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国試

医師国家試験対策その1:知っておきたい「国試のキホン」

 

●ざっくり言うと…

 

・日程は2日間,問題は3形式(臨床・一般・必修)で合計400問出題される


・必修は絶対基準,臨床/一般は相対基準で採点される


・合格率は9割.残りの1割に入らないための勉強をすることが大切

 


 

これから国試対策を始めようとしている皆さん,国試の合格規準や出題範囲について,どれくらい知っていますか?

 

「国試なんてまだ先のこと」と思っている方もいるかもしれませんが,病院実習の最中であったり,マッチング・卒試などが控えている6年生の1年間は,思ったとおりに勉強を進められません.早めに意識して,情報収集しておきましょう.

 

第112回医師国家試験(2018年2月実施)〔以下「112回国試」〕からは,出題数が従来の500問から400問になり,それに伴い日程も3日間から2日間に短縮されました.
第113回医師国家試験も,112回と同様の時間割で実施されると思われます.112回を振り返りながら,ここでは国試の基本的なことを中心に確認していきましょう.

 

 

 

Q1.国試っていつやるの?

A1.2月上~中旬の週末.112回からは2日間(土・日)

 

国試はこれまで,2月の上~中旬に1日3コマ×3日間かけて行われてきましたが,

112回からは2日間になりました

 

日程は2018年2月10日(土)~11日(日)でした.113回国試も,2月の2週目前後の週末に実施されるものと思われます.
インフルエンザなどの感染症が流行する時期でもありますので,万全の体調で挑めるよう,生活面でも対策を怠れない時期です.

 

受験会場となるのは,全国12の都道府県(北海道,宮城県,東京都,新潟県,愛知県,石川県,大阪府,広島県,香川県,福岡県,熊本県,沖縄県)
複数の試験会場が設けられ,一斉に実施されます.

 

当日のスケジュールは,こんな感じです.↓

 

 

各コマの出題内容は,毎年同じとは限りません.

 

たとえば101回までは臨床問題と一般問題が同じコマ内で同時に出題されることはありませんでしたが,102回からは,同じコマ内で臨床・一般がどちらも出題されるようになりました.
また,102回までは同じ科の問題はある程度固まって出題されたのですが,103回からは分野がシャッフルされ,1問ごとに出てくる科が変化し,診断がつけにくい出題形式になりました.
そして112回からは,問題数が400問となり,上表のように時間割が様変わりしました

 

113回国試でも,概ね112回と同じような時間割で行われると思われます(時間割は受験直前(1月末ごろ)に届く受験票で確認することになります).

 

Q2.どんな問題が出るの?

A2.3タイプの出題形式をおさえよう

 

国試では,臨床問題一般問題必修問題という3タイプの問題が出題されます.大きく分けて「臨床問題」と「一般問題」に分けることができ,それぞれの一部が「必修問題」として出題されると考えてください.

 

問題数は合計400問.グラフにすると以下のようになります.

 

 

111回までは,必修以外の一般問題と臨床問題は別々に採点されていたため,それぞれの基準をクリアする必要がありました.
配点は一般問題が1点,臨床問題が3点だったため,一見すると臨床が一般の3倍重要かのように見えましたが,実際はこれらが合計されることはなく,かつ一般問題と臨床問題は同数の出題量だったので,1問の重さは同じといえました.

しかし112回からは,一般問題と臨床問題の点数が合算される合格基準に変わり,臨床問題の配点が一般問題同様に1点にそろえられました.
一般と臨床の1問の重さはこれまで同様変わりませんが,一般問題が100問削減されたことで,一般問題100問に対し臨床問題が200問となりました.
すなわち「臨床問題対策の重要性が倍になった」といえるのです.

 

もともと近年の国試では,臨床ならではの問題が多く出題されるようになっていますので,過去問(特に直近3回)やネット講座などでこういった臨床問題特有の思考過程を意識して勉強していくことが,これからの国試ではますます重要となります.

 

 

Q3.臨床問題・一般問題って何?

A3.臨床問題は,症例文を読ませ,その症例への対応や知識を問う問題.一般問題は,短文でピンポイントな知識を問う問題.

 

まず臨床問題とは,症例文を読んだ上で,その症例への対応や疾患についての知識が問われる問題です.

 

112A26

67歳の女性.不眠を主訴に来院した.1ヵ月前から夜になると両足に虫が這うような不快な感覚を自覚していた.この不快感は安静にしていると増強するが,足を動かすことで軽減する.かかりつけ医からは経過をみるように言われたが良くならず,足を動かしたい欲求が強く寝つけなくなり受診した.四肢の筋トーヌスは正常で筋力低下を認めない.腱反射は正常で,Babinski徴候は陰性である.感覚障害と小脳性運動失調とを認めない.歩行に支障はなく,日常生活動作にも問題はない.血液生化学検査では血清フェリチンを含めて異常を認めない.
適切な治療薬はどれか.

a β遮断薬
b 筋弛緩薬
c 抗コリン薬
d ドパミン受容体作動薬
e アセチルコリンエステラーゼ阻害薬

 

国試のガイドライン上は総論と各論に分かれていますが,問題の性質上,各論問題が多いように感じられると思います(臨床総論として出題されている問題でも,結局各論的なタテ切りの知識で解くことが多いため).

