国試

[5~6年生向け]【国試体験記】俺みたいにはなるな!短期集中型人間の不合格体験記

  • 学内の試験やCBTと国家試験では必要な勉強量が違うため,数ヶ月でなんとかするには限界がある
  • 長期計画を立てて,コツコツと勉強することが大切!
  • 国試不合格の反省を活かし,「Q-Assist」,「医ンプットCard」,「クエスチョン・バンク」を併用した勉強を実践

 


 

こんにちは.編集部N.Mです.

今回は第118回医師国家試験で惜しくも不合格となってしまった先輩の体験記をご紹介いたします.

「今まで短期集中でうまくやってきたから,国試本番も大丈夫だろう」という油断が,国試の対策不足を招いてしまうこともあります.

順調に勉強が進んでいる方も,自分の勉強量に自信のない方も,ぜひ一度目を通してみてください.


俺みたいにはなるな!短期集中型人間の不合格体験記

H.Iさん


◆インターネットの闇 「短期集中」の魅惑

「国試はとにかく短期集中! コスパが大事!」

インターネットで「国試 勉強時間 最低」などと検索してザッピングしていると,かくも魅力的な情報をしばしば目にすることでしょう.

そして,私のような怠惰の極まった人間は,それこそが正しくすべての正解なのだと自身を洗脳し,楽な方へ,楽な方へと突き進んでしまうのです――

私は,国試に至るまで,定期テストはほとんどすべて一夜漬け,CBTも勉強期間は2週間.それでだいたいなんとかする医学部生活を営んできました.「コスパ」に囚われていました.「コスパこそ正義」「時間よりも効率」といった思想に支配されていました.

そんな私が国試の勉強をサボり散らかして,秋頃になっていよいよ焦って「国試 勉強時間 最低」などと検索したときに目に入った,「○ヵ月で受かる勉強法!」などという文言に乗せられるのは,必然でしかありませんでした.

「国試まであと2ヵ月」――そんな絶望的な状況ではあったものの,2ヵ月で受かる自信はありました.今まで短期集中でなんとかしてきた成功体験と,自分の中では理路整然と確立したつもりの勉強スケジュールがあったからです.

それと,幸いにもメジャー科と小児・産婦の映像授業は過去にダラダラと視聴済みでした.絶対的な自信を携えて,いざ,短期集中! 2ヵ月で国試に絶対受かるんじゃ!! 国試数日前に回数別を解いて,一般臨床で正答率85%を叩き出し,「これはいける!」と合格を確信.

――無事,余裕で落ちました.

国試に落ちて絶望
▲絶望……圧倒的絶望……!!

◆結局はコツコツ頑張ることと長期計画が大事

国試浪人と化した私は,今までの学習姿勢を反省し,1年かけてコツコツ勉強する方針に鞍替えしました.

数ヶ月の短期集中では,求められるスピード感から,とにかく過去問をひたすら覚えることに留まり,最終到達地点は「見たことあるから解ける」という状態でしかありませんでした.

なので,科目別の周回後に回数別の正答率がいい感じであっても,一度解いて答えを覚えているから解けただけなのであって,それ以上ではなかった.だから国試本番ではボロボロだったのです.

そこを反省した私は,1年かけてコツコツと,知識の定着と応用力の養成を図ることにしました.

具体的な勉強法としては,各科の各章(「不整脈」や「腸疾患」ぐらいの括り)ごとに,

①「Q-Assist」の視聴

②「医ンプットCard」によるサブプリントの暗記

③「クエスチョン・バンク」(以下,「QB」)で該当する単元の問題演習

という一連のプロセスを回していっています.

これにより,動画の視聴で満足して「なんとなく分かった」というだけの状態に留まることを回避し,「きちんと知識を覚えること」と「その知識を演習に活かすこと」を徹底しています.

医学生がよく使っているAnkiを使わず,「医ンプットCard」を暗記に用いているのは,暗記事項のAnki化が面倒くさすぎたからです.「医ンプットCard」では,最初からサブプリントがAnkiのように反復暗記できるプリセットが組まれているので,めちゃくちゃ便利です.

医ンプットカードの特徴
▲医ンプットカードの特徴(クリックで画像を拡大)

また,ミクロな勉強法だけを詰めたことで何かを成し遂げた気になってしまい,その後はやっているのかやっていないのか分からないような状態でダラダラしてしまう“ダメ浪人症候群”に陥ることも,自分の性格上おおいにあり得ます.

なので,日割りの学習スケジュールをきちんと定めることにしました.4月1日は循環器総論,2日は不整脈,これぐらいの細かさで学習スケジュールをきちんと定めて,先述の学習プロセスを周回しています.

国試の日割り学習計画
▲日割りの学習スケジュール(クリックで画像を拡大)

◆これから国試を迎える人たちへ 具体的な長期の学習スケジュール

今現在私が行なっている学習方法で手応えを感じているため,最後に,それを踏まえた学習スケジュールを恐縮ですが読者の皆様にお示しさせていただきます.

まず,前提となるデータとして,「QB」上にある問題は,科目別の全問題が6,369問,1周目問題だけに絞ると2,312問となっています.

各科の各章ごと,となると,およそ各章につき1周目問題だけで20-30問ほどのことが多いです.

これぐらいなら実習やマッチングとの並行で忙しい大多数の現役生でも,さすがに解くことのできる分量……と思ってもらえたなら嬉しいです!(笑)

さて,1周目問題が2,312問であることを踏まえると,1日20問解いていけば,約116日――およそ4ヵ月ほどで1周目問題を周回可能な計算になります.

ということで,先述の「Q-Assist」の視聴→サブプリントの暗記→「QB」での演習を,まずは4~5ヵ月間,毎日回していくことが当面の目標です.

4~5ヵ月としたのは,実習やら部活やらマッチングやらモチベやら飲み会やら遊びやらの不可避な要因により,完全にスケジュール通りに計画を遂行するのは難しいので,少し余裕を持たせています.

残った期間についてですが,6年生の初めから真面目に勉強を始めた方は,同様のペースで2周目(映像視聴はテキストの見直しに置き換え)に入れば,2周目が終わった段階で盤石な知識を携えて直前期に突入できるのではないでしょうか.

一方,夏休み頃から勉強を開始した方は,1周目を終えた段階で11月頃になっていることと思います.なので,2周目を行おうとした場合,この倍のペースで学習を進めていく必要があります

いずれにせよ,この学習指針は長期計画が前提となっているため,半年~1年ほどの勉強期間が必要となります.この記事を読んでいる6年生の皆様は,ぜひとも私の屍を乗り越えて,今すぐに勉強を開始してください.

国試の長期的な学習スケジュール
▲長期的な学習スケジュール(クリックで画像を拡大)

最後に改めて,これまでの成功体験やインターネット上の甘言を受けて,「自分は短期集中で国試を乗り越えられる」という淡い希望を持つことはやめてください.

それができる人はごく少数に限られます.少なくとも,私はそのごく少数に当てはまりませんでした.

大多数の人たちがそうしているように,真面目にコツコツ勉強を進めていくことが,一番安心安全です.ぜひとも私を反面教師にしてください.

それでは皆様,長くしんどい道のりかもしれませんが,一緒に国試を乗り越えていきましょう!


惜しくも国試に不合格となってしまった先輩の体験記,いかがでしたでしょうか.

国試を攻略するには長期的な勉強計画が必要なようですね.

試験当日にしっかり実力を発揮するためにも,自分の現状を把握して,

着実に勉強を進めていきましょう.応援しています!

(編集部N.M)

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