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カルテの書き方講座 その1【研修医コロナのカルテ。第2回】

 
みなさま,こんにちは!編集部のN.Mです.
「医学生コロナのRoad to Doctor【医師への道】」の筆者であるコロナさん(現在研修医1年目)の連載「研修医コロナのカルテ。」です. 
第2回目はカルテの書き方について教えていただきました.
 


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研修医コロナのカルテ。第2回
『カルテの書き方講座 その1』

 

『研修医コロナのカルテ。』第2弾の今回は,タイトルともなっているカルテについて話していこうと思います. 

もともと,カルテという言葉はドイツ語のKarteから来ています.これは診療記録カードという意味です.日本語では診療録と表記します.

そして医師法で色々と定められているんですね.昔はカルテはドイツ語で書いていたそうですが現在では日本語と英単語を混ぜて記述します.

 

 

①まずは診療録に関する法律の記述を学ぼう

 

【医師法】 [診療録の記載及び保存]

第24条 医師は、診療をしたときは、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。

2 前項の診療録であって、病院又は診療所に勤務する医師のした診療に関するものは、その病院又は診療所の管理者において、その他の診療に関するものは、その医師において、5年間これを保存しなければならない。

 

 

 

医師法24条は医師国家試験でも頻出です!

カルテは5年間保存です.これが定められたのは,紙カルテだった時代の法律であり,倉庫がいっぱいになっちゃうので5年経ったら破棄しても良いよということです.現在は電子カルテが基本の時代で,電子カルテは永久保存です.

 

 

 

 

【医師法施行規則】 [診療録の記載事項]

第23条 診療録の記載事項は、左の通りである。 一 診療を受けた者の住所、氏名、性別及び年齢 二 病名及び主要症状 三 治療方法(処方及び処置) 四 診療の年月日

 

 

 

医師法24条を補足する法律です.

え?記載内容これだけ?と思うかもしれませんが,保険診療なら以下の記載も必要です.

 

 

 

 

【保険医療機関及び保険医療養担当規則】 [診療録の記載及び整備、診療録の記載]

第8条 保険医療機関は、第22条の規定による診療録に療養の給付の担当に関し必要な事項を記載し、これを他の診療録と区別して整備しなければならない。

第22条 保険医は、患者の診療を行った場合には、遅滞なく、様式第1号又はこれに準ずる様式の診療録に、当該診療に関し必要な事項を記載しなければならない。

 

 

 

具体的には,受診者の情報,被保険者証に関する事項,傷病名,公費負担番号,処方・処置等,診療点数などを記載します.電子カルテだとだいたい自動で入力されます.

 

 

 

 

②カルテ記載の注意事項

 

⑴カルテは公的文書!

医師の綴った文字がそのまま公的文書になります.

よって,私的なメモでないことを確認し,診療における事実を正確かつ客観的に記載する必要があります.

 

 

また,開示請求の対象にもなるので,

ⅰ 不必要な,患者のプライバシーに関わることは記載しない

ⅱ 患者の性格や態度についての意見は記載しない

ⅲ 他の医療スタッフへの批判を記載しない

ⅳ 自分のミスは他人のせいにはせずきちんと記載する

ことが大切になります.

 

 

研修医になりたての頃,お前のカルテは独り言か?宣言か?と怒られたことがあります.

絵文字や顔文字はもちろん「!」や「?」も使わない方が良いそうです.

 

 

 

 

⑵毎日記載する!

例えば入院患者で経過が変わらないからといってカルテ記載をしないと,診療していないか医学的な判断をしていないとみなされてしまいます.電子カルテではSOAPのコピペができるので時短で毎日書きましょう.

 

 

SOAPのコピペでSだけ書き換えるのはあるあるですが,記載内容に「本日」や「明日」があると日付が変わると虚偽のカルテになってしまうので,できるだけ「◯月◯日」のように日付で記載しましょう.

 

 

 

③カルテの書き方といえば?

カルテはPOS (Problem-Oriented System)問題志向型システムで書くのが良いです。 POSは以下の3段階で構成されます。 ⑴POMRの作成 ⑵POMRの監査 (指導医と共に評価や反省を行う) ⑶記録の修正 (POMRの監査に基づいてプロブレムリストやアセスメントを仕上げる)

 

 

ではPOMRとは一体なんでしょうか.

 

 

POMR (Problem-Oriented Medical Record) とは問題志向型診療記録のことで,以下の4段階で構成されます.

 

 

⑴基礎データ (Data Base)(主訴・現病歴・既往歴・バイタル・検査所見・身体所見など)

⑵プロブレムリスト (Problem List)

⑶初期計画 (Initial Plan)

⑷経過記録 (Progress Note)

またこれらの4段階に考察を加えてまとめたものが退院時サマリーです.

 

 

プロブレムリストを書くときに「シャープ1,シャープ2」と言いますが,じつは#はシャープではなく,ナンバーサインという記号です.♯がシャープです.

 

 

⑶初期計画はプロブレムリストに基づいて,3つの計画を立てます.

ⅰ 診断計画 (Diagnostic Plan) ex) 腹部X線撮影,造影CT施行

ⅱ 治療計画 (Therapeutic Plan) ex) 抗菌薬投与,虫垂切除術

ⅲ 教育計画 (Educational Plan) ex) 服薬指導,術後リハビリ

 

 

⑷経過記録は叙述的記録(Narrative Notes)をし,SOAPの4項目に整理して記載します.

ⅰ S (Subjective) 患者の訴え

ⅱ O (Objective) 診察所見,検査結果

ⅲ A (Assesment) 医師の推察・考察

ⅳ P (Plan) 計画

 

 

 

 

【コロナのちょっと一言】

上の記載方法は,EBM (Evidence Based Medicine)を実践する上で非常に大事なことですが,この記載方法が使われる以前はEBM (Experience Based Medicine)が実践されていました.

インターネットもなかった時代,医師は医学書と自らの経験のみをベースに治療していたのです.

 

EBM (Evidence Based Medicine)は確かに医学の進歩に貢献してきましたが,実は患者さん一人一人の幸福度とは直接結びつくわけではありません.

国民皆保険制度と高額な医療費が日本という国の財政を圧迫する今,VBM (Value Based Medicine)が大切になってくると思います.

Valueとは医療コストの面と患者のQOLの面があります.これからの時代では医療経済も圧迫せず,患者も満足できる医療こそが重要なのではないでしょうか.

 

 

次回はカルテの書き方講座 その2です.より実践的な内容にします!


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筆者:コロナ(都内市中病院 研修医)
 「医学生コロナのRoad to Doctor【医師への道】」の管理人であり,医学生や医学部受験生に有益な情報を配信中.趣味は筋トレとワイン.「医学生コロナのRoad to Doctor【医師への道】」