診察ができる vol.2 鑑別診断
6年生の皆さん,「Post-CC OSCE」に対してどのようなイメージを持っていますか?「4年生の時より難しそう」「実習で忙しいのに……」と,少し身構えてしまう方も多いかもしれません.そこで今回は,OSCE対策をきっかけに「症候学の面白さ」に気づいた,そんな体験記をご紹介します.
単なる試験対策としての暗記ではなく,目の前の症状から病態を紐解いていく「臨床推論」の視点を持つことで,OSCEの見え方,国試対策の見え方まで変わったそうです.
「何から手をつければいいかわからない」
「バラバラの知識をどう繋げればいいのか悩んでいる」
そんな皆さんに読んでほしい「OSCE対策」へのヒントが詰まった体験記です.
O.Tさん
Post-CC OSCEを意識し始めた頃,私は「何をどう勉強すればいいのか」が少し曖昧でした.
診察手技の練習は必要そう.けれど,それだけでは足りない気もする.実際,Post-CC OSCEでは,単に診察手技をこなすだけでなく,症状から鑑別診断を考え,何を優先して確認するかを整理し,最後に自分の考えを説明する力も求められます.
そんな中で,振り返ってみて「やっておいてよかった」と感じたのが,症候学の勉強でした.
正直に言うと,症候学は最初かなり手を出しにくい分野でした.
疾患ごとの勉強は,教科書や問題集の中で比較的見つけやすい一方で,「症候からどう考えるか」は,どこにまとまっているのかが少し分かりにくかったからです.
本屋に行っても,基礎医学の本,各科の教科書,国試対策本,雑誌などに話題が散らばっていて,「結局どこから始めればいいんだろう」と感じていました.低学年の頃から,臨床推論や症候学の話をしている先生や先輩を見て,「面白そうだな」とは思っていたものの,自分で本格的に勉強しようとすると,どうしてもハードルが高く感じていました.
そんな中で,勉強を進めるきっかけになったのが,『診察ができる vol.2』のような,主訴ベースで整理された教材でした.


特に付属の『OSCE対策ノート(Post-CC OSCE編)』は内容が簡潔にまとまっていて,「この症状のときに何を考えるか」「どの問診や身体診察をすると鑑別しやすいのか」がつかみやすかったのを覚えています.
ここでよかったのは,単に知識が増えたこと以上に,考え方の型が見えてきたことでした.

症候学を学んで大きかったのは,症状を見たときの考え方に軸ができたことです.
たとえば,ある症状を前にしたときに,
まず見逃してはいけないものは何か.
頻度の高いものは何か.
鑑別を絞るために,どんな問診や身体診察が必要か.
そうしたことを順番に整理して考えやすくなりました.
疾患を一つずつ暗記していくのではなく,症状を起点にして考える土台ができた感覚がありました.
この整理は,Post-CC OSCEでもかなり役立ちました.
OSCEでは,問診や身体診察の場面で,ただ「一応やった」という状態よりも,「なぜそれを聞くのか」「なぜその診察をするのか」が自分の中でつながっているほうが,ずっと動きやすいと感じました.
症候学を勉強していたことで,症状に対して頭の中に鑑別の引き出しができ,問診や診察の意味づけがしやすくなりました.
たとえば患者さんの訴えを聞いたときにも,ただ項目を順番に確認するのではなく,
「この症状なら,まずこのあたりを外したい」
「それなら,この追加質問をしよう」
「この身体所見を見れば,少し絞れそうだ」
という流れで考えやすくなります.
この“流れ”があるだけで,OSCEでのやりやすさはかなり変わると思います.
症候学をやってよかったのは,OSCEだけではありませんでした.国試の勉強にも,そのままつながります.
国試では,疾患を個別に覚えるだけでは対応しにくい,横断的な知識を問う問題が出てきます.症状から考える問題,複数の診療科にまたがる問題,問診や身体所見から方針を考える問題です.そうした問題に対して,症候学を通して「症状から整理する癖」がついていると,かなり考えやすくなった実感がありました.
QBの解き方も,症候学を意識し始めてから少し変わりました.
以前は,「この疾患の正答はこれ」と1問ずつ処理していく感覚が強かったのですが,症候学を学んでからは,「この症状なら,他には何を考えるべきか」「この所見があるから,この鑑別は下がるのか」といった見方がしやすくなりました.
問題をただ解くだけでなく,知識同士を横につなげながら復習できるようになったのは大きかったです.1問ごとの理解が,少しずつ面でつながっていく感覚がありました.
実習でも,症候学を少し勉強しておくと見える景色が変わりました.
患者さんの話を聞いたり,先生方の問診や診察を見たりしたときに,「今この症状からこう考えているのかな」と想像しやすくなります.そうすると,実習が単なる見学ではなくなって,かなり面白くなりました.
知識が増えるというより,臨床の現場で交わされている思考の流れが少し見えやすくなる.そこも症候学の大きな良さだと思います.
症候学は,最初の一歩が少し重たく感じる分野かもしれません.けれど実際には,全部を完璧に覚える勉強というより,症状ごとに考え方の地図をつくる勉強なのだと思います.
その地図があると,OSCEでも,国試でも,実習でも,必要な知識を取り出しやすくなります.目の前の症状に対して,まず何を考え,どう絞っていくか.その見取り図を持てることが,思っていた以上に大きかったと感じています.
これからPost-CC OSCEや国試を意識して勉強していく中で,「鑑別診断や症候学って難しそうで,後回しにしてしまう」と感じている人もいるかもしれません.
でも,最初からハードルを上げすぎなくていいと思います.
一つひとつの症候について,「何をまず考えるか」「何を聞くと絞れるか」「何を診ると方向性が見えるか」を少しずつ整理していくだけでも,かなり違ってきます.最初は断片的でも,その積み重ねがだんだんと“考える土台”になっていくはずです.
症候学は,知識の引き出しを整理してくれて,OSCEにも,国試にも,実習にも,じわじわ効いてきます.
私にとって,症候学を勉強してよかった一番の理由は,知識が増えたことそのものよりも,「どう考えるか」の土台ができたことでした.
すぐに成果として見えにくい部分もあるかもしれませんが,あとから振り返ると,症候学の勉強は確かに自分の中に残っていて,いろいろな場面で支えになっていたように思います.
いかがでしたでしょうか.
Post-CC OSCE対策はもちろん,国試や臨床実習にもつながる「症候から考える力」は,一朝一夕で身につくものではありません.だからこそ,早いうちから少しずつ触れておくことが大切ですね.なお,「診察ができる」シリーズは現在,OSCEシーズン限定の特別価格で提供されています.OSCE対策の第一歩として,ぜひ活用してみてください.
