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112回医師国家試験【禁忌肢問題】がついに判明!8000人に上る受験者・100人以上の禁忌肢選択者のデータから分かった問題は?(その1)

 

 

 

編集Yです.112回医師国家試験の受験生の皆様,大変お疲れ様でした.新6年生の方はいよいよ最終学年となり,国試対策も本格化しますね(下記記事の続きをぜひ心してお読みください…)
無事国試に合格! だけど合格発表の数日後,国試の成績表がハガキで届き,打ち震えた112回受験者の方も多かったのでは…?

 

「禁忌肢2問選択してた! 超ヤバかった…!」

 

今回の112回国試は合格発表以上に,禁忌肢を踏んだ人の異様な多さが各自の成績表で初めて分かって話題騒然,大騒ぎになりました.
これまでは都市伝説とも言われていた「禁忌肢落ち」(禁忌肢を4問以上選択したことで不合格になること)も,今年は何人か確実にいるとのこと….

 

そこで! メディックメディアでは緊急調査を行い,国試後に発送された各自の成績表で禁忌肢選択数が「1以上」だった方にデータの提供をお願いし,100人以上の禁忌肢選択者からご協力を頂くことができました.
成績をご提供いただいた皆様,本当に本当にありがとうございました…!
この情報と8000人に上る「講師速報」参加者の解答データを組み合わせて解析することで,これまで詳細が一切不明だった「禁忌肢問題」が,ついに今回初めて明らかになりました.
全容の解明まではもう少しかかりますが,一刻も早く皆様にお伝えすべく,今日は主な情報について速報版でお知らせいたします!

 

(以下,長文です.お時間ある時にぜひお読みください.)

 

■第112回医師国家試験 禁忌肢の概要

 

禁忌肢問題の解説に移る前に,まずは解析に基づく「禁忌肢問題」の概要について.

 

  • 1.禁忌肢問題は国試の全400問中,約10問
  • 2.禁忌肢問題は必修問題以外(総論や各論)からも出題されている
  • 3.禁忌肢問題は正答率によって左右されない
  • 4.禁忌肢を1問でも踏んだ人は112回国試受験者全体の約半数(!),禁忌肢落ちした人は全国で少なくとも20人以上

 

びっくりです.いろいろびっくりです.
禁忌肢選択者数の多さもですが,私自身,○年前には国試受験生だったので,2にも心底びっくりしました.禁忌肢は必修以外からも出題されているという噂は耳にしていたものの,それでも基本的には必修だけだろうと思っていたのに…!
実際に解析結果の「禁忌肢を踏んだ受験者数が多かった問題ランキング」をみても,第1位から第3位まで,いずれも必修問題ではありませんでした,
ではさっそく,禁忌肢問題の発表です.「禁忌肢を踏んだ受験者数が多かった禁忌肢問題ランキング」第1位はこちら!

 

●禁忌選択した受験者数 第1位の問題

 

112C26(総論)
日齢21の新生児.母子手帳の便色カードを見て,便の色が薄いことに気付いた母親に連れられて来院した.在胎39週,出生体重2,800gで出生し,出生時に異常は指摘されなかった.完全母乳栄養である.体重3,200g.体温37.0℃.心拍数110/分,整.血圧80/40mmHg.呼吸数32/分.SpO2 98%(room air).四肢を活発に動かしている.皮膚および眼球結膜に黄染を認める.心音と呼吸音とに異常を認めない.腹部は軽度膨満しており,肝を肋骨弓下に3cm触知する.腸雑音の亢進はない.患児の便の写真を別に示す.

