【入部しない編】医学部の部活って入るべき?部活なしの医学部生活を”医学生”が解説!
医学部入学と同時に,皆さんのもとにはたくさんの部活の勧誘が訪れると思います.
運動部に文化部,いろいろな選択肢があってどこも楽しそう……だけど,ちょっと待ってください!
「医学生は部活に入るもの」――そんな風に思っている方,いませんか?
今は「部活に入らない」だって,立派な選択肢の一つなんです!
令和になって,医学生の進路や学生生活も多様化しつつあります.
この記事では,部活に入らなかった医学生当事者である私が,どのような医学部生活を過ごしたか,そして部活に入らないことのメリット・デメリットについて解説していきます!
【入部する編】と併せてお読みいただき,是非とも皆様の大切な学生生活を充実させる参考にしてください!
部活に入らない場合の過ごし方
学生生活が多様化したとはいえ,やはり部活動は「やっている派」がマジョリティ.
その中であえて部活に入らないという方は,以下のいずれかの理由から,部活に入らないことを選ぶ方が多いのではないかと思います.
① 部活以外の活動で頑張りたいことがある
② 勉強に力を入れたい
③ 部活の空気感が合わない・もっとゆるくやりたい
筆者の場合は,「①」の理由により部活動に入らないことを選びました.
時間が比較的自由に使える学生のうちに,医学以外の社会活動・経済活動に接してみたかったため,そうした活動を行う上で部活に時間を縛られたくないと考え,部活には入りませんでした.
一方で,上級生・下級生との繋がりが皆無になるのはマズいと考えたため,医学部メインのゆるい学内ボランティア団体には所属していました.
筆者の所属・課外活動などは下記のようになります.
■ 所属:
関東圏某大学
■ 課外活動:
1年時:ベンチャー企業での長期インターン2~3年時:地下アイドルの運営
■ その他サークルなど:
学内のボランティア団体(活動:月1回程度)インカレオールラウンドサークル(活動:月1回程度)
ベンチャーインターンなどの活動が,忙しい医学部生活と両立できるのか気になる方も多いかと思いますので,それぞれの課外活動の内容やスケジュールについて,もう少し詳しく見ていきます.
ベンチャー企業での長期インターンについて
ベンチャー企業での長期インターンは,多くの企業で週2回以上の出勤が求められるのではないかと思います.
私のインターン先もそうで,インターン生は文系の大学生がメインでした.
ですが,医学部生でも,教養課程メインでスケジュールが詰まっていない1年生であれば,週2回以上の出勤は実際に可能です(でした!).
一方で,私の大学では1年次のスケジュールが比較的ゆるめであったことも事実で,1年生から基礎医学が始まる大学などの場合,インターンとの両立は難しいと思います.
具体的なスケジュール例として,ある週のスケジュールをお示しします.

インターンにおける業務内容としては,その企業が運営するWebメディアでの記事作成や,アクセス解析,新規インターン生の指導,クラウドワーカーの管理などでした.
医療に関連した企業であったため,Webメディア上での記事作成では医学知識を学ぶ機会や,臨床の現場に実際に伺う機会もありました.
オフィスワークでは,Excel(Googleスプレッドシート)やPower Point(Googleスライド)などを多用することになるので,そうした医学生・医師として必須のツールにいち早く慣れることができます.
また,多くのIT企業におけるインターンでは,Web系のツールの使い方や,Webマーケティングについて実践的に学ぶことができると思いますので,将来開業や医師としてのSNSブランディングなどを考えている方には,有用な知識・経験が得られると思います.
地下アイドルの運営について
地下アイドルの運営は,比較的医学部生活との相性が良い課外活動だと思います.
というのも,地下アイドルのメインの顧客層は社会人・学生ですので,ライブはそうした方々が参加可能な平日夜や土日がメイン.
つまり,少なくともライブやイベントの現場業務は,概ね授業がない時間帯に行うこととなります.
ダンスレッスンやボイトレについては日中に設定されるグループも多々ありますが,私の担当したグループはどこも学生のメンバーがいたため,レッスン関係も主にライブがない日の夜にセッティングしていました.
また,ミーティングは多くがライブやレッスンの後,PCで可能な事務作業は授業中や休み時間に内職(よくないことですが…)することが多かったため,スケジュール的に医学部生活と両立可能な形ではありました.
ある週のスケジュールが下記のようになります.

