イヤーノート2027 内科・外科編
こんにちは.編集部Hです.
本日は,先日行われた120回医師国家試験で見事合格した先輩の体験記をお届けします.
ぜひ参考にしてみてください!
昭和医科大学 Iさん(第120回医師国試合格)
「安くない買い物だったのに,ほとんど開いてない.」
「QBとセットでmediLinkアプリ版がついてきたけど,正直使いこなせていない」
医学部生なら,イヤーノートに対して一度はそう感じたことがあるのではないでしょうか.あの分厚さとびっしり詰まった文字は,開くだけで圧倒されてしまいますよね……
しかし,国試を終えた今なら言えます.使いこなせないのは努力不足のせいではなく,単に「使うタイミング」を間違えているだけです.この記事では,私自身の失敗談を交えつつ,学年に応じたイヤーノートの最適な活用法を具体的に解説します.
【この記事の結論:イヤーノートの学年別役割】
低学年: わからない用語を調べる「辞書」
CBT期〜国試対策: 問題演習とリンクさせる「メイン教材」
直前期: 知識を引き出すための「想起ツール」
なぜこの使い方が最適なのか,私の失敗談とともに順を追って説明します.
低学年のとき:私は「辞書を通読しようとしていた」
2年生の後期,「今のうちから先取りしておけば周りに差がつけられる」と意気込み,私はイヤーノートを1ページ目から読み始めました.
しかし,現実は甘くありませんでした.当時,知識がほとんど無かった私には,ひたすら専門用語が並んでいるように見えてしまい,病態の流れも全く想像できないまま,わずか3日で挫折してしまったのです.
この経験から得た教訓は,「イヤーノートは初学者が読む本ではない」ということです.英単語を一つも知らないのに,分厚い英和辞典を頭から読もうとしているようなものなので,理解できなくて当然でした.低学年のうちに優先すべきは,知識の詰め込みではなく「全体像のイメージ」です.
まずは病気がみえるなどの図解が豊富な教材を使って病態のプロセスを視覚的に捉え,講義系の教材で試験の頻出ポイントを整理する.このステップを踏んで「体内で何が起きているのか」を理解することが最優先です.
したがって,この時期のイヤーノートはメイン教材としてではなく,分からない用語を調べる辞書として傍らに置いておくくらいで十分なのです.
CBT期:ここで初めて主役になる
4年生前後にもなると,疾患名を聞けば「大体こんな病気だ」とざっくり説明できるようになってきます.イヤーノートが本当の価値を発揮するのは,まさにこの段階からです.
人によっては,6年生の国試対策でようやくこの段階に達する人もいるかもしれません.
イヤーノートの最大の魅力は,圧倒的な情報量ではなく,むしろ「情報の削ぎ落とされ方」にあります.
試験に出る重要事項だけが抽出され,出題実績に応じて色分けされているため,「絶対覚えるべき箇所」と「軽く流していい箇所」がひと目で判別できます.
つまり,限られた時間の中で,得点に直結する効率的な学習ができるよう設計されているのです.
▼編集部より:イヤーノート「潰瘍性大腸炎」の項目
国試に出たところが青字,特に重要な直近三回で出題されたところは青下線つきです.

私自身が最も手応えを感じたのは,問題演習との並行運用です.「問題を解く → 解説を読む → イヤーノートの該当ページを確認する」というサイクルを徹底するだけで,演習した問題と周辺知識が頭の中で強力にリンクします.
これを繰り返すと,次に同じテーマが出題された際,イヤーノートのページのレイアウトごと脳内に浮かぶようになります.また,QB(クエスチョン・バンク)を使っている場合,問題画面のリンクからイヤーノートの該当ページへ飛ぶ機能を活用するだけでも絶大な効果があります.
最初から通読しようとせず,「問題演習で出会った知識の周辺だけを拾い読みする」というスタンスでいれば,必要な情報だけが効率的に蓄積されていきます.
私自身もこのアプローチに切り替えてから,イヤーノートが単に読む本から解いた問題の復習ノートへと進化し,知識の定着が劇的にスムーズになりました.
▼編集部より:QBからワンタップでイヤーノートの関連ページにに飛ぶことができます.

国試直前期:役割は「暗記本」ではなく「想起ツール」
国試の直前期に陥りがちな罠が,「新しい知識を無理に増やそうとしてしまうこと」です.しかし,この時期に本当に必要なのは,知識の追加ではありません.すでに頭の中にある膨大な知識を,「試験本番で素早く引き出せるようにする」ためのトレーニングです.
つまり,ゼロから覚える作業から,「思い出す」練習へとシフトするのです.
ここで有用なのが,「イヤーノート ↔ 図解教材の往復法」です.まずはイヤーノートで疾患の重要な所見を確認し,「この疾患ではどの所見が重要だったか」を思い出す.
そのうえで,「なぜその所見が現れるのか」を『病気がみえる』などの図解教材に戻って機序から理解する.機序まで理解しておくことで,試験本番で同じ疾患でも異なる角度から問われた場合に応用が効くようになるのです.
疾患に限らず,検査や治療の理解においても同様のことが言えます.例えばECMOの使い分けです.VV ECMOとVA ECMOは,作用や適応,合併症などを丸暗記しようとすると混乱しやすいと感じました.
しかし,イヤーノートでポイントを確認した後,図解を用いてどの血管から脱血し,どこへ送血するのかという回路を理解することで,VV ECMOは主に呼吸補助を目的とし,VA ECMOは循環補助も担う,といった違いを整理して理解することができます.
私自身,この学習法に切り替えてから,直前期の模試の成績が飛躍的に伸びました.
結論:イヤーノートは「成長に合わせて進化する本」
イヤーノートは,持っているだけで点数が上がるような魔法の万能教材ではありません.しかし,冒頭でもお伝えした通り,自分の学習段階に合わせて役割を柔軟に変えていけば,間違いなく最強の武器へと化けます.
もし今,「せっかく買ったのに全然使いこなせていない」と悩んでいるなら,それはあなたの能力不足のせいではなく,ただ「タイミング」がズレているだけです.
無理をして本に自分を合わせる必要はありません.自分の現在のレベルに合わせて,本の役割を変えればいいのです.
かつての私と同じように,あの分厚さに圧倒されてそっと本を閉じてしまった方へ. その判断は,決して間違っていません. 今はまだ,イヤーノートの「本当の出番」が来ていないだけなのです.
そして学年が上がり,「バラバラの知識を繋げたい」「試験に向けて要点を絞りたい」と感じる日が来たら,もう一度あの分厚い表紙を開いてみてください.