薬がみえるシリーズ
[読み物]医学用語の正しい読み方、わかりますか?(第1回)
突然ですが、みなさん、 医学用語の読み方がわからなくて困ったことはありませんか?
特に、臨床実習が始まっている皆さんは、こんな経験をしたことがあるのでは…?
★プレゼン中、研修医にもらったサマリーの中に読み方がわからない漢字が出現して、焦る。
★プレゼンや発表で、変な読み方をして恥をかく。
★ある単語の読み方が、先生ごとに違って混乱する。
プレゼンなんかで間違えると密かに結構ヘコんでしまう…。
かといって、いちいち自分で調べたりするのは大変…。
そこで、今回のテーマは、 「医学用語の正しい読み方わかりますか?」
医療現場で登場する、間違いやすい漢字・外国語の正しい読み方を、 3回シリーズでお送りします。
◆第1回:読めない漢字 基本編◆
問題です! 以下の5つの言葉の読みを考えてください。 どれも、病院では頻繁に使われている言葉です。
1.惹起
2.増悪
3.脆弱
4.貼付
5.易感染性
【解説】
答えは、
1.じゃっき
2.ぞうあく
3.ぜいじゃく
4.ちょうふ
5.いかんせんせい
どうですか、全問正解できましたか?
1.惹起(じゃっき)は、「事件・問題などを引き起こすこと」で、 「炎症を惹起する」,「薬剤惹起性の○○」というように使います。 “ゆうき”と誤読する方が多いようですが、「誘起」との混同でしょうか。
2.増悪(ぞうあく)は、「症状や病態などがさらに悪化すること」を言います。 “ぞうお”と誤読する方が多いようですが、 これは「憎悪=ひどく憎むこと」との混同ですね。感情について、むかむかする、にくく感じるといった意味をもつ場合は「悪=お」と読みます。吐き気を意味する悪心(おしん)もそうですね。
3.脆弱(ぜいじゃく)は、「身体、組織、器物などが脆(もろ)く弱いこと」を言います。 “きじゃく”と誤読する方が多いようですが、「脆」に“き”、という読み方はありません。
4.貼付(ちょうふ)は、「貼り付けること」で、 医療現場では医療用テープや貼り薬について用いられることが多い言葉です。 慣用読みとして“てんぷ”も一応辞書には載っていますが、正しくは“ちょうふ”です。 少なくとも、貼付剤を“てんぷざい”と読んだら注意される可能性が高いので、気をつけてくださいね。
5.易感染性(いかんせんせい)とは、「通常よりも免疫能力が低く、感染しやすい性質」を言います。 “えきかんせんせい”と読む先生もいるので、混乱すると思いますが、 やさしい、たやすい、という意味では「易=い」(容易、簡易など)。 取りかえる、入れ替える、また、占い、という意味では「易=えき」(貿易、易者) という読み方になります。
◆番外編:業界読み?!◆
一般社会での常識的な読み方と、医学界で慣例的に用いられる読み方が異なる言葉もあります。
次の単語、皆さんはどう読むと思いますか?
1.口腔
2.肉芽腫
【解説】
1.「こうくう」ですよね? これ、実は「こうこう」と読むのが一般的には正しいんです。 きょうくう、ふくくうなども同様です。
2.一般常識的には「にくがしゅ」、ですが、 医学界では「にくげしゅ」です! 実習中などで、一般的に正しい読み方をしたら訂正されて、 なんとなく解せない気持ちになるかもしれませんが、 医学界ではこう読むのがスタンダードなので、覚えておいてくださいね。
◆おまけ◆
以上の他に、学生さんに聞いた、はじめは間違いやすい漢字を少しだけリストアップします。
参考にしてくださいね。
仰臥位(ぎょうがい)、滲出(しんしゅつ)、曝露(ばくろ)、集簇(しゅうぞく)、 癒合(ゆごう)、跛行(はこう)、特発性(とくはつせい)、遷延(せんえん)
第1回は、ここまで! いかがでしたか?
第2回では、「読めない漢字 専門編」として、 間違いやすい漢字の病名や症状などを、ご紹介する予定です。 どうぞお楽しみに!
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