[5年生向け]国試からみる,臨床実習のポイント!(その1)実践でOSCEの復習しよう!

こんにちは,編集部のM.Tです.
5年生のみなさん!新学年ももう1ヶ月以上経ちましたね.
臨床実習には慣れてきましたか?
ゴールデンウィークを引きずって五月病を発症していませんか?

1年以上を費やして行われる臨床実習
これが研修医生活だけではなく,
国家試験にも大きく関係していることを,
皆さんご存知でしたか…?

そこで今回から数回にわたって,
108,109回国試の問題を例に挙げて,
臨床実習と国試の関係についてお話したいと思います.
題して「国試からみる,臨床実習のポイント!」
第1回の今日は「OSCEと国試の関係性」をテーマにお送りします.

■近年の傾向やいかに,臨床重視の国試

部活の先輩方の様子をみて,
「国試対策=机にかじりついてひたすら暗記」
というイメージを持っている方が多いのではないでしょうか.
確かに国試では医師として必要な知識が多く問われるので,
過去問演習や知識の詰め込みも重要なことです.

ただし,近年では知識だけではなく
「医師としての対応力」もよく問われる傾向にあります.
難易度は様々で,みなさんが最近受けたOSCEのレベル,
あるいは研修医に求められるレベルの問題も出されています.

OSCEは皆さんご存知の通り,
臨床実習に出る前に全国の医学生が受ける実技型の試験のことです.
OSCEでは学生が実習を受けるにあたり,
最低限必要とされるレベルの診察手技などを問われるのですから,
国家試験の中で出される場合,「必修問題」として扱われることが多くなります.

簡単なものもあれば,「あれ?どうだっけ?」と受験生が悩んだ問題もあるOSCEレベル.
そこで今回は109,108回国試から1問ずつOSCEレベルの問題を紹介したいと思います.

まずは108回の問題です.

【108C6】
聴診法による血圧測定について正しいのはどれか.
a マンシェットの中に聴診器のチェストピース全体を差し込んで測定する.
b 上腕動脈の上に聴診器を置き,血管雑音を確認してから加圧を開始する.
c 70mmHgまで速やかに加圧し,その後10mmHgずつ加圧しながら測定する.
d Korotkoff音の第1点が確認できない時は,一度完全に減圧してから再度測定する.
e 減圧を進めてKorotkoff音が消失したら,すぐにバルブを全開にして急速に減圧する.

正解はdで,正答率はなんと48.7%…!
必修問題ということを考えると相当低い正答率です.

血圧測定はOSCEを受ける前に必ず練習しているはずです.
しかし,できるだけの知識があるからといって,
実習中に何度も実践できるわけではありません.
実習で立ちあった場合は,その手技を漫然と見るのではなく,
その手順を書き留めるなどして復習し,いつまでも忘れない努力をしましょう.

次に109回の問題です.

【109C18】
35歳の女性.3ヵ月以上続く頭重感を主訴に総合内科を受診した.症状は午後から夜に増悪するが日常生活に支障はない.これまで複数の病院を受診して頭部CTと頭部MRIとを施行されており異常はないと言われていたが,頭部MRIをもう一度行ってほしいと患者は強く希望している.
この患者にまず医師がかける言葉として適切なのはどれか.
a 「私に任せなさい」
b 「医療費の無駄遣いです」
c 「頭部MRIの予約をします」
d 「脳神経外科を受診しなさい」
e 「頭の重いのが続くのが心配なのですね」

正解はe「頭の重いのが続くのが心配なのですね」で,正答率は99.7%でした.
OSCEの練習中に教わったと思いますが「理解」,「共感」を相手に示すことが,
現場での患者さんとのやりとりにおいて重要ですね.

問題文で見ると「うんうん,共感示すんだよね」とすぐ答えを選べてしまうものですが,
臨床現場で皆さん,患者さんと色々お話出来ていますか?

僕が臨床実習を受けていた頃,
「問診はM.Tに任せるよ.神経診察は私がするから」
と,患者さんとの会話に消極的な友達がいました.

「何のための臨床実習か」と今となっては思います.
自分が苦手だと思っていることこそ,学生のうちに多くの経験させてもらって,
少しでも慣れて,研修医になって困らないようにする.
それが臨床実習で大切なことの1つであるように思います.

国家試験でも問われますし,知識としては「傾聴・共感」などを覚えておくのも大切ですが,
実際に自分が現場でできるようになる.そんな意識で実習に臨んでもらえればと思います.

臨床実習はとても貴重な時間です!
その貴重な期間をどれだけ充実したものにできるかは,みなさん次第です.
OSCEはただの試験ではなく,その先の臨床実習,国試,研修医生活に繋がることを意識して,
覚えたことは必ず繰り返し実践してみましょう!

回る科によっては,しばらく診察手技を行う機会がない場合もあります.
また,実習が終わってから国試本番までは意外と時間があり,
どうしても実際の手技については記憶が薄れがちです.

108,109回国試受験直後の学生さんの中には,
「実習で回る科にあわせて,『診察と手技がみえる』を読み進めた」
「診察・手技については,『レビューブック必修・禁忌』でこまめに確認していた」
と言ってくださった方も!
ぜひ参考にしてみてくださいね!

これで第1回を終わりにします.
次回も国試の問題を使って,臨床実習について考えていきます!
お楽しみに!

(編集部M.T)

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