国試

[115回国試受験生向け]『イヤーノート』で直前対策(後編)★狙いを定めて「黒字」もチェック!

編集部A.Kです.

前編に引き続き,国試に向けて,“今からでもできる,イヤーノート活用法”をご紹介します.

 

 

狙いを定めて「黒字」もチェック!

 

 

『イヤーノート』の黒字」(=国試で未出題)のうち,

重要そうなポイントをチェックしましょう.

 

国試では,過去問と同じ問題(プール問題)もしくは類似問題は,毎年およそ30%と言われています.

残りの70%は,これまでに問われていない内容が出題されるわけです.

 

メディックメディア編集部では毎年,国試の内科・外科分野がどれだけ『イヤーノート』で解けるかを検証していますが,毎年95%程度,解答できています.

つまり,上記の内科・外科範囲の70%は,ほぼ“『イヤーノート』の黒字部分でフォローできる”のです.

 

といっても,青字以外のすべての黒字に注意を払うのは不可能というもの(特に直前期は,そこまで手が回らないですよね).

そこで,情報量の多い疾患に関しては,特に重要度が高い「検査・治療・対応」に関わる黒字を集中してインプットするようにしましょう.

また,青字が集まっている付近にも注目.その近辺の黒字は重要です

余裕があれば,トピック的疾患の黒字にも注目しましょう.

 

実際の国試問題を見ながら,『イヤーノート』の黒字部分が出題された例を見ていきます.

 

頻出疾患の検査・治療・対応に関わる「黒字」,補足項目などのトピック的情報の「黒字」

●青字(=国試既出)が集まっている付近の「黒字」

 

 

 

●頻出疾患の検査・治療・対応に関わる「黒字」

【114D51】

70歳の女性.発熱と頸部のしこりを主訴に来院した.8年前に関節リウマチと診断されプレドニゾロン,メトトレキサート及びNSAIDによる治療を継続している.1週前から誘因なく発熱が持続するため受診した.身長155cm,体重43kg.体温38.4℃.脈拍104/分,整.血圧120/80mmHg.呼吸数20/分.口蓋扁桃の腫大を認めない.両頸部と両腋窩に径2cmの圧痛を伴わないリンパ節を1個ずつ触知する.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は平坦,軟で,肝・脾を触知しない.関節に腫脹と圧痛とを認めない.血液所見:赤血球315万,Hb 10.2g/dL,Ht 32%,白血球2,800(桿状核好中球36%,分葉核好中球44%,好酸球2%,好塩基球1%,単球8%,リンパ球9%),血小板12万.血液生化学所見:総蛋白6.6g/dL,アルブミン3.3g/dL,AST 35U/L,ALT 23U/L,LD 780U/L(基準120〜245).免疫血清学所見:CRP 2.2mg/dL,抗核抗体陰性,可溶性IL-2受容体952U/mL(基準157〜474),結核菌特異的全血インターフェロンγ遊離測定法〈IGRA〉陰性.造影CTで縦隔・腸間膜に多発性のリンパ節腫大を認める.
まず行うべき対応はどれか.

 

a NSAIDの中止
b JAK阻害薬の追加
c 抗TNF-α抗体の追加
d プレドニゾロンの中止
e メトトレキサートの中止

正解:e(正答率 70.0%)

 

免疫抑制薬治療中に発生するリンパ増殖性疾患が疑われる問題です.

当時の受験生が持っていた,最新の『イヤーノート2020』では,

F-99ページに,このような記載があります.

(実際に編集部での分析作業に使用した原稿です↓)

 

 

この画像で青マーカーを引いた部分が問われました.

 

国試頻出の関節リウマチのテーマで,治療に使う薬剤としてメトトレキサートを選択させる問題は国試頻出ですね(114A11111I58など).

しかし,メトトレキサートなどの免疫抑制薬治療中に発生する「医原性免疫不全関連リンパ増殖性疾患」については出題がありませんでした(正答率も70%とそこまで高くありませんね).

そのため当時のイヤーノートでは対応に関する記載である「MTX中止で改善」は黒字となっています

 

各疾患,特に頻出疾患の検査・治療・対応に関わる内容は国試で問われやすいため,

特に頻出疾患に関連する上記ポイントについては,黒字であってもチェックしておくことで,対応できる問題が増えると思われます.