母親への説明で適切なのはどれか.
a 「母乳をやめましょう」
b 「すぐに血液検査をしましょう」
c 「1週間後に便を持参してください」
d 「便の細菌を調べる必要があります」
e 「この便の色であれば再受診の必要はありません」

 

いわゆる「新生児の灰白色便」です.灰白色と言いつつ,実際には写真のように淡く色がついていることがほとんどです.臨床実習などでこのことを学ぶ機会があり,かつ新生児が灰白色便をきたす疾患を鑑別に挙げ,黄疸,腹部の軽度膨満の症状と併せて診断できるか否か.
疑い診断は胆道閉鎖症で,正解はb 「すぐに血液検査」で肝機能などを確認します.
こうなると禁忌肢は,お気づきかもしれませんが
e 「この便の色であれば再受診の必要はありません」
でした.
胆道閉鎖症は早期診断・早期治療がとても重要な疾患ですが,見逃され重篤な経過を取ることも多く,このため2011年に母子保健法の施行規則が改正され,母子健康手帳に便色カードが添付されるようになりました(母子健康手帳は母子保健法,これも頻出です!)
ここ数年は国試で「経過観察」が正解となる問題も多かったためか,禁忌肢のe選択肢を選んでしまった受験者がなんと全体の25.8%にも上りました.禁忌肢を踏んだ人のグループ全体でみるとeの選択率が58%で,112回国試の禁忌肢選択者のおよそ半数以上がこの問題で禁忌を踏んでいます.
 「経過観察」は選択できても「再受診不要」は恐い
ってことですね.あ,なんだか禁忌の金言っぽいものができました.
ところでこの設問,他のa,c,dの誤答選択肢,例えばc 「1週間後に便を持参してください」は禁忌肢ではないようなのです.ちょっと不思議な感じがしますが,このあたりは引き続き「禁忌肢の条件」についての検討が必要かと思われます.

 

引き続き,次が気になる「禁忌肢を踏んだ受験者数が多かった禁忌肢問題ランキング」第2位はこちら.

 

●禁忌選択した受験者数 第2位の問題

 

112A21(各論)
78歳の男性.4日前に肺癌のため右上葉切除術およびリンパ節郭清術を受けて入院中である.術後経過は順調だが,胸腔ドレーンはわずかな空気漏れがあり排液はやや血性のため留置している.昨日からせん妄症状がみられている.本日午後9時に患者は就寝していたが,2時間後には覚醒しており胸腔ドレーンが抜けていた.呼吸音に変化はみられず,直ちに胸部X線撮影を行ったが,日中に撮影した画像と比較して変化はみられない.SpO2 99%(鼻カニューラ2L/分 酸素投与下)であり,胸腔ドレーン抜去前と比較して低下はみられない.
行うべき処置はどれか.
a 右胸腔穿刺を行う.
b ドレーン刺入部を縫合する.
c 気管挿管下に人工呼吸管理を開始する.
d 抜けた胸腔ドレーンを刺入部から再挿入する.
e 鼻カニューラをマスクに交換し8L/分で酸素を投与する.

 

予想しないことが起きると慌てちゃいますね.でも医療で焦りは禁物,せん妄をきたしてはいますが,酸素化も十分であり,術後の経過としては順調ですので,正解はb ドレーン刺入部を縫合する,になります.
排液が血性だからドレーンを留置してたんじゃないの?という点や,その他の検討事項について,詳しくはメディックメディア『第112回 医師国家試験問題解説』4月27日発行予定!にてぜひご確認ください.今回の分析にも用いた豊富な受験データと,強力な専門医の執筆陣による,充実の解説が満載です!
逆に…これだけはやってはいけない,禁忌肢は
d 抜けた胸腔ドレーンを刺入部から再挿入する.
でした.
胸腔内は清潔であり,抜け落ちて不潔になってしまったドレーンの盲目的再挿入は感染や臓器損傷のおそれがあります.抜けたものをなんとかしなきゃと思ってしまう気持ちは分かりますが…!
受験者全体の11.3%,禁忌肢選択者グループの26%がdの禁忌肢を踏んでいました.

 

本日はこちらでラスト,「禁忌肢を踏んだ受験者数が多かった禁忌肢問題ランキング」第3位です.

 

●禁忌選択した受験者数 第3位の問題

 

112A16(各論)
50歳の女性.全身の皮下出血と鼻出血とを主訴に来院した.特に誘引なく右肩の紫斑が出現した.その後大腿や下腿にも紫斑が出現し,今朝から鼻出血が止まらないため受診した.5年前に乳癌に対して手術と抗癌化学療法とを受けた.血液所見:赤血球278万,Hb 8.8g/dL,Ht 25%,白血球700,血小板5.1万,PT-INR 1.2(基準0.9〜1.1),APTT 30.6秒(基準対照32.2),血漿フィブリノゲン74mg/dL(基準200〜400),血清FDP 110μg/mL(基準10以下),Dダイマー9.6μg/mL(基準1.0以下).骨髄血塗抹May-Giemsa染色標本を別に示す.

