[読み物]医学用語の正しい読み方,わかりますか?(第5回)
シリーズ「医学用語の正しい読み方,わかりますか?」.
今回は【第5回:読めない外国語 症候・その他編】をお送りします.
前回の【第4回:読めない外国語 疾患・症候群編】は何問正解できたでしょうか.
それでは,
今回の問題にいってみましょう.
◆第5回:読めない外国語 症候・その他編◆
まずは症候や所見の名前から!
1.Courvoisier徴候
2.Rovsing徴候
3.Kernig徴候
4.Charcotの3徴
5.Trömner反射
【症候編 解答と解説】
1.クールボアジェ徴候
2.ロブシング徴候
3.ケルニッヒ徴候
4.シャルコーの3徴
5.トレムナー反射
OSCEや国試ではお馴染みの単語ばかりだと思います.
1.Courvoisier徴候は無痛性の胆嚢腫大のことですね.
下部胆管癌や,乳頭部癌で認められます.
「ボイジャー」と読んでしまいそうですが,「ボアジェ」が正しいですので,
注意してみてください.
2.急性虫垂炎で,腸内圧の上昇により腹痛が増強する徴候を,
Rovsing徴候といいます.
落ち着いてみたらそのまま読めばいいとわかりますが,意外と読みにくいようです.
3.Kernig徴候は髄膜刺激徴候で重要な所見です.
足を持ち上げたときの抵抗をみます.
ドイツ人の神経生理学者,Woldemar Kernig(ヴォルデマール・ケルニッヒ)が由来です.
igを「イヒ」と発音することにもご注目.
4.Charcotの3徴は急性胆管炎の症候で,発熱,黄疸,右上腹部痛の3つです.
Charcot-Marie-Tooth病も同じ読み方「シャルコー・マリー・トゥース」ですね.
ちなみにこの3徴に,ショック,意識障害が加わると,
Reynolds(レイノルズ)の5徴となりますので,こちらもお忘れなく!
5.Trömner反射は病的反射の一つです.
ö(「oウムラウト」と読みます)は「オー」ではなく,「エ」と発音するんですね.
これらの症候は読み方も大事ですが,実際の診察手技も重要です.
詳しい手技は「診察と手技がみえる」や「病気がみえる」などで
それぞれ確認をお願いします.
では続けて問題です.
【その他編】
1.Kayser-Fleischer角膜輪
2.Vater乳頭
3.‰
4.Döderlein桿菌
5.Rohrer指数
【その他編 解答と解説】
1.カイザー・フライシャー角膜輪
2.ファーター乳頭
3.パーミル
4.デーデルライン桿菌
5. ローレル指数
1.Kayser-Fleischer角膜輪はWilson病の特徴的眼所見です.
「ケイサー」と読んでしまいそうですが、「カイザー」ですのでご注意を.
2.胆汁の十二指腸への出口であるVater乳頭.
こちらのポイントもvの発音ですね.
3.他の単語と少し毛色の違う問題ですが,‰は千分率のことで,
1%は100分の1,1‰は1000分の1になります.
網赤血球の単位ですね.
%よりも小さな単位であることに注意しましょう.
4.腟内を酸性に保つために不可欠なDöderlein桿菌ですが,
Lactobacillus属に所属します.
こちらの読み方は,「ラクトバチラス」です.
細菌名も難しいものが多いですが,大事なものが多いので,
読み方のわからないものがあればぜひ調べてみてください.
5.小児科の発育指数であるRohrer指数ですが,
Kaup(カウプ)指数とあわせて重要になりますので要チェック!
Kaup指数が乳幼児,Rohrer指数が学童を対象としているものでしたね.
以上が実習や国試でよく使われる医学英語の読み方でした.
これくらいはわかるよというものから,意外とあいまいに覚えていた・・・
というものまで様々だとは思いますが,それぞれの単語の意味とあわせて,
覚えられるといいですね.
さて,最後に番外編ですが,臨床実習に出ると必ず使う「POMR」と「SOAP」.
みなさん,なんて読んでいますか?
「POMR」はそのまま「ピーオーエムアール」,
「SOAP」は「ソープ」なんて読む方が多いようですが,
私の学校では「POMR」を「ポーマ」と読んでいる人もいました.
ちょっとかわいらしいですね.
正式な読み方があるのか,色々調べてみましたが,
特に決まった読み方はなさそうでした.
「私の学校ではこんな個性的な読み方しているよ!」というものがあれば,
ぜひ教えてください.
それでは「医学用語の正しい読み方」シリーズはこれで終了です.
ありがとうございました!
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