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115回医師国家試験【禁忌肢】判明!禁忌肢落ちは何人?禁忌肢落ちを避ける方法は?
※最新116回国試の禁忌肢分析データは以下をご確認ください!
こんにちは,禁忌肢担当の編集Yです.
第115回医師国家試験の受験生だった皆様,大変お疲れさまでした.また「講師速報」で禁忌肢選択数の情報ご提供にご協力いただいた皆様,ありがとうございました.
合格発表後,郵送されてきた成績通知書に思いもしなかった禁忌肢選択数「1以上」の数字を見て,びっくりした人,自分が選んでしまった禁忌肢がどの問題かわからずモヤッた人,きっといるかと思います.
皆様から提供いただいた情報で,今年も禁忌肢採点問題の特定に至りました!
この記事を読んでぜひもやもやを解消していただき,また次回以降の受験生への情報提供に活用させていただきます!
そして次回,第116回医師国試を受験予定の皆様,
いよいよ受験まで1年を切り,国試対策も本格化してくる頃となりましたね.
本記事では直近の第115回医師国家試験「禁忌肢採点問題」について解説しています.
国試の出題形式,合格判定,禁忌肢採点問題など,国試の基本について「まだよくわかんないなー」という方は,ぜひ下記の記事をあわせてご参照ください.
それではさっそく,第115回医師国家試験の禁忌肢採点問題,解析結果の発表にうつりたいと思います.
まずはおさらい,例年の禁忌肢分析に基づく「禁忌肢採点問題」の概要と,第115回医師国家試験の禁忌肢採点問題のまとめからどうぞ.
1.禁忌肢採点問題は国試の全400問中,約10問
2.禁忌肢採点問題は必修問題以外(総論や各論)からも出題されている
3.禁忌肢採点問題は正答率によって左右されない
4.禁忌肢採点問題は相対禁忌を含み,かつ禁忌の軽重によって左右されない
5.禁忌肢を1問でも踏んだ人は115回国試受験者全体の約14%,禁忌肢落ちした人は0人
(※「講師速報」解答入力者の解析による)
大騒ぎになった第112回国試では受験者全体の約半数が,第113回では約3割が何らかの禁忌肢を踏み,禁忌肢落ちとなった人もいたことと比較すると,昨年の禁忌肢選択者の割合は全体の約16%,今年は約14%と禁忌肢選択者が比較的少数になってきています.禁忌肢4問以上で不合格となった人も,「講師速報」の解答入力データ上ではいませんでした.
とはいえ油断大敵! 今年も以下にご紹介するように,少なくとも8問が禁忌肢採点問題として400問中に存在したわけで,気を抜くと禁忌肢落ちする可能性ももちろんあるのです.
では115回国試,「禁忌肢踏んじゃった人多い順」第1位の禁忌肢採点問題はこちら!
115F46
陣痛発来から8時間が経過し,子宮口全開大,陣痛周期2~3分で有効な陣痛があるにもかかわらず,SP-1cm,小泉門は1時方向で,それから4時間経過しても変化なし…….「児頭未嵌入,高在縦定位,分娩停止」の状態が考えられます.で,見直してみれば,妊婦さんの身長が147cm,推定胎児体重が3,880gで,「あー…」ってなりますね.お母さんが小さめなのに赤ちゃんが大きめ.児頭骨盤不均衡(CPD)の疑いです.出口よりも,中の胎児のほうが大きい.これではいくら頑張っても出てきません.
と,いうことで,正解は「d 帝王切開」となります.
さて,児頭骨盤不均衡であれば,帝王切開以外ではどうやっても娩出が見込めそうにないので,d以外のa,b,c,e,どれも無用無益とはいえるのですが,頭蓋内出血,頭血腫などの合併症を起こしうるということで,「b 吸引分娩」が本問の禁忌採点選択肢でした.
115回国試で,禁忌肢を1つ以上選択してしまった受験生グループ全体のうち,約36%がこの禁忌肢を踏んでいました.
続いて「禁忌肢踏んじゃった人多い順」第2位はこちら.
115A40
心電図上でST上昇,R波の減高,T波の陰性化がみられ(どこかわかりますか? 詳しくは4月24日発行予定『第115回医師国家試験問題解説』で!),ST上昇型急性心筋梗塞の診断となります.
心電図は読めたけど,CABGもPCIも選択肢にない……あ,血栓溶解療法(e t-PA投与)ならある!
あかんあかんあかんよ! 術後やで! 昨日肝切除術をやったばっかりやで! 再出血の恐れありでt-PAの禁忌です!
うっかりすっかり嵌められた受験生さんがいたようです…….
正解は「b 心臓カテーテル検査」で,なんならそのままPCIに移行できる手技です.
禁忌肢選択者グループ中,約28%が踏んでしまった禁忌肢でした.
引き続き「禁忌肢踏んじゃった人多い順」第3位はこちら.
115D26
画像を見なくても,ほとんどの受験者は症例文だけで診断がわかったと思うんです.「停留精巣だな」って.
しかし診断がわかっても,検査,症状,所見,治療を総合的におさえてなければ解けないのがこの問題.
正解は「d 「男性不妊の原因になります」」ですが,正答率は87.9%で,国試の5肢択一問題の中では正答率が高いとはいえませんでした.
誤り選択肢のなかでも,禁忌肢として採点されたのが「b 「学童期に手術します」」.停留精巣は3ヵ月までに60~70%が自然下降し,それ以降は自然下降があまり見込めなくなります.加えて腹腔内の高温環境では妊孕性の低下,精巣の癌化をきたし,3歳時点で早くもそれらの影響がみられるとのこと.正しい根治術の時期は1~2歳頃になります.
禁忌肢選択者グループ中,25%が踏んだ禁忌肢でした.
以下,今年の弊社解析ではあわせて8問分が禁忌肢採点問題として特定されました.(カッコ内は禁忌肢選択者グループ中の選択率.なお禁忌肢選択数が2問以上だった受験者を含むため,合計は100%になりません)
115D20 c 鼻腔腫瘍(確定診断に至らず)で頭蓋底手術(13%)
115A59 a 下腿開放骨折後の創部感染で下腿切断(5%)
115A36 e 尿道外傷に外腸骨動脈塞栓術(2%)
115E36 b 非ST上昇型急性冠症候群で運動負荷心電図(2%)
115E33 a 右外鼠径ヘルニア嵌頓で陰囊穿刺(1%)
禁忌肢問題の解説の詳細は,ぜひ4月24日発行予定『第115回医師国家試験問題解説』をご参照ください!
次回116回国試以降も引き続き,禁忌肢採点問題の合格判定の壁が受験生の前に立ちふさがることになります.
今年は去年114回の禁忌肢の傾向にみられたような「出題が巧妙化している」というような問題は特に見当たりませんでしたが,「予後良好な経過が期待できる病態に対し,無用有害の過大な侵襲を加えると,大変厳しく禁忌肢判定されること」については,115A59,115A36にみられるように,引き続き禁忌肢採点問題の中の大きなウェイトを占めているように思われました.
また,本稿の最初のほう,禁忌肢採点問題の概要に挙げたような
2.禁忌肢採点問題は必修問題以外(総論や各論)からも出題されている
4.禁忌肢採点問題は相対禁忌を含み,かつ禁忌の軽重によって左右されない
という点などから,禁忌肢対策については,死亡や重篤な障害をもたらすものに限らず広い範囲で,かつあらゆる分野で注意深くチェックしておき,記憶しておくことが重要になってくるものと考えられます.
メディックメディアでは,引き続き第116回医師国家試験受験者への情報をお送りいたします!
(編集Y)