[6年生向け]○○から予想する110回国試第1回:ニュースから予想する,今注目の感染症
みなさん,こんにちは.
編集部のA.Mです.
様々な角度から国試に出そうな内容をお届けするシリーズ,
『○○から予想する国試』!
毎年好評をいただいておりますので,
今年も110回国試に向けて配信していきたいと思います.
1回目の今回は,ニュースから予想する,今注目の感染症!
昨年秋ごろからこの夏までに話題となった感染症について,
一気に確認していきましょう.
◆◆◆細菌感染症◆◆◆
●溶連菌感染症●
2014年は,劇症型溶血性レンサ球菌感染症や
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎の患者数が非常に多くなりました.
劇症型溶血性レンサ球菌感染症は調査開始以来最多,
A群溶血性レンサ球菌咽頭炎は過去10年で最多とのことです.
また,2015年も引き続いて例年よりも患者数が多くなっています.
溶連菌に対しては,通常,ペニシリンで治療可能です
(数々の細菌がペニシリンに対して耐性を得ている中で,重要なポイントです).
◆◆◆ウイルス感染症◆◆◆
●伝染性紅斑●
2015年前半は,いわゆるリンゴ病が増加しており,
地域によっては警報基準を超えています.
小児が原因ウイルスであるパルボウイルスB19に感染しても
対症療法のみで通常軽快しますが,
気をつけなければならないのは妊婦への感染.
胎内感染によって,胎児貧血,胎児水腫,流産の原因になります.
妊婦が感染者に近づかないのはもちろんのこと,
免疫力を高めることも重要だそうです.
●手足口病●
こちらも今年,感染者数が非常に増えている感染症です.
原因ウイルスについては,こちらの問題を解いてみてください↓
http://qb-online.com/#/list/108D34
(QBonlineにログインしていれば問題に直接飛ぶことができます.)
もともと毎年夏期に流行がみられますが,
今年の流行は最も流行した2011年と同程度のものです.
口腔内に潰瘍ができた場合,患児が経口で水分補給をしたがらず,
脱水症を起こすこともあります.
特に夏期に多い疾患であるため,熱中症に注意が必要です.
●麻疹●
今年3月,WHOは日本が麻疹の土着株が存在しない
排除状態であると認定しました.
ただし,輸入感染による流行はまだあり,
国内の麻疹患者数がゼロになったわけではありません.
今後とも,予防に取り組むことは重要です.
●中東呼吸器症候群(MERS)●
韓国で流行している感染症であり
(現在は終息宣言されましたが,感染疑いの患者は出ています),
感染源はラクダと考えられています.
感染経路は飛沫感染であり,感染力は強くないですが,
中東への旅行の際にはラクダに接触しない,
流行地域で感染者に接触しない,などの予防が重要です.
●HIV感染症●
2014年のHIV感染者の新規報告件数は過去3位(1091人),
AIDS患者の新規報告件数は過去4位(455人)となりました.
年代別にみると,なんと,20代での感染者数が,
349人で過去最多となりました.
若年層での知識の不足が懸念されています.
HIV感染症といえば,梅毒との共感染も近年のトピックスですね.
梅毒に感染することで,HIVに感染しやすくなります.
ここ数年で急激に増加している梅毒についても,
あわせて確認しておいてください.
梅毒についてはコチラの記事を参照ください↓
https://informa.medilink-study.com/web-informa/post8285.html
◆◆◆節足動物による感染症◆◆◆
●疥癬●
疥癬が2014年秋に都内の保育所で集団発生しました.
初発患者は最初,手荒れと診断されましたが,その後症状が悪化し,疥癬と診断されました.
診断までの間に勤務先の保育所で感染が広がったようです.
近年,医療施設等でも集団発生が増加しており,問題視されています.
疥癬は国試でも度々問われ,直近では,108回で出題されました.
http://qb-online.com/#/list/108A40
今回のニュースの症例では角化型疥癬(ノルウェー疥癬)が考えられます.
角化型では患者の隔離が必要等,通常疥癬と対応が異なりますので注意しましょう.
以上が最近話題となった感染症でした.
この他,昨年から話題に上がっている,
●デング熱●
https://informa.medilink-study.com/web-informa/post8232.html
●エボラ出血熱●
https://informa.medilink-study.com/web-informa/post8135.html
などについても再確認しておいてくださいね.
感染症の分野は,流行を認識すると出題内容がみえてくるかも?!
日ごろからどんなものが流行っているのか,
研修医になった後でも知っていることは重要ですので,
常にチェックすることを忘れずに.
自分で追いかけるのは大変!というアナタには,
毎週土曜にメディックメディア公式Facebookにて配信されている,
医療ニュースをチェックするのもオススメです.
感染症以外のニュースも確認できますので,
ぜひご活用ください!
さて,医療関係者は様々な感染症から自分自身,
または他の患者を守るため,感染予防策をとらなければなりません.
感染予防策には,
1.標準予防策(スタンダードコンプリケーション)
2.感染経路別の予防策
があります.
1.は全ての患者さんに対して共通で,
感染症にかかっていなくても必ず行う予防をさします.
また,必要に応じて各疾患の病原体の感染経路(接触,飛沫,空気)ごとに,
1.に追加して2.を行います.
では最後に問題!
次のうち,標準予防策ではないもの(感染経路別予防策)を選べ.
a 検体を扱う際に手袋を装着する.
b 陰圧での個室管理を行う.
c 硬膜外麻酔時にサージカルマスクを装着する.
d 患者の診察前後に手洗いを行う.
e 使用済みの注射針はリキャップしない.
a,c~eは標準予防策に含まれます.
答えは空気感染予防策として行うbでした!
標準予防策はとても重要なことですので,
必ず覚えておいてくださいね!
それでは今回はこのへんで.
次回をお楽しみに!
(編集部A.M)