国試

第114回医師国家試験【座談会】情報戦の時代?

 

【登場人物紹介】

 

けいご(K

陸上部の元主将。よく後輩にご飯を奢るので金欠になりがち。

勉強は堅実&コツコツ派。

 

タクヤ(T

デジタル学習の申し子。新しいもの好きでフットワーク軽め。

勉強はコスパ重視派。

 

マイ(M

バンド活動に青春を注ぐベース担当。

「なんとかなるっしょ!」が口癖。

 

さえちゃん(S

美容オタクのしっかり物。

美容も勉強も、気になったことはすぐ調べる。

 

Ryoji(R

国浪生。

113回国試では、知識は十分だったが深読みしすぎて必修落ち。

将来は海外で働きたい!

 

 

国試直後の本音

――みなさん、114回国試お疲れ様でした!

ずばり!難しかった?簡単だった?

K(けいご):んー、なんともいえない。問題ごとに難しさが両極端だった。

S(さえちゃん):簡単な問題は誰でも解けるし、難しい問題は全然太刀打ちできない感じ。

T(タクヤ):得点差はどこでつくんだろうって思いながら解いた。

R(Ryoji):あと、この疾患にはこの治療、っていう一般的な知識じゃなくて、この症例・この状況ではいま何が必要か、っていう実臨床に近い判断を求める問題が多かった。

M(マイ):わかる!

S:研修医になってからの救急外来を意識してるのかな?って思ったな。

M:そういう問題ってさ、解いてるときは自信ないんだよね〜。

K:そうそう。でも蓋を開けてみるとだいたい合ってる、みたいな。

T:だから試験中は「む、難しい…」って感じてたのに、試験後に予備校のコメントとか見ると、正答率高いから「易化」って言われてて、もやっとした(笑)

M:ほんとそれ!

 

 

 

より臨床的に、そして幅広く

――出題の傾向としてはどう感じた?

K:臨床実習重視と言われ続けてるけど、小児の採血スピッツの問題(114A3)からまさにそうだったね。

M:1ページ目から、きたか〜!って感じ。

T:自分は実習を真面目にやるタイプじゃなかったから、器具とか手技の写真が出てくるたびにゲッて思ってた。脳外科の使用器具(114D12)とかPICCカテーテル(114E7)とかね。

S:でも実習の環境によっては小児の採血スピッツ見たことない人もいるよね。たまたま見たことあるかどうかのラッキー問題って感じもした。

R:おれはアメリカの医療ドラマ見て脳外の器具学んでた(笑)

K:トピック的な内容もまあまあ出たね。メトトレキサート関連リンパ増殖性疾患(114D51)、免疫チェックポイント阻害薬(114F27)とかが印象的だったなぁ。

M:社会的なトピックも散りばめられてた!カフェイン中毒(114C63-65)とか、高齢者虐待(114F18)とか。エナジードリンクよく飲むから、こわい!

R:問題としてはそんなに難しくなかったけどね。

T:いや、けっこう難しかったと思うぞ…?

S:まあ、トピック問題に関しては、初出題で詳しく問われたというよりは、「来年以降の受験生、分かってるわね?」って、ジャブ打たれた感じよね。

K:がんばれ後輩たち…(泣)

R:これも例年の傾向通りだけど、老年も多かったね。ロコモティブシンドローム(114C17114F60-62)とかサルコペニア(114C39)とか。

M:ちゃんと出たな〜って感じ。

 

――トピック疾患の対策はどうしてた?

T:某予備校講師の某講座や某配信を信じた(笑)

K:『イヤーノート』の付録の『イヤーノートTOPICS』眺めてた!

 

編集注:『イヤーノートTOPICS』は、主要な内科・外科疾患の重要な動向をまとめた冊子です。

年表形式になっており、近年の変化の全体像を把握できます。

 

R:SNSで情報収集してたな〜

M:QBオンラインで「TO NEXT」が一覧で表示できるのを国試の2日前に気づいた。えらい便利なものがあるやんってショックだった(泣)

 

編集注:「TO NEXT」は、国試既出問題から分析された、

今後出題される可能性が高いと思われる内容を記した項目です。

https://qb.medilink-study.com/#/Predict

『クエスチョン・バンク』や『回数別』にも掲載されています。

 

S:INFORMAに出題基準の新ワードのまとめが載ってるの知ってる?

 

編集注:コチラの記事のことですね!

↓【第114回国試対策】医師国試の「出題基準」を確認しよう!

