レビューブック 産婦人科 2022-2023
[4~5年生向け]医師国家試験【体験記】実際にみるとわかりやすい!産婦人科対策
木々の緑も濃くなり,梅雨もちらつきはじめた今日この頃です.
医学生のみなさん,産婦人科の勉強は進んでいますか?
毎年30問以上国試に出題される産婦人科ですが,
いまいち勉強の仕方がわからない…… と悩んでいる人も多いはず.
今回はそんな方への記事となっています.
ズバリ,産婦人科は,
実習でイメージをつかむことがとても重要になります!
国試の必修問題では,器具の扱い方に関する問題も多く出題されます.
産婦人科の実習で,たくさんの器具を触った経験を,
そのまま国試に役立てることができるのです.
実習を有効に使っていくためにも,
しっかりと苦手分野を明確にした状態で実習に臨み,
実習中は,どんどん先生に質問できるようにしておきましょう.
ちなみに,先輩の中には
こんな失敗から実りのある学びを得た人も…….
吸引分娩は痛い
(獨協医科大学 K.Kさん)
国試の器具系の問題は,知っているかどうかで大きく点数が決まってきます.
参考書で学ぶことも,もちろん大切ですが,
実習の際にしっかりと器具を触っておくことがそれ以上に大切です.
たとえば,自分は実習で産婦人科を回った際に,
災害用の簡易吸引分娩の器具を実際に触らせてもらう機会がありました.
「期限切れで廃棄予定のものだったので,自由にしてよいからね」
と言い残し,先生はピッチに呼ばれ,部屋を後にしました.
原理としては,浴室用の壁掛け吸盤と似ているものでした.
ただ,それよりも少々頑丈で,ものものしい雰囲気を纏っていました.
そして,ふとこんな疑問がわきました.
「こんなものをくっつけて引っ張るだけで,本当に吸引分娩が可能なのか?」
「案ずるより産むが易し」という言葉もあります.
気づいたときには自分の右頬で試していました.
……結果,ものの見事に取れなくなりました.
自分1人の力では,吸盤はまったく動じませんでした.
正直,死ぬほど焦りました.
先生が戻ってくる前に外さなければ完全に恥です.見られるわけにはいかない.
そう思い,同期に経緯を説明し,力を貸してもらうことにしました.
同期も理解できないといった顔をしていましたが,
巻き添えで怒られたくない気持ちは同じで,快く了承してくれました.
力任せに2人で引っ張ることで,ようやく取ることができました.
しかし,右頬がアンパンマンのように真っ赤に腫れました.
ああ,もうこれは隠しきれないな.
人間は,覚悟が決まると冷静になります.
恥や外聞をよそに,
「なるほど…吸引分娩で帽状腱膜下血腫がおきてしまうのも納得だ」と理解し
1人で感慨にふけっていました.
実際に触ってみることで,その器具の形,使い方,弊害などが
参考書で眺めるよりも,ずっと鮮やかにイメージできるようになります.
みなさんは,ちょうどいい距離感で器具を実際にたくさん触ってもらい,
使い方やイメージが適切に学べることを祈っています.
こんな貴重な(?)経験,なかなかできることではありませんね.
ただ,このような経験も,
器具についてのある程度の事前知識があってこそ,
より記憶に残るものになる,ということは間違いありません.
実際に,過去の国試では
この知識に関係する問題が出題されたこともあります.
【113A18】
出生後12時間の新生児.在胎39週,出生体重3,820gで,児頭の吸引を3回施行した後に娩出された.Apgarスコアは6点(1分),9点(5分)であった.出生時に両側の側頭部から後頭部にかけて波動性の血腫を触知した.徐々に頭部の血腫が拡大するとともに,出生9時間後からチアノーゼを伴う無呼吸が繰り返し出現したため,NICUに搬送された.体温36.3℃.心拍数156/分,整.血圧50/30mmHg.呼吸数60/分.SpO2 90%(room air).前頭部から両側の上眼瞼にかけて皮膚が暗紫色を呈している.やや活気がなく,筋緊張は低下している.血液所見:赤血球257万,Hb 9.0g/dL,Ht 32%,白血球27,400,血小板15万,PT-INR 1.3(基準0.9〜1.1),APTT 46.6秒(基準対照37.1秒),血漿フィブリノゲン150mg/dL(基準200〜400mg/dL).血液生化学所見:総蛋白4.5g/dL,アルブミン2.8g/dL,AST 88U/L,ALT 26U/L,LD 874U/L(基準198〜404),尿素窒素12mg/dL,クレアチニン0.6mg/dL,血糖146mg/dL,Na 133mEq/L,K 5.2mEq/L,Cl 104mEq/L.頭部単純MRIのT1強調像を次に示す.患児に対する適切な治療はどれか.
a 抗菌薬の投与
b 病変部の穿刺
c 新鮮凍結血漿の投与
d キサンチン系薬の投与
e ブドウ糖・インスリン点滴静注
実習の経験は,事前の準備次第で
重要な国試対策になることがわかります.
実習に行く前には,
「Q-Assist産婦人科」で分野の全体を学び,
さらに『レビューブック産婦人科』で要点を見直し,
理解を深めてから臨むといいでしょう.
いっそう,実習を実りあるものにすることができます.
実習と合わせて学ぶことで,
ぜひ,産婦人科を得意分野にしてください.
みなさんの実習,そして国試を応援しています.