実習・マッチング

マッチングの面接対策 キホンのキ ~想定質問編~

面接対策 キホンのキ

面接対策の基本事項についてお伝えしていく本連載.前回の記事では,「志望動機」「自己PR」「将来像」の準備の仕方について,解説させていただきました.

第二弾となる本記事では,前回ご準備いただいた「志望動機」「自己PR」「将来像」を元として,実際の面接で質問にどう受け答えていくかについて,想定質問集をお示ししながら検討していきます.

目次

想定質問への準備に向けて

想定質問への準備は必須!

面接は,基本的に質問への受け答えで会話が進んでいきます.

そのため,面接でよくある質問関する受け答えを用意して望むと,スムーズですし,自分の持ち味を活かしやすいことでしょう.

「準備などせずありのままの自分を見てもらいたい!」という方もいるかもしれませんが,よく考えてみてください.

病棟実習の際にカンファで担当患者さんのプレゼンをしてくださいと言われて,何も準備せずに臨んでいたでしょうか?

おそらく,カルテを見る,聞かれそうな内容について回答を用意しておくなど,何かしらの準備はしていたことと思います.

それと同じで,想定質問への準備は,自分が伝えたい内容を相手に適切に伝え,自分の見せたい部分を伝わってほしい形でプレゼンするために,行なっておくべきものなのです.

およそ聞かれそうな質問がある程度分かっている以上は,それらの質問に対して「端的に」「淀みなく」答えられるように,一定の事前準備を行なっておくことは,ある種のマナーとも言えましょう.

「志望動機」「自己PR」「将来像」との一貫性を大切に

また,想定質問への回答は,原則として用意した「志望動機」「自己PR」「将来像」の基本線に沿ったものになるようにしましょう

また,「志望動機」「自己PR」「将来像」は病院ごとに組み上げるものですから,当然想定質問への回答も病院ごとに準備する必要があります

面倒だと感じるかもしれませんが,恐らく受験する病院群は,あなたの条件とする病院選びの軸の中で何かしら共通する部分があることでしょうから,使い回せる部分は使い回せます.

面倒でもきちんと想定質問への回答を用意して面接に望むことで,一貫性と説得性の高い問答を行え,アピールしたい部分を適切にアピールしうる受け答えができる可能性が高まることでしょう.

なお,この記事ではマッチングの面接でありがちな質問を想定質問として掲載していますが,病院見学の際,研修医の先生に「面接でどんなこと聞かれましたか?」と聞いておくことで,想定質問を集めることも有用ですよ.

「志望動機」関連の想定質問

「当院を研修先に志望する理由は?」(最重要!)

マッチングの面接において,必ずといってよいほど聞かれ,最重要の質問といっても過言ではありません.

当然皆様用意して面接に臨むものかと思いますが,「どうしてもその病院でなくてはダメな理由」を明確に,端的に述べられるよう,準備・練習をしておきましょう.

仲の良い教員や先輩などがいれば,聞いてもらってフィードバックを受けることも有効です.

理由が薄すぎると,「それならうちじゃなくてもよくない?」などと言われてしまいかねませんので,原体験を踏まえた上での,渾身の「御院じゃなきゃダメなんです!」な志望理由をぶつけられるようにしましょう.

「医師を志した理由は?」

その病院での研修を志望する理由以前に,医師を目指したきっかけについて聞かれることがあります.

特に,再受験の方のように特徴的な経歴をお持ちの方や,指定の履歴書に親の職業記入欄があった場合などに聞かれやすい傾向がありますので,対策は必須です.

志望理由や将来像と地続きな理由を語れることが望ましいでしょう.

「見学来ましたか? 見学時の感想は?」

まず,基本的に出願する病院の見学には行くものなので,もし見学に行っていないとすれば,相応の理由や事情を用意しておかなくてはなりません

その上で,実際に研修医の方や入職されている先生から伺った生の声を元にした「その病院に行きたいと感じている」理由を語れなくては,志望理由に説得性を感じてもらうことは難しいと思われます.

見学や実習でその病院に伺ったという人は,その感想を,志望理由と地続きなものとして語れるよう,準備しておくとよいでしょう.

「志望順位と併願先は?」

志望順位は1位と答えることがセオリーですが,1位と答えるのであれば,きちんと「随一である理由」まで述べられるように準備しましょう.

