コラム

[読み物] 医学用語の正しい読み方,わかりますか?(第3回)

医療現場で登場する,間違いやすい漢字・外国語の正しい読み方を,
シリーズでお送りしている「医学用語の正しい読み方,わかりますか?」

今回は【第3回:読めない漢字 専門編 上級】です.

◆第3回:読めない漢字 専門編 上級◆

なかなか読めない上級編です.
以下の用語の読みはわかりますか?

1.瀉血
2.胼胝
3.掌蹠
4.鱗屑
5.萌出

6.鋸歯
7.充盈
8.登攀性起立
9.犬吠様咳嗽
10.胃穹窿部

【解説】

1.しゃけつ
2.べんち
3.しょうせき
4.りんせつ
5.ほうしゅつ
6.きょし
7.じゅうえい
8.とうはんせいきりつ
9.けんばいようがいそう
10.いきゅうりゅうぶ

どうでしたか?思わず読み飛ばしたくなる漢字ばかりです.

1.瀉血(しゃけつ)とは,「血液を体外に流出させる処置」のことです.
真性赤血球増加症やC型肝炎などの治療法の一つです.

2.胼胝(べんち)とは,「角層の異常な増殖・肥厚により,表皮から隆起したもの」です.
いわゆる「たこ」のことです.

3.掌蹠(しょうせき)とは,「手掌(掌),足底(蹠)」のことです.
掌蹠膿疱症,掌蹠角化症などがあります.

4.鱗屑(りんせつ)とは,「肥厚した角層が表皮に付着した状態」のことです.
尋常性乾癬や脂漏性皮膚炎などでみられます.

5.萌出(ほうしゅつ)とは,「歯が生えること」です.
小児の“歯牙の萌出”という使い方をします.

6.鋸歯(きょし)とは,「のこぎり歯」のことです.
鋸歯状病変という使い方もします.

7.充盈(じゅうえい)とは,「十分に満ちている状態.充満と同意」のことです.
充盈像は,造影剤を十分量入れて臓器の形や陰影欠損などを評価する画像のことです.
胃の造影診断の基本となります.

8.登攀性起立(とうはんせいきりつ)とは,「筋力低下時にみられ,しゃがんだ位置から起立するとき,手を膝の上について,その支えで努力しながら身体を起こすこと」です.
Gowers徴候ともよばれ,筋ジストロフィーなどでみられます.
“とはんせい”と誤読する方が多いようです.

9.犬吠様咳嗽(けんばいようがいそう)とは,「犬が吠えるような甲高い咳」のことです.
ジフテリアやクループなどでみられます.“けんぼうよう”と誤読する方が多いようです.

10.胃穹窿部(いきゅうりゅうぶ)とは,「胃底部」のことです.

◆おまけ◆

小柴胡湯(しょうさいことう),裏急後重(りきゅうこうじゅう)なども読みにくいですね.
小柴胡湯は漢方の一種,裏急後重はしぶり腹のことです.

第3回は,ここまで!
いかがでしたか?

次回は,「外国語の正しい読み方」をお送りする予定です.

どうぞお楽しみに!

(編集部W)

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