題対策につながります.
『クエスチョン・バンク』では採点除外となった問題や
誤答選択肢についてもしっかり解説しています.
ぜひ,今後の対策に活用してくださいね.

「データでみる111回国試」は以上になります.
お付き合いいただき,ありがとうございました!

本メルマガで紹介した問題の詳しい解説が読める
『111回医師国家試験問題解説』が5月2日(火)に発売されました
112回国試に向けて,ぜひ手にとってみてくださいね!

これからも国試対策に関するメールマガジンや,
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(編集部A.M)

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