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『病気がみえる vol.10 産科』英語版フリップforガーナが完成!ガーナの妊産婦の方々の元へ

▲フリップ制作にご協力いただいたYさん(右)と,現地のスタッフの方(左).フリップを持ってニッコリ.

 

 

こんにちは.編集部『病気がみえる』スタッフのS.Oです.

日本では医学生だけでなく医学・医療を学ぶすべての人達の共通テキストとなった『病気がみえる』ですが,

今回は,国境を超えてガーナの青年海外協力隊として派遣されている助産師の方々が,現地の妊産婦指導に『病気がみえるvol.10 産科(以下病気がみえる産科)』をご利用くださったお話をご紹介いたします.

 

 

 

■始まりは一通のメールから

 

このお話は,昨年,JICAから海外青年協力隊の一員として,ガーナ共和国の医療現場に派遣されていた日本人の助産師のYさんから,『病気がみえる』の発行予定などについてお問い合わせいただいたことから始まりました.

Yさんは,もともと『病気がみえる産科』を愛用してくださっており,今回の派遣でも現地に持参して使用していただいていたとのこと.臨床や助産師学校では,現地の方に言葉が通じないときでも,『病気がみえる』の絵を通して説明すると,内容を理解してもらえることがあるということや,学生や臨床の方々にもからも「教本として欲しい」という意見があったというエピソードを教えていただきました.

 

そこで,Yさんとのメールの対応をさせていただいた編集長が,ガーナでの青年海外協力隊の母子保健活動の記事を検索.

現地で活動されている方が手作りのフリップチャートを使って妊産婦の指導をされていることを知り,現地の医療スタッフや学生さん向けに教本を作るのは難しいけれど,『病気がみえる』を元にして現地の妊産婦指導に使うフリップチャートを作るのならばお手伝いできるかもしれないと考え,Yさんに相談をさせていただきました.

 

その結果,Yさんにご協力いただけることになり,『病気がみえる産科』の中から,妊産婦指導においてガーナの現場で必要性が高いとされていた項目やスタッフから要望があった項目を数点選んでいただき,実験的にそれらを英訳したフリップをご提供するということになりました.

 

 

 

■『病みえ産科』英語版フリップの制作へ

 

当初は,英訳のみで終わる予定でしたが,試作品をお送りしてやり取りを進めていく中で,Yさんやガーナのスタッフの方々からいろいろなご要望を頂きました.ただ英訳するだけでなく,元々日本向けであるイラストや内容を,ガーナの方向けに書き換えることになりました.

 

ガーナの実情に合うように,キャラクターはガーナ人に置き換え,肌の色だけでなく,服装や習慣も考慮しつつイラストを修正.妊産婦さん達にも分かりやすく,現地の医療に対応した内容にするために,文章も大幅に加筆修正しました.

 

例えば早期母子接触(カンガルーケア)は,設備が整っている日本と,そうではない国とでは臨床上の意義が異なってきます

現地の習慣に合わせ,赤ちゃんとお母さんを一緒の布にくるむイラストに変えたり,

ガーナでも立ち会い出産はできますが,分娩場所の環境やプライバシー,宗教上の問題もあることからほとんどみられないというご指摘を受け,特に疑問もなく入れていた出産に夫が立ち会うイラストも修正したりしました.

 

解剖生理など不変の内容と違い,医療はその国その国の状況やスタンダードにあわせて書くべき内容が変わること,とりわけ産科医療は,お産というものが「文化」でもあるため,内容の取扱いに注意が必要であることが分かりました.

日本国内向けの本だけを作っていたら気づけなかったかもしれません.筆者自身大変勉強になりました.

 

▲「正常分娩の経過」.ガーナの実情に合うように,いろいろな部分がガーナ仕様に.病院では妊婦さんは布を一枚だけ羽織るのだそうです.

 

 

こうして完成したフリップをさっそくガーナに送り,Yさんに使っていただいたところ,

「妊婦さん達も嬉しそうに見ていました」「スタッフの方々も,イラストがわかりやすく,説明がしやすい,と好評だった」

という嬉しい報告とともに写真も送っていただけました.

 

▲制作したフリップを妊産婦さんへの指導に使用していただきました.

 

 

 

■医学的知識を分かりやすく,世界の人達に届ける第一歩に

 

メディックメディアのビジョンは,「専門的な医学知識を,わかりやすく,より多くの人に提供する」というもの.

私達は,これまでは医師,医療従事者,学生を対象に本を出版してきましたが,これからは段階的に医療従事者でない方たち,さらには世界中の方々に医療情報をわかりやすく届けていきたいと考えています.

今回のフリップはボランティアとして制作させていただきましたが,これは同時に,世界に,そして医療を学ぶ人だけでなくすべての人達に「わかりやすい」を届けるための実験の第一歩でもあります.

 

わずか10ページのフリップではありますが,この『病気がみえる産科』英語版フリップが,ガーナをはじめ,様々な国で活動されている青年海外協力隊の方々や,現地の医療スタッフと妊産婦さん達のお役にお役に立てるのならばこんなに嬉しいことはありません.

 

(編集部S.O)

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