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[6年生向け]○○から予想する109回国試第3回:ニュース(と過去の出題傾向)から予想!【ヘルパンギーナ】

こんにちは.
編集部の,Mです.

夏休み企画「○○から予想する109回国試」,今回で3回目となります.

 

↓前回までの記事はこちら↓
第1回
第2回

前回の【エボラ出血熱】に引き続き,今回も感染症がテーマです.
例年,夏季に流行し,今年も日本各地で多くの感染者を出している,
5類感染症の【ヘルパンギーナ】についてお話ししたいと思います.

 

第3回:ニュース(と過去の出題傾向)から予想!【ヘルパンギーナ】

 

さて,ヘルパンギーナです.
ウイルス感染症ですね.
乳幼児を中心に,例年6~8月頃をピークとして流行する,いわゆる「夏風邪」の代表です.
「感染症法」では5類感染症の定点把握疾患に指定されています.

 

今年2014年,ヘルパンギーナの患者報告数は6月以降急激に増加し,
7月には,10以上の都府県において国の定める警報基準(定点あたり6人)を超えました.
また東京都では,第28週(7月14~20日)の定点あたりの報告数が
過去10年で最多を記録するなど,ニュースでも話題になっていましたね.

 

そのヘルパンギーナですが,
過去の医師国試(90回以降)での出題歴をみてみると
95G1196D10102I33105I22106I41 の計5題となっています.

(クリックでQBオンラインの解説に移動します.)

 

「5問か…そんなに多くないな」
と思われるかもしれませんが,ここで着目すべきはその出題年度.
第95回と96回,第105回と106回,のように2年連続で出題された年がありますね.

 

じつは,
第95回国試が実施される約半年前の2000年夏

また第105回国試前の2010年夏
いずれもヘルパンギーナの大流行があったんです.

 

そして今回,
第109回国試を控えた2014年夏にヘルパンギーナが大きなニュースになったということは,
第109回国試でヘルパンギーナが出題されてもおかしくありません.

 

また,

  • 1. 夏季に,
  • 2. 小児を中心に流行する,
  • 3. ウイルス感染症

として,国試ではヘルパンギーナの他にも,
手足口病咽頭結膜熱プール熱)などが出題されています.
もしかしたらこの記事を読んでいる方の中にも,
「このへんの疾患をいまひとつ整理できてない」という方がいらっしゃるのではないでしょうか.

 

ということで,そのあたりの疾患も絡めつつ,
例題を通してポイントをおさえていきましょう.
以下,予想問題です!

 

【問題】ヘルパンギーナについて正しいものはどれか.全て選べ.

a アデノウイルスが原因となる
b 飛沫により感染する
c 潜伏期は10~14日である
d 発熱はみられない
e 口腔粘膜に無痛性の小水疱が出現する
f 症状は10~14日続く
g 診断にはウイルス分離が有用である
h 特異的な治療法はない

 

【解答】
国試の一般的な出題形式からすこし逸脱してしまいました.申し訳ありません.
では,選択肢をひとつずつ検討していきます.

 

a アデノウイルスが原因となる ・・・ ×

ヘルパンギーナの主な原因はエンテロウイルス属のコクサッキーウイルスA群です.
ちなみに,手足口病の病因もおなじエンテロウイルス属で,
こちらはコクサッキーウイルスA群16型,エンテロウイルス71型などが原因となります.
アデノウイルスは咽頭結膜熱の原因になります.

 

b 飛沫により感染する ・・・ ○

ヘルパンギーナの原因ウイルスは,
「エンテロ」ウイルス属の名前の通り,腸管で増殖するウイルスです.
ウイルスは便から排出され,感染経路は糞口感染・飛沫感染となります.
手足口病も便から排泄される点は同じですが,
こちらは咽頭から排泄されるウイルスによる飛沫感染が主となります.

 

一方,咽頭結膜熱.
こちらは汚染された水,タオルなどから結膜へと感染します.
プール熱とよばれる所以ですね.

 

c 潜伏期は10~14日である ・・・ ×

ヘルパンギーナの潜伏期は2~4日です.
手足口病は3~6日,咽頭結膜熱は5~7日とされています.

 

d 発熱はみられない ・・・ ×

ヘルパンギーナでは,突然の38~39℃の発熱に続き咽頭痛が出現します.
咽頭結膜熱も同じく発熱で発症し,その後咽頭炎,結膜炎の症状を呈します.

 

一方,手足口病では発熱を認めないことが多く,
発熱がみられたとしても38℃以下と軽度であることが多いです.
咽頭痛もほとんどありません.

 

e 口腔粘膜に無痛性の小水疱が出現する ・・・ ×

ヘルパンギーナでは,口腔内に有痛性の小水疱を形成します.
部位は主として軟口蓋~口蓋弓(のどちんこの前あたり)です.
手足口病はその名前の通り,口腔粘膜のみならず手足にも発疹が出現します.

 

ここでひとつ注意点を.
有痛性の小水疱といっても,患者のほとんどは乳幼児なので,
「口の中が痛い」という症状を明確に伝えられないことが少なくありません.
(咽頭痛など,他の自覚症状についても同様です)
拒食哺乳障害不機嫌などの徴候に注意しましょう.

 

また,エンテロウイルス感染は多彩な症状を示す疾患であり,
ヘルパンギーナ・手足口病とも,まれに髄膜炎や心筋炎をきたすことがあります.

 

f 症状は10~14日続く ・・・ ×

発症後2~4日程度で解熱しその後粘膜疹も消失します.
手足口病では3~7日程度,咽頭結膜熱は3~5日程度症状が持続するとされています.
いずれにせよ,2週間近くも遷延するものではないんですね.

 

g 診断にはウイルス分離が有用である ・・・ 

口腔内拭い液などを用いてのウイルス分離が診断上有用です…が,
実際は臨床症状から診断されることが多いです.

 

h 特異的な治療法はない ・・・ 

通常は対症療法のみで自然に寛解します.
抗ウイルス薬は使いません.
手足口病,咽頭結膜熱も基本的には対症療法です.

 

ということで正解はb,g,hでした.

 

いかがでしたでしょうか.
第3回「○○から予想する109回国試」は以上です.

 

国試に出る/出ないはともかくとして,ヘルパンギーナは
将来的に日常診療の中で度々出会うであろうCOMMONな疾患です.
まとめておいて絶対損はしないと思います.
みなさんも
「109回ではこのあたりが狙われるんじゃないか」といったネタがありましたら
ぜひ,(voice@medicmedia.com)までお送りください.

 

ということで,今回はこのあたりで.
次回もお楽しみに!

 

(編集部M)

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