[5年生向け]国試からみる,臨床実習のポイント!(その6)気になった問題を解いてみよう
こんにちは,編集部のA.Mです.
「国試からみる,臨床実習のポイント!」もついに最終回.
今日は私が個人的に気になった問題をみていきたいと思います.
■実習中に経験しておけば有利だったかも!
ではさっそく問題をみてみましょう.
【112E6】
筋肉注射に適さないのはどれか.
a 三角筋
b 大殿筋
c 中殿筋
d 上腕二頭筋
e 大腿四頭筋(外側広筋)
正答率28.6%となったこの問題…正解はdです.
筋肉注射時は血管損傷や神経損傷に注意しなければなりません.
ただこの問題,不正解選択肢以外にも,
日常的には筋肉注射部位として選びづらい部位が選択肢に含まれています.
たとえ実習で経験していても,「筋肉注射って三角筋にするんだなぁ~」で
終わってしまっていたら解けないですね.
一歩進んで,なぜ,この筋肉が注射部位として選ばれたのかまで
考えた人が解ける問題でした.
他にも,【112A14】耳鼻咽喉科における診察器具(画像問題),
【112E11】異常音を聴取しやすい体位などが,
実習中に実際に経験しておけば有利となった問題になります.
教科書でも勉強できなくはないけど,印象の残り方は全く違いますね.
■実は小児科実習が熱い?!
日本は少子高齢化と言われながらも,国試の小児科の出題割合は減りません.
そんな小児科では次のような問題が問われました.
【112E3】
成長および発達に異常を認めない体重9kgの1歳0ヵ月の男児が1日に必要とするエネルギー量(kcal)はどれか.
a 600
b 900
c 1,200
d 1,500
e 1,800
正解はbで,正答率は56.7%.
aを選んだ人が23.0%いたので,aまたはbで迷った人が多かったようです.
小児の成長・発達については毎年必ず1問は問われます.
(112回ではこの他に【112C41】反射,【112F18】発達過程について問われています)
小児科実習中,必ず小児健診の見学があると思いますが,
先生に言われたことをこなすだけではなく,どうしてこの検診項目があるのか,
先生は何を確認しているのか,そういったことを意識的にみていきましょう.
■手術や周術期管理は実習で要チェック!
近年は手術法そのものではなく,手術前の準備や術前後の患者管理について
問われることが多くなっています.
112回では次のような問題が問われました.
【112F52】
75歳の女性.3ヵ月前から持続する血便と食欲不振の精査のため大腸内視鏡検査を行ったところ上行結腸癌と診断された.手術を受けることに対しての不安が強い.身長150cm,体重46kg.3ヵ月間に5kgの体重減少があった.体温36.2℃.脈拍72/ 分.血圧120/60mmHg.呼吸数12/分.眼瞼結膜は軽度貧血様である.胸腹部X線写真と腹部CTとで他臓器への転移や閉塞を思わせる腸管拡張や腹水貯留を認めない.
この患者の周術期管理として適切なのはどれか.
a 栄養サポートチーム〈NST〉への依頼は不要である.
b 術直前の抗菌薬投与は行わない.
c 術前4時間までの飲水は許可する.
d 術前中心静脈栄養を行う.
e 術後72時間以上はベッド上安静とする.
正解はc.
正答率62.4%と,意外と受験生がつまずいた問題となりました.
次に選ばれた選択肢がd(選択率28.5%)となっています.
なかなか細かいところまで問われたため,戸惑う人も多いのではないでしょうか
この他,【112C30】麻酔導入を行う目的,
【112E49】手術時の手指等衛生などが出題されました.
周術期管理は実習でしか学べないことも多いです.
積極的に参加できるといいですね.
「国試からみる,臨床実習のポイント!」,
6回にわたりお送りしてきましたが,みなさんいかがでしたか?
最後までお読みいただきありがとうございました.
みなさんの臨床実習がより充実したものになりますように!
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(編集部A.M)