 

KTR:知ってる!

M:え、知らない…

T:トピック疾患は情報戦だね。

 

 

 

科目別分析

――メジャー科目、どうだった?

T:循環器の影が薄かったかも…

R:疾患偏ってたよね。不整脈と大動脈解離が多かった。

M:え?またこれ?なんか騙されてない?って不安になった(笑)

K:1日目に出た疾患が2日目にもう一回出てきたりもした!

S:逆に心筋梗塞と心不全がメインの問題がなかったね。

R:あんなにクリニカルシナリオ勉強したのに…(泣)

T:消化器も偏ってたなー。

M:Crohn病と潰瘍性大腸炎が出なくてびっくりした!

R:急性膵炎の重症度判定基準(114D14)の正答は3つあると今でも思っている。

S:重症度判定基準もそうだし、スコアリングを意識させる問題が目立ってた気がするなぁ。

 

編集注:感染症患者の状態評価:qSOFA(114C60-62)、

溶連菌感染症:Centorスコア(114D11)、

心房細動の治療:CHADS2スコア(114F37)などが出題されました。

 

T:スコアの項目や点数まで覚えるとなると…

K:がんばれ後輩たち…(泣)

R:おれは感染症と抗菌薬の組み合わせ(114D6)の問題が印象的だった。これって、選択肢一つ一つの組み合わせを知ってるかどうかというより、「第一世代セフェムは緑膿菌をカバーできない」っていう、抗菌薬のスペクトラムを知ってるかどうかっていう問題だと思った。研修医になってからのことを意識してるはず。

S:Ryojiくん、もう研修医としてやっていけそうね…勉強しなきゃ。

R:おれの大学、感染症内科の先生が超教育熱心だったんだよ!

 

 

より専門的な内容

――マイナー科目の手応えは?

M:難しく感じた!

S:まさか調節性内斜視用の眼鏡(114A27)が3種類でてくるとは思わなかった。眼鏡、としか覚えてなかった…

T:皮膚科も難しかった。初めて出た掌蹠多汗症(114A4)とか日光角化症の病理(114D62)とか。

R:去年難しかった耳鼻科は今年も難しかった。急性中耳炎の難治化(114A12)、先天性難聴の家族への対応(114A17)、Warthin腫瘍の診断(114D61)は割れたね〜

K:マイナーはシンプルな問題にしてほしいな…

 

今回は、差がついたとしたらここ!

――産婦・小児はやっぱり難しい?

R:産婦はほどよく差がつきそうな問題が多かった気がする。

 

編集注:後日編集部で調べたところ、その通りでした。

いわゆる「差がつく問題」(正答率75〜90%の問題)は、114回全体では約17%でしたが、

産婦人科だけで見ると約40%(13/32問)を占めていました。

 

S:いつも通りって感じだったね。

K:産婦小児はもともと「その場の状況」を読み取って正常か異常かを判断するような問題が多いからね。

M:問題数多いし、みんなも必死に勉強してくる。

T:苦手だけど、落とせないところなんだよな〜

 

 

 

焦らず、持っている知識と結び付けよう

――公衆衛生はどうだった?

T:例年通りだったような。おれはあんまり印象にない。

R:近年連続して出題されてる範囲なのに、知らない選択肢が混ざってるせいで惑わされたのがあったなぁ。

M:あったね〜。地域医療構想(114C1)は選択肢eの「地域医療構想会議」がなんのことかわからなくて、迷った。

S:全部の選択肢の意味は知らなくても、ゆっくり考えれば正解と分かるものがあるよね。

K:そうそう。本番は新しい単語見つけると緊張するけど、焦らないことだね!

 

――公衆衛生の対策はいつから始めた?

T:10月くらい。

M:1月くらい!!

R:それは攻めすぎだよ(笑)

S:模試で公衆衛生が出るから、それ解けないのが嫌で、「Q-Assist」のDr.盛永の講座を5月から見てた。

K:東医体が終わった9月からメジャー科目の隙間時間にちょこちょこ見て、11月の卒試の直前にバーっと見直した。

 

 

出題基準の確認が役に立った!

――必修はやっぱり緊張した?

K:1日目が簡単だったからだいぶ気楽に2日目に臨めた。

M:わかるわかる!

