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[読み物] 医学用語の正しい読み方,わかりますか?(第2回)

医療現場で登場する,間違いやすい漢字・外国語の正しい読み方を,
シリーズでお送りしている「医学用語の正しい読み方,わかりますか?」.

今回は【第2回:読めない漢字 専門編 初級】です.

◆第2回:読めない漢字 専門編 初級◆

では,教科書などでよく見る漢字から.
以下の単語の読みはわかりますか?

1.嵌頓
2.粟粒
3.羞明
4.痂皮
5.疣贅
6.呻吟
7.吸啜
8.肺動脈楔入圧
9.粥状硬化
10.砕石位

【解説】

1.かんとん
2.ぞくりゅう
3.しゅうめい
4.かひ
5.ゆうぜい
6.しんぎん
7.きゅうてつ
8.はいどうみゃくせつにゅうあつ
9.じゅくじょうこうか
10.さいせきい

どうでしょうか.全部読めましたか?

1.嵌頓(かんとん)とは,「腸管などの内臓器官が,組織の間隙から脱出し,もとに戻らなくなった状態」のことです.
嵌頓ヘルニアや,嵌頓痔核,嵌頓結石などがあります.

2.粟粒(ぞくりゅう)とは,そのまま「粟(あわ)の粒のこと.非常に小さいこと」です.
粟粒結核は多臓器に播種し,多数の結核結節(小結節)を形成します.

3.羞明(しゅうめい)とは,「通常では苦痛とならない程度の光を異常にまぶしく感じる状態」
のことです.
羞明をきたす疾患には,白内障や虹彩毛様体炎などがあります.

4.痂皮(かひ)とは,「血漿成分,膿,細胞成分などが表皮に固着した状態」のこと.
いわゆる「かさぶた」のことです.

5.疣贅(ゆうぜい)とは,「皮膚の表面にできる突起物」のこと.
いわゆる「いぼ」のことです.ちなみに,疣にも贅にも「あまりもの」という意味があります.

6.呻吟(しんぎん)とは,「A.苦しんで呻くこと,B.肺胞の虚脱を防ぐため,呼気時に声門を狭めて気道内圧を高めようとする呼吸のこと」の2つの意味があります.
医学的な意味はBで,主に新生児の呼吸障害,RDSにおいて生じます.

7.吸啜(きゅうてつ)とは,「強く吸うことで,赤ちゃんが乳頭に吸い付くこと」を指します.
重要な用語として,乳児の吸啜反射などがあります.

8.肺動脈楔入圧(はいどうみゃくせつにゅうあつ)は,
「バルーンカテーテルを右心房から肺動脈へ挿入し,肺動脈を塞いだときに,カテーテルの先端にかかる圧のこと」.左房圧を反映します.
「楔」は“けつ”とも読めますので,“けつにゅうあつ”と誤読する方が多いようです.
ただ,「楔状束」は「けつじょうそく」と読みます.

9.粥状硬化(じゅくじょうこうか)は,「動脈硬化の分類の1つ」です.
“かゆじょう”と誤読する人が多いようです.

10.砕石位(さいせきい)とは,「あぐらをかいたままで仰向けになり,両膝をできるだけ胸に近づける体位」のことです.
産婦人科の内診や泌尿器科の前立腺の診察の時の体位です.
炭鉱で石を砕くときの体勢に似ているところから,この名前がつけられたそうです.


いかがでしたか?

初級はここまで.
次回は,「読めない漢字 専門編 上級」をお送りします.

お楽しみに!

(編集部W)

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その1
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(その1)利根川 進

(その2)カルロ・ウルバニ

(その3)E.T.コッハー

(その4)エリザベス・キューブラー=ロス

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