 

 

●頻出疾患の項目にある「補足項目」などのトピック的情報の「黒字」

【114D14】

急性膵炎の重症度判定基準の予後因子に含まれるのはどれか.2つ選べ.
a CRP
b PaCO2
c 尿素窒素
d リパーゼ
e トリプシン

正解:a,c(正答率 37.8%)

 

 

当時の受験生にとって最新の『イヤーノート2020』の原稿がこちらです↓

 

 

「急性膵炎」も前述の「関節リウマチ」同様頻出疾患ですね.

みなさん,症状や治療についてはしっかり押さえていることでしょう.

 

今回ご紹介する114D14では,「急性膵炎」の重症度判定基準の予後因子を問われています.

(2つ選べ,なので曖昧に記憶していると答えづらいですね…)

 

「重症度判定基準なんて出ないだろう.最近の国試では問われてないし…」と予想し,暗記していなかった先輩方が多かったようで,正答率37.8%(当社調べ)と非常に難しい問題でした.

 

さて,誌面を見てていただきたいのですが,タイトル「急性膵炎の重症度判定基準」の部分に「」「」というマークが入っているのがおわかりいただけるでしょうか.

『イヤーノート』では,「内」科専門医試験,「外」専門医予備試験で出題されたという情報がある部分にこのマークを入れています.

「急性膵炎の重症度判定基準(予後因子について)」は2014年,2015年,2019年の内科専門医試験で出題され,外科専門医予備試験でも2017年に出題されています.

(ここ数年,両試験では頻出のようですね)

その後2020年に国試で初出題されたのです.

 

医師国家試験の過去問を解くだけではスルーしてしまう領域も,
このマークを意識することで,トピックの傾向がつかめる場合があります.
余裕があれば,優先的に注目してみてくださいね.

 

 

●「青字(=国試既出)が集まっている付近の「黒字」

【114A67】

43歳の女性.強い動悸と頸部痛を主訴に来院した.1週前から夜間の発熱と咳嗽が出現し,自宅近くの診療所を受診して総合感冒薬を処方された.その後,感冒症状は改善したが頸部痛,動悸および両手指の振戦が出現したため受診した.体温37.1℃.脈拍120/分,整.血圧118/60mmHg.甲状腺はびまん性に軽度腫大しており,触診では甲状腺右葉の腫脹部に圧痛を認める.検査所見:赤沈65mm/1時間.血液所見:白血球9,800.血液生化学所見:TSH検出感度未満(基準0.2〜4.0),FT4 5.86ng/dL(基準0.8〜2.2).免疫血清学所見:CRP 5.0mg/dL,抗TSH受容体抗体陰性.心電図では洞性頻脈を認める.甲状腺超音波検査では疼痛部に一致した低エコー所見を認める.
行うべき治療はどれか.2つ選べ.

a 抗菌薬投与
b β遮断薬投与
c 抗甲状腺薬投与
d 副腎皮質ステロイド投与
e 放射性ヨウ素によるアイソトープ治療

正解:b,d(正答率 77.8%)

 

当時の受験生にとって最新の『イヤーノート2020』を見てみましょう.

 

甲状腺中毒症の3つの疾患(Basedow病,亜急性甲状腺炎,無痛性甲状腺炎)は,それぞれ病像・臨床経過や検査所見,治療方針が異なるため,それぞれの違いを整理・把握しておく必要がありますね. 

亜急性甲状腺炎についても,これまで国試で何度も問われてきたので,イヤーノートでも青字が集まっています.
114A67では,〔治療〕の項目から「β遮断薬」が初出題となりました.
青字(=国試既出)が集まっている付近の黒字は要チェックです.

 

直前期にキーワードを目に入れるだけでも,
それをしているのとしていないのとでは,試験結果は断然違ってくるはず.
「イヤーノート」の情報を膨大と考え不安に感じるのではなく,
この時期は特に,視覚的に「青字」と黒字をさっと確認し,自信につなげてください!

 

皆さんの国試合格を心より願っています!

 

(編集部A.K)

 

国試直前期の使い方はこちらでも紹介中です.↓
直前期の使い方~青字と黒字を使いこなす|『yearnote(イヤーノート)』内科外科のエッセンスが一冊に

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