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[5~6年生向け]【国試失敗談】過去問演習だけの国試対策は危うい!文系脳・理系脳ごとの勉強法

(※臓器別の理解が足りず過去問を覚えるような勉強になっていたことを振り返った医師国試受験生の方の体験記において、一部誤解を生みやすい表記がございました。このため、書いてくださった方の意図を変えない範囲で記載内容を修正させていただきました。)

こんにちは.編集部です.

夏になり,マッチングも近づいてきた今日この頃.マッチングの筆記試験対策も兼ねて,「QBオンライン」などを用いた過去問演習に励まれている方も少なくないと思います.

ですが,過去問演習に追われるあまり,その答えを覚えることが目的となってしまっている方はいませんか?

この記事では,過去問演習に繰り返し取り組んだものの,「問題を覚えているから解ける」を脱却できず,惜しくも不合格になってしまった先輩の国試失敗談と,その後国試浪人生活を通して合格に至るまでの道程をご紹介します.


過去問演習よりも臓器別の基本的理解が大事だった

弘前大学 A.Tさん


●まるで早押しクイズのように過去問を解いていた現役時代

私は5年生の春から本格的に国家試験対策を始めました.実習に合わせて科目別の映像講義を受け,6年生になる頃までには1周目が見終わっていました.

6年生になってからは,2周目を見始めましたが,全ての科目別の映像講義を国家試験までに2周することはできませんでした.その代わりに私が何をやっていたかというと,過去問演習です.

私の大学は10月末~11月初めに卒業試験が行われ,国家試験の過去問がそのまま出題されます.したがって,9月頃からはとにかく過去問を解くことに時間をかけました.その結果,過去5年分の過去問に関しては問題文を数行読んだだけで答えの選択肢が分かってしまうようになりました.

その頃の自分は,本当の意味で問題を理解して解くことができているのか,はたまた単に問題をそのまま覚えてしまっているのかの判断がつかず,少し不安に思うこともありました.しかし,模擬試験を解くと偏差値は40程度であり,何とか合格するだろうと楽観視していました.

直前期は過去問演習に加え,周りの友達が受講しているからという理由で,解き方や問題演習を中心とした講義を一通り受講し,いよいよ国家試験に挑むこととなりました.

結果は一般臨床で数点足りず,不合格となりました.

惜しくも国試不合格……

●地図を覚え,覚えた地図をもとに目的地まで辿り着くことができるように

医師国家試験の勉強は,「地図を覚え,覚えた地図をもとに目的地まで辿り着くことができるようにする」というイメージに近いのではないかと思います.

国家試験の問題文には,いくつかの手がかりが含まれています.

例えば,若い男性,突然の胸痛と呼吸困難,呼吸音が片側で減弱しているなどです.これらの目印を自分の頭の中にある地図と照らし合わせて,目的地までのルートを探します.きちんとした地図を頭の中に作ることができていれば,今回の例では「気胸」という目的地まで辿り着くことができるのではないでしょうか.

目印(疾患のポイント)をもとに目的地(疾患)までのルートを探す

覚えた地図が不十分だと,目的地までの道を探すのは難しくなりますし,どんなに詳細な地図を覚えていても,その地図の使い方が下手くそであれば迷子になってしまいます.

私が現役時代に覚えた地図は科目別の映像講義で学んだ知識でしたが,2周することができず,十分に身につけられていませんでした.

さらに過去問5年分については,内容を理解せずに正答が分かるという誤った近道を作り出してしまい,まるで毎回きちんと自分の地図をもとに道を見つけ,目的地まで辿り着いていると錯覚してしまっていました.

●きちんとした地図を作ることに専念した浪人生活

浪人生活が始まり,私がまずしなければならないと考えたのはきちんとした地図を覚えることです.

しかし,私は大学受験の段階から暗記には苦手意識がありました.よって,新しい講義をたくさん受講して様々な知識を身に付けるのではなく,必要最小限の情報を繰り返し頭にたたきこむという方法が良いと考えました.

そこで,現役時代に受講していた科目別の映像講義を,何度も復習し完璧に覚えようと考えたのです.

実際,私の使っていた講義のテキストは,市販されている医学書などと比べるとかなり情報が限定されています.ですが,私は暗記が苦手な分,考えて正答を導くことは得意であると考えていました.したがって,少し簡略化された地図であったとしても,きちんと覚えることができれば目的地まで辿り着くことができると思ったのです.

講義を視聴し,それぞれの単元ごとの付属問題を解くという勉強を直前期まで繰り返し行いました.4月から試験本番までの約10ヶ月間で恐らく全ての科目を3~4周ずつは行ったと思います.

過去問に手を付けたのは年が明けてからです.

現役時代には過去問演習にたくさん時間をかけましたが,今回は5年分の過去問を1周し,間違えた問題のみ2周目を行い試験本番を迎えました.

結果は合格.ようやく子供の頃から目指してきた医師という目的地まで辿り着くことができました.

●あなたは文系脳?それとも理系脳?

医学部には2種類の人がいると思います.

暗記が得意で英語や社会が好きないわゆる文系脳の人.

あるいは私のように,暗記が苦手で数学や理科が好きないわゆる理系脳の人.

前者の方は,地図の使い方の勉強に重点を置くのが良いと思います.
具体的には,過去問や予想問題の演習,解き方のテクニックを教えてくれる講義の受講などです.

一方,私のような後者の方は,地図を覚えることに重点を置いた方が良いと思います.
暗記が苦手ですと限られた時間で覚えられる量も決まっていますので,自分に合った覚えるべき地図を選ぶことも重要です.
そして,問題演習が楽しいからといってそればかりになり,地道に覚えることから逃げてはいけません.

あなたはどちらのタイプでしたか?

国家試験に合格するためには周りと同じ勉強をするべきだと言われます.確かに,合格する人が覚えている知識量は恐らく人によってそこまで差が無く,一定のラインを越えることができれば合格をつかみ取れると思います.しかしそのラインに到達するための勉強法は,より自分に合った方法を選ぶことが大切です.

自分に合った勉強法で,皆さんが無事に目的地に辿り着くことができるのを心より祈っています.


ひたすら過去問を解くことに追われてしまっている方は,先輩の体験談とアドバイスをもとに,映像授業などによる基礎の吸収に立ち返ってみてもいいかもしれませんね.

それでは,皆さんがマッチングも国試も上手くいくことを願っています!

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