この患者に対する治療薬として適切なのはどれか.
a 抗エストロゲン薬
b 全トランス型レチノイン酸
c トラネキサム酸
d ドセタキセル
e ヘパリン

 

播種性血管内凝固(DIC)だから抗線溶療法・抗凝固療法!……ではないです.画像から前骨髄球性白血病(APL)が疑われるので(画像所見についても『第112回医師国家試験問題解説』本でぜひどうぞ!),正解はb 全トランス型レチノイン酸(ATRA)ですね.DICに対処しなくていいの?と思いますが,一般にAPLのDICはATRAの投与で速やかに改善されます.
では抗線溶療法・抗凝固療法,すなわち
c トラネキサム酸
e ヘパリン
を選んだ人…どうやらこれが,いずれも今回の国試の禁忌肢らしいのです.
これもちょっと,国試の禁忌肢としては不思議な感じがします…というのも,確かにAPLに対するATRAとトラネキサム酸の併用で血栓症を発症し,重大な転機を辿ったとの報告がありますが,今回の設問はATRA投与前であること,ATRA製剤の添付文書でもトラネキサム酸は「併用注意」に留まること,また特にe ヘパリンは,まだATRAが無かった頃のかつてはAPLのDICに対して用いられていたことがあり,また添付文書でも併用注意の記載がありません.
この設問については解析中,かなりかなり悩んだのですが,しかし皆さんに提供いただいたデータからみると,どう考えてもこれらを(特にeを)禁忌肢と考えざるを得ない…! 受験者全体のe選択率9.6%に対して,禁忌肢選択者グループのe選択率が26%で,これは明らかに有意な差があるのです…!
ひょっとすると,正解のb ATRA以外の選択肢はすべて禁忌肢扱いになっているかもしれません.

 

 

■引き続き112回の禁忌肢情報を募集します!

 

というわけで,メディックメディアでは現在も引き続き112回受験者の方からの禁忌肢情報を募集しています!

(2018年4月現在,ご応募は一旦締め切らせていただきました.ご協力ありがとうございました.)

「3問目の112A016,a(またはd)を選んで,禁忌肢になった/ならなかった」
「上記の3問は全部正解してたのに,禁忌踏んでた(T_T)」

のいずれかに該当する方は,
・厚生労働省より発送された「第112回医師国家試験 成績通知書」の氏名・禁忌肢選択数(1以上)が記載された写真を添付
・mediLink ID(「講師速報」のログインID)をメール本文に記載
の上,
kinkishi@medicmedia.com
までお送りください!

※解析には「講師速報」の登録情報を用いるため,ご応募は「講師速報」のご利用者に限定させていただきます.
※ご提供いただきました情報は,弊社個人情報保護方針に従い,厳重な管理のもと,匿名化して分析等に用いさせていただきます.弊社プライバイシーポリシーにつきましては,下記をご確認ください.
https://www.medilink-study.com/guide/privacy.php

 

 

***

他の禁忌肢問題についても当たりは付いているのですが,まだまだ分析の余地があります.
解析が進み次第,第2報・第3報として,また最終的には禁忌肢問題対策として今後も記事をお送りいたします.

 

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■上記問題に加え,他の問題についての禁忌肢情報も掲載されたメディックメディア『第112回 医師国家試験問題解説』は満を持して4月27日発行予定! 今しばらくお待ち下さい!

 

■『クエスチョン・バンク』で長年培った分析力を活かし,医学生の皆さんのさらなる手助けとなるべく,メディックメディアは本年からいよいよ「医師国家試験模試」を実施いたします.
現在は各大学の大学代表(教員)・学生代表(国試対策委員)の方にご案内を順次お送りいたしております.お問い合わせはigaku-moshi@medicmedia.comへお寄せください.