 

また,臨床問題には上の例(112A26)のような1症例に1設問のもの以外に,1症例に複数の設問が設けられる場合があります.後者を「長文臨床問題」とよびます.

 

これに対して一般問題とは,短文でピンポイントな知識を問う “クイズ形式” の問題です.

 

112C24
高血圧と糖代謝異常をきたす疾患はどれか.3つ選べ.

a 肝硬変
b 先端巨大症
c Cushing症候群
d 偽性Bartter症候群
e 偽性アルドステロン症

 

単純に疾患の知識が問われるものもあれば,対策しにくいヨコ切り問題が出題されることも多くあります.

 

X2(「2つ選べ」)形式,X3(「3つ選べ」)形式の問題もあるため,選択肢すべてを丁寧に吟味しなくてはならず,症例文のヒントがある臨床問題よりも解きにくいと感じる受験生が多いようです.

 

 

Q4.必修問題って何?

A4.医師として必ず知っておくべき知識を問う問題.受験生が一番苦しめられる?!

 

必修問題とは,簡単にいえば「医師として必ず知っておくべき知識」を問う問題です.

 

具体的には,倫理・法規などの社会的なテーマプライマリケア(common diseaseの診断と治療,各種診察・手技)に関するテーマチーム医療や患者の心理的側面に関するテーマなどが含まれています.

また一般教養医学英語が出題されるのも必修問題の特徴です.

 

必修問題は,臨床問題・一般問題に比べて基本的な内容が出題されやすいのですが,だからといって簡単に合格基準を突破できるとはかぎりません

むしろ必修問題に一番苦しめられたと感じる受験生も毎年多くいます.

 

その理由としてまず挙げられるのが,「8割正解しないと不合格」という絶対基準が定められていること.特に1問3点の必修臨床問題をうっかり落とし続けると,あっという間に合格基準の8割を割ってしまいます.

 

特に,“必修独特の問われ方” “普段は勉強しないテーマからの出題” が受験生を苦しめます.ひとまず例題をみてみましょう.

 

112E4
診療録について誤っているのはどれか.

a 傷病名を記載する.
b 記載者を明らかにする.
c 修正する場合は履歴を残す.
d 診療完結日から5年間保存する.
e 入院中変化がない日は記載を省略できる.

 

この問題のように,近年の国試では学生が勉強しづらい「臨床医にとっての常識」が当たり前のように出題されます.

その流れもあり,研修医になってすぐに役立つ知識について学生のうちから意識して勉強する人も増えてはきていますが,対策しづらい領域であることは事実でしょう.

 

必修対策の際には「研修医に求められる知識」も意識して勉強することが求められてきています.112回ではさらにこのような題意が感じられる問題が多かったと言えます.

 

その他,必修問題では禁忌肢が出題されやすいと考えられており,普段なら悩まない選択肢であっても自信をもって選べなくなることも多いようです(後述).

 

 

Q5.合格基準はどうなってるの?

A5.必修は「絶対基準」,臨床/一般は「相対基準」でそれぞれ採点される

 

 

112回から,必修問題以外の一般問題と臨床実地問題の得点は合算されて採点されるようになりました.

 

必修問題は「絶対基準」で判定され,ボーダーは「8割」です.
一方,臨床・一般問題は「相対基準」で判定されます.そのためボーダーラインは年によってある程度の変動がありますが,例年65~70%前後となっています.

 

「必修問題」と「一般・臨床問題」はそれぞれ別に採点されるため,一般・臨床問題でいくら得点しても必修問題で合格ラインを割ってしまうと不合格となります.
このため必修問題は国試の“鬼門”とされているのです.

 

 

Q6.不適切問題・採点除外問題って何?

A6.問題の内容や難易度によって,採点に含まれないことがある.

 

医師国試では例年,いくつか悪問・難問が出題されます.

たとえば “1選ぶべき問題なのに答えが2つ選べてしまう” といった不適切問題については,「aのみが正解であったがbを選んだものも正解とする」「採点対象から除外する」というような対応がなされます.

また,必修問題では,問題として成立はしてもその内容が難しすぎる場合,「問題として適切であるが,必修問題として妥当でない」として,正解した受験生については採点対象に含め,不正解の受験生についてのみ採点対象から除外されるなど,様々な対応がなされます.

 

こうした問題は例年数問ほど生じますが,もちろん試験本番中に受験生が知ることはありません.

 

 

Q7.禁忌肢って何?

A7.4 つ選んだだけで不合格

 

患者の死や不可逆的な臓器の機能廃絶につながる選択肢」や「医師として遵守すべき法律

に抵触する選択肢」が禁忌肢となります.4つ(個数は年によって異なる)選んだだけで,他が満点でも不合格になるという強力な選択肢ですが,内容的に,そうそう選んでしまうことはありません.

