診察ができる vol.2 鑑別診断
[受験生必見!]Post-CC OSCEの対策について:概要と実践法
- Post-CC OSCEとは,6年生のときに受験する医療面接や身体診察,臨床推論,症例提示などの基本的臨床能力を評価する実技試験です
- 4年時のPre-CC OSCEと異なり,臨床推論が含まれ,臨床実習を通じて学んだ診察や診断,発表能力が総合的に評価されます
- 共用試験実施評価機構の公式資料や,メディックメディアの『診察ができる』,『鑑別!1st impression』などを用いて対策しよう!
Post-CC OSCEとは?
Post-CC OSCE(Post Clinical Clerkship OSCE)は,臨床実習後の6年生が受験する実技試験で,初期研修開始前の臨床能力担保を目的としています.
2020年度から「共用試験」として正式実施されており,この試験に合格しないと卒業できません.
実施時期は大学によって異なりますが,おおむね6年生の7月~11月にかけて行われます.
試験の概要は?
Post-CC OSCEの試験会場には,4年時のOSCEと同様,ステーションと呼ばれる部屋が複数用意されており,各部屋を巡回しながら実技試験を受けます.
ステーションごとに問題が決まっており,原則として共用試験実施評価機構(CATO)による共通問題が3問,各大学の独自問題が3問の計6問となっています.
※新型コロナウイルスの影響で一部問題数を縮小して実施する大学もあったようですが,通常通りの実施に戻りつつあるようです.
共通問題の内容は?
共通問題は,大きく分けて医療面接・身体診察・指導医への報告からなり,試験時間の目安は以下の通りです.
・自己紹介
・医療面接(7〜8分)+身体診察(4〜5分)→ 12分以内
・指導医への報告 (プレゼンテーション)→ 4分以内
▼共通問題の流れ
4年時のPre-CC OSCEのときは,問診も身体診察も型通りに実施できさえすれば合格できますが,Post-CC OSCEではそうはいきません.
問診と身体診察あわせて12分しかないため,質問と診察項目を取捨選択しなければなりませんし,なにより臨床推論を行い,鑑別を挙げなければなりません.
また,指導医(評価者)への報告も4年時にはない要素です.
このように,初期研修を強く意識した実践的な試験になっているのが特徴です.
出題範囲は?
共通問題で出題される症例の主訴(主要症候)に出題範囲があるか,公には明示されていませんが,
「診療参加型臨床実習に必要とされる技能と態度についての学修・評価項目(2023年度~)1.0版」に平成28年度版のコア・カリキュラムに記載された主要症候とそれに対応する代表的疾患の医療面接・身体診察の項目がまとまった表が公開されています(89ページ).
この表を見てポイント整理をする方が多いと思います(各疾患のポイントは表では空欄になっており自学自習で埋めるようになっています).
ただし1点注意点があります.コア・カリキュラムは令和4年に改訂され,前述の平成28年度版から,ショック,心停止,脱水,胸水,貧血,外傷・熱傷が外れ,歩行障害,感覚障害が加わっています(91ページ).
よってPost-CC OSCEに出題される症候は,この令和4年度改訂版の「医学教育モデル・コア・カリキュラム(医学教育モデル・コア・カリキュラム関連:文部科学省)」に掲載されている37症候が最大範囲と考えておけばよいのではないでしょうか.
各大学の独自問題の内容は?
独自問題の内容は学校によって異なりますが,共通問題と似たフォーマットの問題だけでなく,採血や縫合など手技に関する問題が出題されることもあるようです.
詳細についてはそれぞれの大学の説明を待ちましょう.
不合格になったら…?
2020年度~2022年度は新型コロナウイルスの影響もあり,再試験となることはあるものの,卒業できない事態に陥ることはあまりなかったようです.
しかし,新型コロナウイルスの影響がなくなったあとについては不明な点も多く,高い意識をもってしっかりと対策し,試験に臨みましょう.一部の病院ではマッチングの試験としてPost-CC OSCEのような試験を求められることもあるため,自分が興味のある病院ではどうかを調べておくとよいでしょう.
