診察ができる vol.2 鑑別診断
難解!【カルテ略語】を読み解く~臨床実習ガイドforビギナーズ
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本記事では,以下の事項について解説しています.
- カルテ記載様式のSOAPとは何か
- カルテのS(主観的データ)やO(客観的データ)で使われがちな略語
今回は『臨床実習ガイドforビギナーズ』をお送りします。
医学部では、だいたい4・5年生から臨床実習がはじまりますが、
最初は、何をして、どういう風に振る舞えばいいのか、
わからないことが多すぎて、ストレスを感じてしまいますよね。
例えば、臨床実習ビギナーズの皆さんが戸惑うことの1つに、“カルテ用語”があります。
◆カルテが読めなきゃ何も出来ない!◆
実習で各診療科をまわるときには、
通常1~数人の患者さんを割り当てられ、
病歴聴取や入院時診察の補助、また検査や治療の見学に加え、
毎日のカルテ記載や回診でのプレゼンを担当することになります。
患者さんを紹介してもらう前後に、
たいてい「とりあえずカルテ読んどいて!」と言われますが、
病院実習が始まって日が浅い学生さんだと、
見慣れない略語や用語がたくさんあって、ちんぷんかんぷんであることも珍しくありません。
カルテから正しい情報を得られず、患者さんについて把握できないと、
その後のイベントも、意味のないものになってしまいます。
カルテ記載の方法については、上の先生に聞けばたいてい丁寧に教えてくれますが、
さすがに、略語などについていちいち忙しい先生に聞くのは、気が引けてしまいますよね。
そこで、『臨床実習ガイドforビギナーズ』第1回のテーマは、
「難解!カルテ略語を読み解く」!!として、
カルテでよく使われる代表的な略語を、ご紹介していきます。
※ただし、これらの略語は正式なものではなく、
医療施設や診療科により異なることもあることをご了承下さい。
※また、カルテ記載では、間違いの生じやすい略語はできるだけ使わないことが重要です。
略語を知ったからといって多用するのではなく、
あくまでも、書いてあるものを読み解くための一助としてお役立て下さい!
◆カルテ用語 超入門 “SOAPって何?”◆
通常、カルテはSOAP形式で記載されます。
一応復習しておきましょう。
S:Subjective data(主観的データ)
自覚症状などの患者の訴えを記載します。
O:Objective data(客観的データ)
身体所見(理学所見)、検査結果等の他覚所見を記載します。
A:Assessment(評価)
S,Oを基にして、患者の状態の評価、考察を記載します。
P:Plan(計画)
Aを基にして、今後の検査、治療等の計画、方針を記載します。
◆基本の略語 SOAPの“S”と“O”編◆
基本の略語を、SOAPにそって見ていきましょう。
まずは、S(主観的データ)から!
CC:chief complaint 主訴
これは、かなりよく使われている印象。
Sx:symptom 症状
PI:present illness 現病歴
PH:past history 既往歴
FH:family history 家族歴
上記CCよりは、使わない人が多いような気がします。
お次は、O(客観的データ)!!
たくさんある中から、特に使用頻度が高いものをご紹介します。
〈バイタルサイン・身体所見〉
BT:body temperature 体温
BW:body weight 体重
BP:blood pressure:血圧
HR:heart rate 心拍数
PR:pulse rate 脈拍
RR:respiratory rate 呼吸数
これらは、かなり広く使われていると思いますが、
血糖関連など2文字の略語は多いので気をつけてください。(第3回メルマガで配信予定)
上記の他にLS:lung sound(呼吸音)なども、たまに使われます。
〈検査〉
CBC:complete blood count 血算
L/D:laboratory data 検査データ
BC:biochemistry 生化学検査
〈その他〉
WNL:within normal limits 正常範囲内
これと、n.p.(nothing particular)は、安易に使うと怒られるので注意して下さい。
なお,カルテ記載やプレゼンでの鑑別診断対策には,『診察ができる』をお役立てください!
いかがでしたか?
第2回では、今回の続きで、
◆基本の略語 SOAPの“A”と“P”編◆をお送りします。(鋭意作成中)
どうぞお楽しみに!