また,併願先は,その病院を志望する理由と矛盾しない併願先を述べるようにしたいところです.

「この人はこういう軸で研修先を選んでいて,中でもうちが本当に一番なんだな」と思ってもらえるベストな回答が用意できると完璧です.

「この地域に縁はある?この地域を選んだ理由は?」

その病院がある地域に地縁がある場合は違和感なく志望していることを受け入れられると思いますが,そうでない場合は,なぜその地域の病院にしたのかが聞かれる可能性が高いと思ってよいでしょう.

その地に対して感じている魅力を語るもよし,「この地域が,というよりは御院が魅力的なんです!」と話を持っていくもよし.

志望理由との整合性を損なわず,理由を語れるようにしましょう.

「自己PR」関連の想定質問

「学生時代に頑張ったことは?」

いわゆるガクチカ.もう自己PRを準備した段階で,エピソード含めて用意できていると思います.

部活でもバイトでも,エピソード自体は何でも大丈夫なので,きちんと自分のアピールしたい持ち味をPRできるような切り口でのエピソードトークを準備しましょう.

「部活は何部?」

「何部?」とだけ聞かれた場合は,端的に「◯◯部でした」と答えることが好ましいでしょう.

その上で,「その部活で大変だったこととかある?」などと聞かれた場合を想定し,その部活で頑張ったことなどをアピールしたい長所と絡めて語れるような準備をしておきましょう.

昨今は部活をやっていない医学生も少なくないと思いますが,面接官の椅子に座る先生方の多くは「部活をやっていて普通」の世代の方々だと思われますので,部活をやっていなかった人,部活を途中でやめた人は,理由を説明できるように準備しておきましょう

「長所と短所は?」

長所は自分のアピールポイントそのもので構いません.「具体的に?」と聞かれたときのエピソードトークも用意しておきましょう(自己PRで用意したものと同じで大丈夫だと思います).

一方,短所については以下の2通りのアプローチが定番だと思われます.

①長所やアピールポイントと絡めた短所を述べる

例:「アピールポイント:責任感が強い」→「短所:一人で悩みを抱えがち」

短所について,それをどうカバーしている/するつもりかについてまで回答を用意する

例:「短所:流されやすい」→「改善策:重要な意思決定の局面では,できるだけ多くの人に相談して判断材料を集めるよう心がける」

「趣味・特技は?」

定番の質問ですが,これも自分のアピールしたいポイントと絡めたエピソードを展開できるようにしておくとよいでしょう.

「挫折経験を教えて」

この質問には,「障壁をどう乗り越えるか,失敗をどう活かすか」についてあなたのスタンスを知りたいという意図があります.

そのため,単に「挫折しました」という経験を語るだけでは不十分です.

その挫折経験を経てどう成長したか.その反省を今後どう活かしていくかを,あなたのアピールポイントと絡めて語れるように準備しましょう.

「病棟実習で印象的だったこと,印象的だった患者さんは?」

病棟実習での経験を踏まえ,そこで自分がどう動いたか,結果どうなってどう感じたのかを,「見せたい自分」に繋げられるように語ることの可能なエピソードを用意しておきましょう.

こういった話は往々にして,患者さんが出てきて,その患者さんにどう接したかを語ったほうが感情移入しやすく,印象がよいものと思われるので,そのようなエピソードがあればベターです.

「座右の銘は? 尊敬する人物は?」

「座右の銘なんてしらんがな!」という人も多いと思いますが,座右の銘も尊敬する人物も比較的定番の質問です.

いずれも,自分のアピールしたい部分に繋げられるようなものを,理由付きで語れるように準備しておきましょう.

「将来像」関連の想定質問

「2年間の初期研修をどう過ごしたい?」

ド定番の質問.志望理由や将来像と地続きな研修生活について,具体的に答えましょう.

似たような質問として,「初期研修期間をどのような期間だと捉えているか?」などと聞かれることもあります.

それについても,病院のWebページなどに記載された研修プログラムの理念などを踏まえた内容の,志望動機とリンクさせられる内容を用意しておきましょう.

「将来の志望科は? その理由は?」

志望科については各々の志望があると思いますので,その診療科を志す理由として,志望理由や将来像と地続きなものを答えられるように準備しておきましょう.

志望科が明確に定まっていない場合は,その理由や進路をどう決定していきたいかについて述べられる必要があります.

