薬がみえるシリーズ
病棟でのマナー講座【研修医コロナのカルテ。第1回】
みなさま、こんにちは!編集部のN.Mです。 「医学生コロナのRoad to Doctor【医師への道】」の筆者であるコロナさん(現在研修医1年目)の大人気連載「コロナのコラム。」が「研修医コロナのカルテ。」として帰ってきました!
医学生のうちにやっておくべきことや、知っておくべきことを研修医の目線からお伝えしていただきます!
第1回目は「病棟でのマナー」について教えていただきました。
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研修医コロナのカルテ。第1回
『病棟でのマナー講座』
読者の皆さま、お久しぶりです!『コロナのコラム。』がパワーアップして帰って参りました。 その名も、『研修医コロナのカルテ。』です! 私は医学部を卒業後、都内の市中病院で研修をしているのですが、研修医として働いていると、医学生のころは全く知らなかった、そして医学生の間に知るべきだったことがたくさんあることに気づきました。 それを皆さまにお伝えできればいいと思い、連載させていただくことになりました。
『医学生コロナのコラム。』を読んだことがない方は是非ご覧くださいね!
さて今回はマナー講座なのですが、なぜこのテーマにしたのかと言いますと 『病棟実習をする医学生・研修医は社会人である』 ということと、 『医学生は一般企業に就職する人と比べてマナーを知らないまま研修医になってしまう』 という理由があります。 一般企業に就職する人は厳しい就活に勝ち残るために社会人としてのマナーや礼儀をとても熱心に勉強している傾向にあります。しかし、医学生はマッチングといえど筆記試験や実技試験、病院見学の回数、コネなどで乗り越えられます。だから、マナーを知っている人が少ないのです。 そして、最大のポイントは、患者さんには『一般企業に就職している人』つまり『マナーや礼儀を叩き込まれた人』が多いということです。患者さんの目線として、医学生や研修医はただでさえ若僧、であるのにその若僧がマナー知らずでは不満が高まってしまいます。
私自身マナーなんてクソくらえと思っていたのですが、医師はサービス業であり患者さんとの信頼関係が必要である以上、乗り越えなければならない壁のように思えました。では本題に入りましょう。
①電子カルテ記載のマナー
電子カルテに記載された文書はすべて“公的文書”になります。従って、公的文書に則ったルールやマナーが存在します。“!”や“?”は出来るだけ避けたほうが良いでしょう。顔文字などはもってのほかです。誤字や脱字などは極力無くしましょう。スタッフへの伝達事項は必ず敬語を用いましょう。 学生の皆さんはカルテを書くことがあると思いますが、詳しい書き方は次回説明します。研修医は毎日カルテを書きますが、病棟の中で最も若手だということを自覚した上で謙虚なカルテを書いています。 また、タイピング速度が遅かったりミスタッチが多かったりすると上級医がイライラしてしまうので学生のうちにタイピングを練習しておくのが良いでしょう。
②チーム医療のマナー
いくら“チーム医療”で全員が役割分担したコミュニケーションの多い医療を目指すとはいえど、その中では学生や研修医は最も権力のない下位層であることに変わりはありません。やはりカルテと同じく謙虚な姿勢を見せたほうがよいでしょう。万が一あなたが上級医や看護師より年上だったとしても必ず敬語で、話しましょう。 看護師さんの中には追加の仕事をしたくない人もいます。何かお願いするときには謙虚な態度を心がけると上手くいきます。
あと一つ大事なことは、分からないことは分からないとしっかり言いましょう。上級医や看護師さんは半ばこちらを試すような感じで難しいこと注文してくることがあります。そんな時にとりあえず“はい”と言ってしまうと後で他の先生にやり方を聞く羽目になります。 “できません”や“分かりません”と素直に言ってしまったほうがスムーズに問題解決へ進みますよ。
③患者さんの前でのマナー
先述の通り、多くの患者さんは私たちが専門とする医学知識は持たないものの、社会人として先輩であります。当然、マナーにも厳しい人は(高齢男性で特に)多いです。最低限のマナーとして敬語や服装はしっかりとしておきましょう。敬語は大丈夫だとは思いますが、服装に関しては病院のルールを守るのが良いです。
病院ではスマホで上級医などと連絡を取ることもありますが、スマホの使用に関しては快く思わない患者さんが多くいるため要注意です。病院での歩きスマホは絶対禁忌です。ちなみに私は患者さんの前でよくiPadをいじっていますが文句を言われたことは一度もありません。iPhoneとiPadの使用に対してこれほど心象が変わる理由はわかりませんがとりあえずiPadが最強ということですね。iPad勉強法は良いですよ~
④御高診依頼・診療情報提供書の記載マナー
原則は“医師は医師に丁寧に”です。他科の医師に患者さんの相談をする御高診や診療情報提供書(いわゆる紹介状)を書く時にはとにかく丁寧に書きましょう。その際勉強不足が露呈するような文章は書かないようにしましょう。それを読んだ医師はあなたの悪口を言うでしょう。
研修をしてみて思ったことは、とにかく医師というのは他の医師の悪口が好きです。科によって世界観や常識が全く異なることが原因だと思いますが、他科の先生に嫌われないような生き方をしたいですね。
また、紹介してきた医師が誤診をしていたとしてもそれを咎めるのは良くありません。柔らかな文書で悟らせてあげましょう。もちろん患者さんに「前の医師に誤診されてますよ」などと言うのは禁忌です。無駄な訴訟にも繋がりかねないからです。そりゃあ前医のことをディスってたら患者さんにとっては後医が輝いて見えますよね。
『研修医コロナのカルテ。』の第2回はカルテの書き方講座です!
【コロナのちょっと一言】
薬剤の商品名ってちょっと難しいですよね。国家試験には一般名で出題されていますが、研修医になって一番最初につまづくのが商品名なのです。しかしそんな商品名はテキトーにつけられているわけではなく、中には商品名から薬効を類推できるセンスの良い命名もあります。 ということで商品名から何の薬か当てようゲームをしましょう!
第1問 『セレコックス』
→セレコックスは『select COX』と言う意味です。つまり、COX-2の選択的阻害薬、いわゆるNSAIDsですね。
第2問 『ボノテオ』
→ボノの中に『Bone』の文字が見えましたか?そう、これは骨粗鬆症の薬、ビスホスホネート製剤です。
第3問 『イントラリポス』
→『intra(内へ入れる) Lipos(脂肪)』ということで輸液用の脂肪乳剤でした。ちなみに輸液はとても大切です。「Q-Assist」の盛永先生の輸液講座はとてもまとまっているのでおススメです。私もこの講座のおかげで輸液が得意になり、それを研修医としてとても活かしています! ではまた次回。
おわり。
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筆者:コロナ(都内市中病院 研修医)
「医学生コロナのRoad to Doctor【医師への道】」の管理人であり、医学生や医学部受験生に有益な情報を配信中。趣味は筋トレとワイン。 「医学生コロナのRoad to Doctor【医師への道】」