 

しかし油断は禁物です.治療や検査におけるものだけでなく,医師法違反など,法規に関するものも禁忌肢になりえますので,まんべんなくチェックしておく必要があります.

また,選択肢が「禁忌」と思われる内容でも,採点側がそれを「禁忌肢」として採点するかどうかはわかりません.また,どの選択肢が「禁忌肢」として採点されたのかも公表されません.

 

112A30
5歳の男児.頭痛と嘔吐とを主訴に両親に連れられて来院した.1ヵ月前から徐々に歩行がふらつくようになった.1週間前から頭痛と嘔吐が出現した.頭痛は早朝起床時に強いという.嘔吐は噴射状に起こるが,嘔吐後,気分不良はすぐに改善し飲食可能となる.意識は清明.体温36.2℃.脈拍92/分,整.血圧116/78mmHg.呼吸数20/分.CT検査のできる総合病院への紹介を検討している.
緊急度を判断するために当院でまず行うべき検査はどれか.

a 脳波
b 眼底検査
c 視野検査
d 脳脊髄液検査
e 頭部X線撮影

 

112A47
25歳の男性.激しい頭痛のために救急車で搬入された.3年前から短時間の動悸を1日2,3回自覚するようになった.半年前,健診で血圧高値を指摘され,その頃から動悸が頻回に出現するようになり,頭痛,前胸部痛および手指の蒼白を伴うようになった.今朝から激しい頭痛があったため救急車を要請した.既往歴に特記すべきことはない.喫煙歴はなく,飲酒は機会飲酒.家族歴として母親に甲状腺髄様癌の罹患歴がある.身長174cm,体重52kg.体温37.5℃.心拍数120/分,整.血圧240/124mmHg.四肢の冷感を認める.項部硬直やjolt accentuationを認めない.腹部超音波検査で左側腹部に径12cmの腫瘤影を認める.心エコー検査と頭部CTとに異常を認めない.高血圧緊急症を疑い,カルシウム拮抗薬の点滴静注を行ったが,その後も頭痛と収縮期血圧が200㎜Hg以上の高血圧および頻脈が持続している.
この時点の対応として正しいのはどれか.

a 経過観察
b α遮断薬投与
c β遮断薬投与
d アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬投与
e 非ステロイド性抗炎症薬〈NSAIDs〉投与

 

※上記2題は正式に公表された禁忌肢問題ではありません.

 

かつては禁忌として採点されていたのは必修問題のみだったようですが,出題基準に「禁忌肢は必修問題のみ」という記述はありません.

「必修では禁忌を踏んでいるとは思えないのに,成績表を見ると禁忌肢を踏んでいる」という学生さんもいます.

必修以外の問題でも禁忌肢がありえると考えて試験に臨んだほうがよいかもしれません.

 

参考:112回医師国家試験【禁忌肢問題】がついに判明!8000人に上る受験者・100人以上の禁忌肢選択者のデータから分かった問題は?(その1)

 

 

Q8.どんな分野が出題されるの?

A8.10大重要科目はこれ!

 

医師国試では,基礎医学・臨床医学・社会医学など,医学関連科目のすべてが出題範囲となります.広範囲ではありますが,出題傾向を把握していれば “特に問われやすい分野” も見えてきます.

参考:第112回 医師国試分析(後編)

第112回 医師国家試験分析(後編)

 

近年の出題割合の平均値を算出すると,特に重要な10科目は,

  • ・消化器
  • ・循環器
  • ・内分泌/代謝
  • ・呼吸器
  • ・神経
  • ・救急
  • ・医学総論
  • ・小児科
  • ・産科
  • ・公衆衛生

です.

 

この10大重要科目のうち,メジャー科目はなるべく早く対策することをオススメしています.

 

また,医師国試には「出題基準」(別称「ガイドライン」)というものがあります.

厚生労働省が,医師国家試験に出題する範囲(分野)と疾患をリスト化して発表しているものです.

概ね4年ごとに改定されており,112回国試からは「平成30年版医師国家試験出題基準」が適用されています.

この基準は116回国試頃まで継続して使用されるものと思われます.

 

平成30年版出題基準については,メディックメディアのまとめサイトも参考にしてください.随時情報を追加しています.

 

Q9.どれくらいの人が合格するの?

A9.合格率は例年90%前後.

 

95回国試以降,合格率は90%前後で安定しています.

 

 

10人のうち9人が合格する試験だけに,「他の人が解けない問題を解けた人」が合格する試験ではなく,「多くの人が解けた問題を確実に解いた人」が合格する試験といえるでしょう.

つまり,他の受験生の動向から大きく外れた勉強をしない,「不合格とならない勉強」を心がける必要があります.

 

まとめ

 

医師国試は「他の人が解けない問題を解けた人」が受かる試験ではなく,「他の人が解けた問題を間違えてしまった人」が落ちる試験です.

他の受験生の動向から大きく外れた勉強をしないように周りを常に意識して,平均的な母集団から置いていかれないようにしましょう.大丈夫です,決して難しいことではありません.

 

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↓こちらも激しくオススメ

第112回 医師国家試験分析(前編)

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