対策方法は?
知識面での対策と,実践での対策を意識しましょう.
知識面での対策として,そもそも症候から鑑別疾患を挙げられるように勉強しておく必要があります.
共用試験実施評価機構(CATO)の公開資料「診療参加型臨床実習に必要とされる技能と態度についての学修・評価項目」の臨床推論の項に目を通し,症候ごとに掲載の疾患を把握しておくとよいでしょう.
mediLinkコンテンツを使った勉強としては,以下の3つがおすすめです.
【おすすめ教材】
- ・『診察ができる vol.2 鑑別診断』
- ・『鑑別!1st impression』
- ・『問診☆攻めNIGHT』
順番にみていきましょう.
▼診察ができる vol.2 鑑別診断
2024年4月4日に『診察ができる vol.2 鑑別診断』が発売されました.Post-CC OSCEの出題基準に準拠して症候,疾患を掲載しているためPost-CC OSCEで必要な内容をこの一冊で学習することができます.
こちらの診察ができるvol.2 鑑別診断は全688ページとかなりのボリュームの書籍となっており,Post-CC OSCE対策として本書籍を通読するのは少し難しいと思います.はじめて臨床推論・鑑別診断を学ぶ人のためのガイドマップをコンセプトに作成されており,臨床実習から,初期研修に至るまで長く活用できるコンテンツとなっているので,試験対策としてOSCE直前期でのおすすめの活用方法をご紹介いたします.
「診察ができるvol.2 鑑別診断」のPost-cc OSCE対策での活用例
●「主要症候」章
まずは「主要症候」章にあります,各症候のはじめにある見開きの2ページを確認します.この2ページでどんな流れで問診・身体診察を行ったらよいか,どの順序で鑑別を考えるかの概略を掴みます.また,「鑑別診断」リストの★マークが『医学教育モデル・コア・カリキュラム』(令和4年度改訂版)別表 表5主要症候に記載されている疾患を中心に「basicな疾患」としてセレクトされています.つまり,Post-CC OSCEではこちらの★マークが疾患として想定された形で出題される可能性が非常に高いです.
問診・身体診察でそれぞれの所見をとるときに考えるべきこと,疾患などについては次ページ以降に記載されています.「この所見は何を意味するんだっけ」「この問診は何を意図して聞いているんだっけ」と知識があやふやな箇所を重点的に確認するとよいでしょう.
- Post-CC OSCE必須の問診事項・身体診察事項について,症候ごとに厳選し冒頭1ページに記載しています(全39症候).直前期はこの項目を軸に復習ができます.こちらのページ以降でそれぞれの問診・身体診察について注意すべきことなどを詳しく解説しています.
- ★ マークがPost-CC OSCEで出題される可能性の高い疾患です.〔※「診療参加型臨床実習に必要とされる技能と態度についての学修・評価項目(2023年度~)1.0版」に基づいて掲載〕こちらをベースに鑑別を想起できるように確認するとよいです.
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KEY QUESTIONSでは医師が実際に患者さんに問診するフレーズを記載.それらの質問の意図を本章の解説を読みながら学習することでより問診のイメージができます.
●「主要疾患」章
「症候」章では個別の疾患毎の各論を解説することが難しいため,重要疾患100疾患に厳選された「主要疾患」章で疾患ごとの知識を復習します.
こちらでは「主要症候」章の鑑別診断リストで★マークとなっている疾患を軸に厳選しています.OSCE対策で苦手だと思う疾患「この疾患を想起したとして,それからどんな診察をしたらよいだろう」と思ったものを中心に確認をしていくと良いです.
- 疾患毎に聴取すべき問診事項を記載しています.
