[5・6年生向け]ガイドラインからみる107回国試
第4回:多様化する“治療”を追え!(その2)
編集Aです.
107回国家試験と,平成25年医師国家試験出題基準(ガイドライン)について
お送りしているシリーズの4回目です.
前回は,ガイドラインで比重が高まっている
『放射線治療』と『血管系治療』に関する出題を紹介しました.
これらは在宅医療の拡大やQOL重視に伴い普及している治療法です.
高齢社会を背景とする領域の拡大が,新ガイドライン改訂の一つの柱でしたが,
107回国試でも,その傾向が如実に現れたと言えます.
今日も,そんな話をしていきます.
◆高齢者症例問題が急増!~臨床長文(3連問)は高齢者と救急ばかり~◆
先日配信した「データでみる107回国試」でもお伝えしたとおり,
今年は連問のテーマに大きな特徴がみられました.
ほとんどが高齢者と救急に関する問題です.
連問だけでなく国試全体においても,高齢者関係の設問が多くみられています.
実習でも国試対策でも,意識して勉強してみてください.
◆在宅医療がキーワード◆
臨床問題だけではなく,一般問題でも
在宅医療に関連する問題が出ています.
例えば,こちら.
医療と介護の区別が問われました.
107G1
在宅ケアのうち医師の指示書が必要なのはどれか.
a 自宅改修
b 訪問看護
c 訪問介護
d 通所介護
e 通所リハビリテーション
正解:b(正答率:96.6%)
訪問看護は平成24年度の診療報酬改定の重点課題にも挙げられており,
トピックといえます.
◆緩和医療―今後も要注目◆
緩和医療に関しては年々出題が増えており,
しっかり対策をとっている受験生も多いと思います.
今回特に新傾向の問題はみられませんでしたが,
正答率が非常に低かったこの問題を紹介しましょう.
107E28
緩和ケアについて正しいのはどれか.
a 医療用麻薬の投与は避ける.
b がんの診断後に早期から行う.
c 意識障害の患者は対象としない.
d モルヒネは体性痛に有効である.
e 経済的苦痛は身体的苦痛に含まれる.
正解:b(正答率:35.8%)
緩和ケアに関する基本的知識を問う問題です.
正解はbですが,62.7%の受験生がdを選んでいます.
緩和ケアは末期の患者さんだけが対象なのではなく,
早期から適用することが重要です.
この選択肢,93回国試で間違い選択肢として出題されています
(93A3『×:対象は末期がん患者に限られる』).
14年前の問題ですが,QBを使っていた人は一度は解いているはず.
bとdで悩んだ人も多かったようで,
dを外すためには,体性痛と内臓痛の違いをおさえておきましょう.
◆◆◆
今後も,高齢者症例ならではの対応を問う問題や,
在宅医療・緩和医療など,近年の日本の医療事情に沿う領域からの出題は
新ガイドラインの傾向から考えても,重視されていくことは必至です.
意識して勉強してみてくださいね!
*参考:緩和ケアに関する記事はこちら
*参考:余命への配慮に関する記事はこちら
ここまで,さまざまな治療や対応が求められていることを
お伝えしました.
新傾向問題への対応だけでなく,
一度出題された問題で,今回正答率が低かったものは
次に出題されるときには正答率がぐっと上がります(皆が対策済のため).
新傾向問題への対策と合わせて,
必ず一度はQBで過去問を解いておきましょう!
次回は,必修問題に注目します!
(編集部A)