新規グループの立ち上げ時期だけは,メンバー候補者の面談やスカウト,レッスンを大量に組み込まねばならない関係上,授業が犠牲になってしまうことがありました.
また,夜や土日は埋まることが多いので,遊びや飲みの時間がどうしても深夜になりがちなことから,体力は必須かもしれません.
私は既存の事務所に参加させていただく形で運営業務に携わっていたのですが,比較的少額で始められるビジネスではあるので,やる気のある方はご自身でゼロから始めてみてもよいかもしれません.
サークル活動について
部活に入らずサークルに入るという選択についてですが,都市圏の大学に通われているなどでその選択肢がある方は,検討してみてもよいと思います!
まず,「部活ほど時間拘束されるのはしんどい,でも医学部内での繋がりがほしい…」という方には,医学部メインのゆるい学内団体(あるいはほぼサークルのような部活)が非常におすすめです.
なお,部活の有無で同級生との繋がりができるできないについては,実習などを通じて否が応でも同期との絆が育まれると思いますので,個人的にはあまり気にしなくてもよいと思っています.
また,学外や全学部のサークルなども,人間関係を広げるという意味で,いろいろな世界を見てみたいという方にはおすすめです.
特にインカレサークルなどは,ゆるい交流がメインで新歓時期以外は月数回程度の活動,というところも少なくないので,そういったサークルを選べば,課外活動や部活との両立も難しくはありません.
医学部の部活に入らないメリット
自由時間が増える
部活の多くが,週2,3回は活動を行なっています.
そうなると,何をするにしても部活による時間の束縛がネックとなってしまいます.
バイトを頑張りたいにしろ,課外活動を頑張りたいにしろ,「◯曜日は部活」という制約が活動の幅を狭めることになります.
私自身,普通に週◯回で参加必須の部活に参加していたとしたら,インターンも地下アイドルの運営もできていなかったことでしょう.
一方で,活動への参加が任意で,活動日数も週1回など少なめの部活がある場合は,「ゆるくやりたい」「他に頑張りたいことがある」という方でも検討できます!
お金が貯まりやすい
周囲の部活を頑張っている医学生を見ていると,部活による出費で金欠に喘ぐ医学生も少なくないように感じられましたが,部活に入らないと,少なくとも部活による出費は発生しません.
また,課外活動の内容によっては賃金が発生するものもあり,そうした活動を生活の中心に据えるのであれば基本的にお金は貯まっていくことでしょう.
実際,私の場合はインターンが有給のものであったこともあり,その時期には貯金できていました.
なお,地下アイドルの運営をやっていた頃は,事業自体があまりがっつり儲かる性質のものではない一方で交通費や飲みのお金がかさむため,金銭的に余裕があるとはいえない状況でした.
ですので,部活をやらなかったからといって必ずお金が貯まるのかといえば,その分空いた時間に何をやるかに左右されるというのが現実です.
お金を貯めたいだけであれば,部活をやらずにアルバイトを頑張る!というのが正攻法かつ堅実なのではないかと思います.
ムラ社会からの脱却
医学部は各学年100名程度,授業も多く毎日一緒にいることから,どうしても狭い世界に閉じこもることになりがちです.
部活動にどっぷり浸かるのであれば,部活動の先輩・後輩などとの強固な繋がりもでき,良くも悪くも「医学部の世界を中心に生きていく」を加速することになります.
一方で,部活をメインに据えず,学外の活動に積極的に参加することで,自分の居場所を増やすことができます.
もちろん,部活をしっかりやっている方でそれと同時に学外のサークルなどを頑張られている方もいらっしゃいます!
体力に自信のある方は,部活と自身が頑張りたい他の活動を両立を目指してもやっていけると思います.
医学部の部活に入らないデメリット
先輩・後輩との繋がりが希薄になる
医学部内で先輩・後輩との関係を構築する場はやはり部活がメインになるので,部活に入らないと,そうした縦の繋がりが希薄になってしまいます.
縦の繋がりができないことで主に皆様が心配されることは,やはり学校の定期試験やマッチングの情報が回ってきにくくなる,といった懸念ではないでしょうか.
ですが,定期試験対策については,シケタイ(試験対策委員会)制度が充実しており,学年で協力して試験対策プリントを作成・共有する体制の大学も少なくありません.
そうした大学であれば,部活に入っていないからといって定期試験が不利になることはないでしょう(私の大学もそうでした!).