「初期研修を終えた後,専門医を取得した後,さらに遠い将来どうなりたい?」

「理想の医師像は?」と聞かれることもありますが,これぐらい細かく問われることも少なくありません.

各々のフェイズにおける具体的な目標を話せるよう,そしてその目標に向けて自分が各時期にどう行動しようと思っているかを述べられるよう,将来像をより具体化して準備しておきましょう.

「専攻医プログラムはどこの医局とか考えてる?」

独自の専攻医プログラムを持っている病院や,特定の医局の有力な関連病院でその科を志望していた場合などに聞かれる可能性があります.

どうしてそのプログラムを選択したいか,そのためになぜ初期研修先はこの病院がいいのか含めて,明確に説明できるようにしましょう.

「将来はこの病院/地域に残るつもりある?」

専攻医プログラムのある病院や,医療過疎地域の病院では聞かれる可能性が高いです.

志望理由や将来像と整合性が取れた内容を述べられるようにしておきましょう.

なお,病院によっては独自の専攻医プログラムを持っていても残ってもらうことは元より望み薄だと考えて別口でのリクルートに力を入れていたり,院長など人事権を持っている人がそもそも「研修医には自由に進路を選んで欲しい」と思っていたりなど,病院ごとに異なる事情があると思いますので,その点は見学時にリサーチしておきましょう.

その他の想定質問

「国試は大丈夫そう?」

この人マッチしてもちゃんと国試受かってくれるのかな?」は病院側からすると大変切実な部分です.

特に留年生の方や国試浪人をされている方などは聞かれやすいのではないかと思います.

模試の成績や,どう計画的に勉強を行なっているか,その進捗など,相手を少しでも安心させられる材料が用意できていると心強いです.

「身内に医療関係者はいますか?」

両親など,身内に医師や医療関係者がいるかを聞かれることもあります.

この質問は,医師を志望した動機につながってくる要素も大きいと思いますので,続いてそうした質問が来たときに備えて準備をしておくことが必要です.

また,親が開業医などであった場合は,次いで「将来は実家に戻って継ぐつもりなのか」を聞かれる可能性も高いです.

病院としては地域に残ってほしいと考えているなど,病院ごとに思惑があり,その質問の答え次第でネガティブにもポジティブにも作用する可能性があるため,「将来的にはこうしたい」という希望を,根拠と説得性を持って説明できる準備が大切です.

「リフレッシュ・ストレス解消の方法は?」

精神科医の先生が同席する面接で聞かれやすいイメージ.

質問の意図としてはメンタル面での健康について聞きたいのだと思われますので,反社会的な方法やネガティブな方法でなれば,素直に答えるで大丈夫だと思います.

「年下の同期や先輩とは上手くやっていけそう?」

再受験・学士編入学の方や,多浪,休学などで年齢が一回り上の方は,聞かれる想定で準備しておきましょう.

医学部生活の中での具体例などを持ち出して,「年下とも上手くやっています」と説明できれば問題ないと思われます.

「逆に質問はありますか?」

多くの面接で聞かれる可能性の高い「逆質問」.

だいたい聞かれるものだと分かっているのですから,事前に聞く内容を準備しておきましょう.

なお,Webページやパンフレットを見れば分かるような内容を聞くことは,印象を損なうだけなのでやめましょう.

生の声でなくては分からない質問を用意できるとグッドです.

想定質問への準備を行なってスムーズな受け答えを

以上,基本的な想定質問を列挙させていただきました.

これらの質問がそのまま聞かれるとは限らず,実際には同じニュアンスの質問を形を変えて聞かれる,といったケースが多いかと思います.

ですが,本質的に答えるべきものは変わりませんので,堂々と準備したものを適宜調整して答えるようにするとよいでしょう.

また,掲載内容以外の質問がなされることもありますが,それは回答した内容への深堀りか,突飛な質問への対応力を見たいか,アイスブレイク目的かぐらいだと思われます.

「自己PR」「志望動機」「将来像」から想定質問まで入念に準備をされてきたあなたにとっては造作もなく受け答えできることと思いますので,後は自信を持って面接に望んでください

この記事の想定質問集を用いて,友達と面接練習を行なってみることも一つの手ですよ!

皆様のマッチング対策が上手くいくことを,心より願っています!


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⚫️「自己PR」「志望動機」「将来像」編

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