イヤーノート2025 内科・外科編
[5年生向け]国試からみる,臨床実習のポイント!(その2)
せっかくだから病棟キョロキョロ
5年生のみなさん,こんにちは!
編集部のM.Tです.
先週から始まりました,「国試からみる,臨床実習のポイント!」.
第2回の今日は「せっかくだから病棟キョロキョロ」をテーマにお送りします.
■ 病棟の掲示物は情報の宝庫
最初に113回国試の問題を1問ご紹介します.
【113D21】
45歳の男性.膵腫瘍の精査のため来院した.15年前から2型糖尿病で自宅近くの診療所で内服治療を受けている.3ヵ月前から急激に血糖コントロールが悪化したため腹部超音波検査を受けたところ,膵腫瘍が認められ紹介受診となった.eGFR 48mL/分/1.73m2.
腹部造影CTを計画する際に検査前後数日間の休薬を検討すべき薬剤はどれか.
a DPP-4阻害薬
b SGLT2阻害薬
c ビグアナイド薬
d スルホニル尿素薬
e α-グルコシダーゼ阻害薬
正答率73.1%の問題です.ちょっと親切なのが「eGFRがやや低値」になっているところ.皆さんはこの問題の答えがわかるでしょうか.
正解は「c ビグアナイド薬」です.
米国糖尿病学会(ADA)はビグアナイド薬を成人の2型DMに対する第一選択薬と位置づけています.
そのくらい優秀な薬であることは間違いないのですが,処方するにあたって重篤な副作用として「乳酸アシドーシス」があることを理解しておく必要があります.
ヨード造影剤を使用することで腎機能が一時的に低下し,乳酸アシドーシスなどの副作用が出現しやすい状態となります.
そういった副作用の出現を防ぐため,予定検査として造影CTを行う場合には
目安として2日前からビグアナイド薬を休薬しておく必要があるのです.
(もちろん緊急検査として造影CTを行う場合は,リスク&ベネフィットを評価し,ベネフィットの方が大きければビグアナイド薬内服中でも造影CTを実施し,撮影後は数日間休薬とします)
さて,これでなぜ「病棟キョロキョロ」なのかと言いますと,
実は入院患者の服薬管理には看護師さんが関わっていることが多く,内服薬についての注意事項など,徹底した確認が必要なことは病棟のスタッフステーションに掲示していることがよくあります.
(僕自身研修医の頃,「予定検査の造影CTがオーダーされたら,ビグアナイド系(メトホルミン)内服ないか確認!」とスタッフステーションに掲示されていました)
実習は病棟に出入りできるいい機会ですから,(業務の邪魔にならないところで)キョロキョロ周りを見て,
「実際に働き始めたら,何に注意しなきゃいけないのだろう」
というポイントを見つけてみてください.
感染対策,服薬管理,転倒予防,DVT予防…と,色々見つかると思います.
見つけたときは,その理由が何なのかしっかり調べて頭に入れておきましょう.
研修医として仕事で使うようになる前に,国試で1点分役に立ったら儲けものです.
今日の「国試からみる,臨床実習のポイント!」はここまで!
メルマガで紹介した問題の詳しい解説は,
QBonlineや『113回医師国家試験問題解説』でチェックしてみてくださいね!
次回は「画像を読むなら,他の検査も絡めていこう」をお送りします.お楽しみに!
(編集部 M.T)