[4~6年生向け]医師国家試験出題基準に加わった新ワード(その19)

こんにちは,編集Aです.
これまでに,平成25年医師国家試験出題基準に新たに追加された用語を紹介してきました.

(最近になってもう一度,Facebook上でご紹介していますので,ご覧ください.)
https://www.facebook.com/medicmedia.igaku

主だった新ワードはこれまでにご紹介済みなのですが,
他にも新ワードに位置づけられるものがいくつかあるので,
108回医師国試を前に,またいくつか新作をお届けしたいと思います.

今回は,『医学総論』「IX 治療」の「食事・栄養療法の基本」に加わった
栄養サポートチーム(NST)」についてです.
どのような背景で設置されたのか,概要を確認しておきましょう.

◆栄養サポートチーム(NST:Nutrition Support Team)

入院患者さんに対する治療の際,
栄養不良状態が原因で術後感染褥瘡をきたし,治療効果があがらなくなってしまうことが
臨床ではしばしば経験されます.
実習で,そのような場面に出会ったことがある方もいるかもしれませんね.

そこで,患者の栄養状態を把握し,必要な栄養改善計画を立案するため
診療科の壁を越え,多職種からなるサポートチーム形成の意義が提唱されるようになりました.
この考えは1990年代に中心静脈栄養が普及したことをきっかけに
まず欧米から始まり,その後,世界に広がっていきました.

医師,看護師,薬剤師,管理栄養士,理学療法士,臨床検査技師,言語聴覚士など
多職種から専任されたメンバーでチームを結成し,
栄養状態の評価改善を目指すことが,栄養サポートチームの目的・役割です.

まず各病棟において,栄養状態が問題となる患者をピックアップし,
栄養サポートチームによる回診によって,
患者の病態(基礎疾患,生活活動指数,嚥下における問題点など),
身体計測値,血液検査などから,栄養状態を判定します.

さらに,栄養摂取状況を評価し,
栄養摂取経路(経口,経胃管(経胃瘻),経静脈投与)の中から適切な投与経路を選定します.

そして,必要な栄養計画を立て,栄養管理を実行することで,
患者の栄養状態を改善し,治療効果の向上につとめます.

日本ではなかなか普及が進んでいませんでしたが,
2000年代に入ってその重要性が認識されるようになり,
今では全国の病院で続々とチームが設立され,活動を始めています.

この栄養サポートチームは,107回国試ですでに出題されています.
上記を理解していれば,積極的に解答を選ぶことができますね.

107B27 栄養サポートチーム〈NST〉について誤っているのはどれか.
a 医師の参加が必要である.
b 外来患者が主な対象である.
c 診療科を越えて栄養管理を行う.
d 院内感染対策チームとも連携する.
e 終末期癌患者の栄養管理にも関与する.

正解:b(正答率 96.5%)

 

※上記文章はI病院・O先生にご監修いただきました.
大学・病院・その他施設ごとにNSTの仕事内容や役割に差異のあることがございます.

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