T:助かったよね〜

S:割れ問も少なかったね。

R:解きながら、これは平均正答率が90%超えるわ、って思った。

K:必修は絶対評価だから、簡単であればあるほど安心する。メンタルに優しい。

T:B問題、問題に出てくる患者さんがみんな発熱してて「またかよ!」ってツッコミながら解いてた。

S:実際、発熱の鑑別って難しいんだけどね〜。

R:久しぶりに医学史(114E18)も出たね。

M:でたでた〜!!見た瞬間諦めた。

T:おれ、全然自信なかったんだけど、日本人がわざわざマラリアの研究しなくね?と思ってそれを誤り選択肢に選んだ。

K:『QB必修』に医学史一覧があるんだよね。それ見ててよかった。

S:『QB必修』には予想問題もあるよ。そこに問題に載ってるに似てて、ほっとした。

M:存在は知ってたよ。知ってたけど後回しにしてて、対策が間に合わなかったんだよ(笑)

R:あのさ、必修の出題基準の中で「医学史」と「医学英語」は同じカテゴリの中にあって、今年はA問題で英語問題出たじゃん?必修で「医学史」か「医学英語」のどっちかが出るとした場合、2ブロック連続で英語は考えにくいから、B問題では医学史が出るに違いないって予想して、おれ、休み時間に医学史一覧見てたんだよね。どんぴしゃだった。

M:天才すぎん?

R:必修には人一倍敏感だからね…(泣)

S:話題になったのは銅欠乏(114E29※採点除外)ね。

K:あ〜あれは伝説の問題だね。正答率2%らしいよ。

T:銅かしてるぜ、まったく、ってね。

 

 

 

気をつけてはいたけれど

――禁忌、どの問題だと思う?

S:正直、明らかな禁忌っぽい問題は見つけられなかった。

M:うん。アレルギーに気をつけてたけど、絶対アカン!!!ってのは無かったかなー。

R:禁忌といえば妊婦にも注意してた。今回なら妊婦にレボフロキサシン(114A26)とか?

K:選ぶ人少なそうだけどね。

T:頸動脈洞マッサージ(114D40)は?

R:あれは、やっちゃいけないものを選ぶ問題だから禁忌問題にはならないよ。

T:あ、そっか。

K:みんな必修解けてる、禁忌も踏んでない、となると…

S:ボーダーはパンリンかなぁ?

 

編集注:パンリン=一般・臨床問題のこと。

↓「知っておきたい国試のキホン」

https://informa.medilink-study.com/regularpost/11669/

 

M:みんな解けてるならみんな合格にしてほしいよね〜

KTSR:ほんとそう!!

 

過ごし方は十人十色

――試験当日はどう過ごした?

M:当日は勉強が手につかなかったから何もしなかった。バンド繋がりで他の大学に仲いい人がいて、「肝臓は何個あるでしょう」「1個です」「正解!」ってくだらない問題出しながらリラックスして過ごした。むずかったね、疲れたね、とか普通の話しててよかったと思う。

S:当日は待ち時間が長いから、周りの会話が聞こえないようにイヤホンとかの対策をしたほうがいいね。

R:おれは最後まで確認したい派だったから、イヤホンで音楽を大音量で流して、各論前はマイナー、必修前はスコア系、総論前は公衆衛生、をそれぞれ詰め込んだ。これは模試のときからルーティン化してた。

T:会場にクッションを持っていったんだけど、前もって申請書が必要だった。申請書にクッションの写真とか診断書とかが必要になるからあらかじめ確認してね。

K:予備校の先生は採点するなと言ってたけど、自分は採点して楽になった。明らかにやばい人はしないほうがいいけど、そうでなければしたほうがいいかも。2日目の挑み方が違う。 

 

 

人それぞれのモチベーションの上げ方

――115回受験生へのメッセージを!

K:コツコツ派なのか、コスパ派なのか、自分の性格に合った勉強法を選ぶのが大事。

R:そして自分が選んだ勉強法を最後まで信じることだね。

S:私はごほうびで自分を釣ってたよ。ここまでやったら、あのリップを買うんだ…!って思うとがんばれた。

T:息抜きは大事だよね〜。おれは友達と美味しいもの食べて発散してたわ!

M:友達の存在、大きかった!情報も集まるし、モチベにもつながるし。

K:後輩も親も応援してくれた。ひとりじゃないんだなぁって…

S:ここで泣かないでよ…(笑)

 

 

KTMSR:研修医として一緒に働こう!!

 

――みなさん、ありがとうございました!

115回受験生のみなさん、がんばってくださいね。

 

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