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[5・6年生] 医療ニュースから予想する国試 第2回:風疹・先天性風疹症候群

みなさん,こんにちは.
編集部のT.Kです.
ジメジメした天気が続いていますが,
雨にも負けず,湿気にも負けず,
病院実習および国試対策は順調でしょうか?

さて,今月より始まった新シリーズ
医療ニュースから予想する国試」の第2回をお届けしたいと思います.

第1回の記事はこちら
http://web-informa.com/kokushi/20130607-2/

今回のテーマは昨年度より流行している“風疹・先天性風疹症候群”.
テレビやネットなどでも報道されているので,みなさんご存知かと思います.

まずは昨年から今年にかけての風疹の報告数をみてみましょう(厚労省ホームページ参考).

●風疹の報告数(2012年~)
2012年は2,392例の報告があり,過去5年間では最も多い報告数でした.
2013年は3月末時点で,2012年の報告数を上回っており,平成20年以降,最も早いペースで報告数が増えています

風疹自体は特別な合併症を起こさない限り,自然に治癒して,原則,終生免疫を獲得できる病気なんですが(まれに再感染もあるようです),

妊婦さん,特に妊娠初期の女性が風疹にかかると,生まれてくる児に,先天性風疹症候群を引き起こす可能性がありましたね.

実際に,2012年10月から2013年5月末までに先天性風疹症候群の児が10人報告されています.この数は例年と比べて非常に多いんです(例年0~1名).
子供は国の宝,予防できる病気は可能な限り予防すべきで,確かな知識が求められます.

このような現在流行している疾患,あるいは最近流行した疾患というのは,新しい検査や新しい治療が発明されなくても,やはり国試に反映されやすい.研修医が知っておくべき知識でもあるわけですから.

では実際に,過去の流行と国試の出題を検討してみましょう.

記憶に新しいのは2003年から2004年にかけての流行
この時には,厚生労働科学研究班による「風疹流行および先天性風疹症候群の発生抑制に関する緊急提言」が2004年9月に出され,予防接種の推奨風疹罹患妊娠女性への対応流行地域における疫学調査の強化が行われました.

それ以降の国試で風疹の問題が出題されたかというと…

2004年度(98回)の国試では問われませんでしたが(おそらく問題作成が間に合わなかったのでしょう),

翌年の2005年度(99回),翌々年の2006年度国試(100回)で“妊婦に関する風疹”の臨床問題が連続して出題され,2007年度国試(101回)では“先天性風疹症候群”の一般問題が出題されました.
まさに当時トピックであったからこそ出題された問題と考えてよいでしょう.

2012年度国試(107回)では,胎児期の感染が感音難聴の原因となるのはどれか?という問いがあり,風疹ウイルスサイトメガロウイルスを選ばせる問題も出題されたところです.

したがって,2012年に風疹が流行し,今年も大流行している疾患だけに,
2013年度の国試(108回)でも問われる可能性は多いにありえます.

それに備えて本メルマガでは,
風疹が流行した時に出題された“妊婦に関する風疹”の問題を1問みておきましょう.

【100H27】
28歳の女性.同居している夫の姪が最近風疹に罹患したので,心配になり来院した.約1年前に結婚し,強く妊娠を希望している.麻疹と水痘とは幼児期に罹患したことが分かっているが,風疹の罹患歴と予防接種歴とは不明である.月経は規則的で半月前に通常の月経があった.感染症発生動向調査によると,この地方で風疹の流行は最近ほとんどみられていない.
適切なのはどれか.2つ選べ.
a 本人の予防接種歴を母子健康手帳で確認する.
b 風疹ワクチンを接種する.
c 夫に風疹予防接種を受けてもらう.
d 風疹の抗体価を測定する.
e 夫の姪と別居する.

妊娠を強く希望している女性の症例です.
同居している姪が風疹にかかったので,本人も心配になって来院したわけです.
この時,適切な対応はどれか?を問う問題なんですが,

とにもかくにも「b 風疹ワクチンを接種する」はダメ!禁忌!

問題文に“月経は規則的で半月前に通常の月経があった”とありますね.
半月前の時点で妊娠していないのは確実ですが,本症例では妊娠を強く希望しているだけに,この月の排卵で妊娠する可能性があります.

妊娠初期の妊婦に風疹ワクチンを接種すると胎児が感染することがあるので,
妊娠を否定せずにワクチンは禁忌!国の宝を守るためです.このことは絶対に知っておきましょう.

さて,風疹は一度かかると,あるいは予防接種を受けると,抗体が作られて原則として二度とかからない病気でしたね.
ゆえに,本症例のような女性を診察した場合には,
まず今までの予防接種歴を母子手帳で確認すること,今までの風疹の罹患歴を確認することになります.
ただ,本症例では本人が「風疹にかかったかどうか覚えていない」わけですから,
風疹の抗体価を測定して,現時点での免疫力を評価する必要があります.

ゆえに正解は,dとなります.

問題の解説は以上になりますが,ここで知っておきたい“妊婦に関する風疹”の重要事項を列挙しておきますね.
●妊娠初期の妊婦に風疹ワクチンを接種すると胎児が感染することがあるので禁忌!
●妊婦の風疹が不顕性であっても先天性風疹症候群は発生しうる!
●先天性風疹の児は生後数ヵ月~2歳ころまでウイルスを排出して感染源となる!

また風疹の抗体価をどう評価するかも重要です.ここでは割愛しますので,参考書で確認するようにしてください.

では最後に,次回国試に向けてのチェックポイント!

今回ご紹介した問題の選択肢で
c 夫に風疹予防接種を受けてもらう」というのがありました.
明らかな正解選択肢が2つあることと,夫の罹患歴や予防接種歴によって予防接種の必要性が変わるので正解にはなりません.

ですが,現在パートナーの男性から女性への感染も重要視されています.
特に20~40歳代の男性,つまり妊婦さんの夫世代が,風疹の免疫を持っていない人が多く,風疹患者数が最も多い集団といわれているんです(日本産婦人科学会ホームページ参考).

以上のことを考慮すると,今後,正解選択肢の一つに“パートナーである男性への予防接種”というのがあってもおかしくないでしょう.ワクチンを打ったことで妊婦さんを守ることになるんですね.

実際に,風疹緊急対策として,妊婦さんの夫への予防接種を助成している自治体もあるくらいです.気になる人はネットか何かで調べてみましょう.

ではでは今回はこれまで.
次回のテーマは“結核”を予定しております.
時間があるときにぜひご覧になってください!

(編集部T.K)

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