また,マッチングの情報についても,学年ごとに情報が上の代から引き継がれるタイプの大学であれば,部活の有無によらず,必要な情報は概ね得られると思います(私の大学もこういった形の引き継ぎ方です).
ですが,例えばマッチングの情報については,先輩との繋がりが希薄だと,先輩からの生の声などはなかなか聞く機会が得にくくなってしまうこともまた事実です.
また,OBOGとの繋がりも薄いため,OBOG経由でマッチングの情報を得ることも,部活なしだとなかなか難しいかもしれません.
全く別の観点では,後輩との関係が薄いと,「先輩!」と言ってもらえる機会に恵まれず,そういった寂しさもあるかもしれませんね(笑).
後輩・後輩,あるいは学内の医療系他学科との恋愛も,残念ながら難しくなってしまいます…….
青春っぽさを味わいにくい
医学部の部活の醍醐味といえば,やはり東医体・西医体と呼ばれる年に一度の医学部対抗大型大会でしょう.
この大会に向けて流した汗と涙,そしてチーム一丸となって仲間とともに優勝を目指す一体感は,まさに青春.
部活に入らないということは,このような形の青春の機会を諦めることにもなります.
もちろん,部活以外で青春を味わえるような活動に取り組まれるという方は,そこでのかけがえのない経験が大切な思い出となって,あなたの人生を豊かなものにしてくれることでしょう!
ちなみに私はというと,取り組んでいた活動の「仕事感」が強すぎて,毎日充実してはいましたが,青春っぽさは皆無でした(笑).
部活に入らず青春を謳歌したいという方は,学生らしいサークルなどの活動を頑張ってみるのも手かもしれません.
”常につるんでいるタイプの同期”を作りにくい
部活での同期は一緒に過ごす時間が長く,大学生活のリズムが似たような感じになるため,学内外でよくつるむ相手も部活の同期になりがちです.
そういった,「いつメン」的な関係を作りたい方は,部活に入った方が確実かもしれません.
一方で,周囲と積極的にコミュニケーションを取り,自分からガンガン遊びに誘ったりなどすれば,部活の同期でなくともよくつるむ相手を作ることは可能です.
また,高学年になって病棟実習が始まると,実習班のメンバーとはかなり仲良くなることができます.
私も,部活こそやっていなかったものの,実習班の班員とはよく飲みに行っていました.
「部活に入っていない」という医学部における友達作りのビハインドは,あなたの働きかけや,周りの人たち次第でどうとでもなる,というのもまた事実です.
マッチングで部活の話題が使えない
医学部生が初期研修先を選ぶために行う就職活動,通称マッチング.
マッチングは,興味のある病院を見学し,見学を経て研修を行いたいと感じた病院の面接を受ける,というのが大まかな流れとなります.
そのマッチングですが,病院見学でも面接でも部活の話題はド定番となっています!
昨今は部活に入らず他の課外活動を頑張る学生が増えたとはいえ,マッチングで面接を担当される先生方は,部活を頑張る医学生が圧倒的多数だった時代に医学生だった方々が大半です.
そのため,上の先生方の世代からすると,やはり部活に入っていないというのは,採用の可否を判断する上で気になるポイントになってくることも多いと思われます.
実際に私も,見学・面接先では必ずといっていいほど部活の話題を振られ,部活に入っていないというと怪訝な反応をされることもありました.
部活での経験を重視される先生方の多くは,学生の協調性,社会性,体力を推し量るために,部活,ひいてはそこでの経験を一つの軸としているのだと思われます.
そのため,部活に入っていない方は,部活に入らなかった理由や,その代わりに頑張ったことをきちんと説明できるように準備して,病院見学や面接に臨むことが好ましいでしょう.
まとめ
以上,部活に入っていなかった筆者の視点で,部活に入らない医学部生活について説明させていただきました.
部活に入るという選択肢も,入らないという選択肢も,どちらも一長一短です.
筆者自身は部活に入らなかったことを後悔していませんし,濃密な学生生活を送ることができたと自負していますが,筆者の周りにいる部活に入っていた医学生の多くもまた,笑顔で充実した学生生活を謳歌しています.
本記事【入部しない編】と,【入部する編】を合わせて読んで比較検討していただき,よりご自身にあった選択をしていただけましたら幸いです.
たった一度の医学部生活.是非とも,悔いのない実りのあるものにしてください!