- こちらで該当疾患を疑った場合に鑑別を挙げておくべき対抗馬としての鑑別リスト,またその疾患の場合に注意すべき合併症を記載しています.緊急度の高い疾患を軸に記載しているのでOSCEでのプレゼンテーションで本疾患が最も考えられる場合に他に考えるべき疾患としてこれらの「鑑別」にある疾患を挙げるとよいでしょう
- 身体診察・検査欄では陰性所見も記載しています.この所見を認める場合は疑わしくなるもの,逆にこの所見を認めるので否定的と考える,という使い方ができます.
- 最後に「対応」として今後行うべき検査や処置について記載してあります.Post-CC OSCEの場合は「問診・身体診察」まででプレゼンテーションとなると思いますので,「検査・対応」の箇所について今後行うべきことについてプレゼンテーションを行うものになると思います.
このように「主要症候」と「主要疾患」を行き来しながら試験対策を行うと良いでしょう.Post-CC OSCEで出題されるとされる症候は実に30以上(『医学教育モデル・コア・カリキュラム』令和4年度改訂版より)あるので,まずは「腹痛・胸痛・頭痛」といった痛み系の症候から対策すると良いでしょう.部位別の痛みをマスターできたら「発熱・倦怠感・浮腫」などの全身症状,その後残りの苦手と感じている症候と進めていくと良いのではないかと思います.
また,身体診察で手技の復習したい時にはシリーズ本の「診察ができる vol.1 身体診察」を活用するとよいでしょう.
▼鑑別!1st impression
『鑑別!1st impression』は症候ごとに鑑別疾患がまとまっており,特にPost-CC OSCEで求められる「主訴に応じて鑑別疾患を列挙する」,「問診で得られた情報から可能性の高い疾患を想起する」といったヨコ切り思考のキホンを身につけることができます.
1問1答形式で問題演習もできるので,Post-CC OSCE対策に最適です.
▼問診☆攻めNIGHT
『問診☆攻めNIGHT』は,総合診療のプロであるDr.山中・Dr.鎌田が医師役・患者役になり,国試過去問のメジャー疾患典型症例をベースに,実際の一般外来やERでの問診を再現してくれるラジオ風動画です.
臨床に近い問診と,問診後にどのように検査や治療に進んでいくかなど,座学だけでは学べないリアルな情報を知ることができます!
だから『問診☆攻めNIGHT』を見たあとに,友達同士でロールプレイをすると,ぐっと力がつくと思います.
しかも,あえてスライドは使わず「おしゃべり」を聞くだけで学べるようになっているので,講義動画の再生画面をずっと見ている必要はありません!
また,『問診☆攻めNIGHT』の動画内容に対応した症候別のロールプレイ用プリントもおすすめです.
プリントの左側は臨床推論の思考過程/臨床上のポイント/実体験やエピソードなど,動画のトーク内容をテキスト化しており,実習や研修に活かせる内容になっています.
そしてプリントの右側は,動画で扱っている症例をロールプレイ用にテキスト化しています!
Post-CC OSCEへ向けた学習としてロールプレイをする際,自分達でQBの掲載問題から症例を選んでくる手間が省けるので,忙しい人こそぜひ使ってみてくださいね.
まとめ
実践面の対策は,何より大学の友達とのロールプレイを繰り返すことが重要です.ロールプレイで使う症例は,QBに載っている臨床問題や,『鑑別!1st impression』を参考に作成するか,『問診☆攻めNIGHT』対応 ロールプレイ用プリントを使用しましょう!『診察ができる vol.2 鑑別診断』で各症候の知識を整理するなどで活用しましょう.
また,ロールプレイをしていて,手技があやふやになっている部分は『診察ができる vol.1 身体診察』がおすすめです.
いかがでしたか?
臨床実習終了後は卒業試験対策で忙しくなるかと思いますが,
Post-CC OSCE対策もしっかりと進めていきましょう.
実際に受験した先輩の体験記も公開していますので,是非チェックしてくださいね.
2022/6/15[6年生向け]Post-CC OSCE【体験記】問診で攻略するPCC OSCE
2021/6/11[6年生]Post-CC OSCE攻略法【体験記】
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