第118回医師国家試験問題解説
[5~6年生向け]医師国家試験 合格者・不合格者の特徴とは?
マッチングで忙しい夏も終わり,秋に差し掛かった今日この頃.6年生の皆様におかれましては,いよいよ国試に向けた勉強を本格的に意識し始めることかと思います.
9割の受験生が合格すると言われている医師国家試験.だからこそ,「もし自分が残りの1割に入ってしまったら……」と不安がよぎることもあるのではないでしょうか?
この記事では,読者の皆様が確度の高い試験勉強に取り組み,国試に合格する上での参考としていただくため,国試に合格した先輩,あるいは不合格となってしまった先輩の特徴や,不合格となってしまった先輩がどのような点で失敗してしまったのかをご紹介させていただきます.
データで見る合格者と不合格者
まずは,国試に合格した先輩や不合格となってしまった先輩について,演習状況のデータを見てみましょう.
講師速報に登録してくださった118回医師国家試験の受験生を,
「全国上位20%の成績で合格した方(n=1,748)」
「中間の成績で合格した方(n=5,254)」
「全国下位20%の成績で合格した方(n=1,495)」
「不合格となってしまった方(n=350)」
の4群に分けて,追い込み時期である1月のQBの平均演習状況を見ていくと,下表のようになりました.
受験生の属性(118回医師国家試験) | 1日あたりのQB平均演習数(2024年1月) |
全国上位20%の合格者 | 106.5問 |
全国中間の合格者 | 104.9問 |
全国下位20%の合格者 | 93.6問 |
不合格者 | 74.4問 |
また,上の表と同様に118回医師国家試験の受験者を区分けし,1月の1日あたりの演習スケジュールを比較すると,下のグラフのようになります.
上の表を元に,合格者と不合格者を比較していくと,
●不合格者は,全体的に合格者と比較して演習数が少ない.
●合格者と不合格者で深夜帯の演習量に大差はないが,合格者,特に中間層以上の合格者は日中帯にきちんと演習量をこなせている.
●成績上位者は朝型が多い.
といった傾向が見て取れます.
このことから,安定して合格しようと思った場合には,演習量の目標を定めて,1日のスケジュールをきちんと決めた上で,午前中から計画的に演習をこなしていくことが大切だと見て取れますね.
不合格となった先輩方が振り返る反省点
次に,惜しくも国試に不合格となってしまった先輩方が,どのような要因で自身が不合格になってしまったと分析しているのか,先輩方の生の声を体験記で見ていきましょう.
●勉強を開始したのが遅く,時間が足りなかった
定期テストもCBTも短期間でなんとかしてきたので,同じように国試にも2ヶ月という短期間で挑んでしまいました.
結果として,過去問をひたすら覚えることしかできず,最終到達地点が「見たことあるから解ける」という状態となってしまい,国試の結果はボロボロでした.
「短期集中で国試を乗り越えられる」などと思わず,真面目にコツコツ勉強を進めていくべきでした.
卒試対策に追われすぎて,自分が周りと比べて国試の問題演習が全然進んでいないことに気がつき,そこから焦りだしました.
焦って訳がわからないまま模試の見直しや問題演習を繰り返す日々が続き,知識が定着せずに本番を迎えてしまいました.
「まとめた内容を最後に見直す時間があれば……」と後悔しています.
直前に焦って問題をひたすら解くだけでは,「解いただけ」で終わってしまい,知識が定着しなかった,と反省している先輩が多いようです.
国試では,計画的に勉強を進めて,着実に知識を定着させていく勉強法が求められそうですね.
●勉強法が迷走し,基礎を固められなかった
私はいろいろな人の勉強法が気になってしまい,勉強方法の軸がブレブレでした.
また,直前に焦って必修対策に走り,一般・臨床をないがしろにしてしまいました.
その結果,すべて中途半端な知識のまま本番を迎え,直前期になおざりにしていた一般・臨床問題で良い得点が取れずに不合格となってしまったのです.
夏ごろまでに深く理解する勉強を,そして秋からは実践を見据えた問題演習,直前講座などに集中を,といったようにきちんと計画的に勉強を進めていくことが大切だと実感しています.
周りの友達に勉強の後れを取っているにも関わらず,友達が公衆衛生対策を始めたときには昼夜公衆衛生漬けとなり,周りが必修落ちを懸念していれば必修問題の演習に明け暮れるなど,誤った方向性の勉強に走ってしまいがちでした.
今やるべきことは何かということを意識し,もし勉強が遅れているとすれば,周り以上に頑張らなくてはいけなかったのだと反省しています.
自分の学力状況や勉強の進捗に合わせて,全体を俯瞰したバランスのよい勉強をブレずに進めていく必要があるようですね.
●映像授業を見ただけになってしまっていた
私は映像講座の視聴やそれによるノートの付け足しに多くの時間を費やしてしまいました.
問題演習をしながら映像講座の復習を行う,ということができていなかったため、記憶にしっかりと残らず,知識が中途半端になっていたことで本番では普段考えもしない解答を選んでいました.
秋以降の焦った時期に映像講座を優先してしまったのですが,今考えるとこのとき過去問をしっかりやっていくべきだったと後悔しています.
映像授業をただ見るだけで満足するのではなく,きちんと過去問演習を通じて実践的に知識を定着させていくことが大切なようです.
●過去問そのものを単に覚えただけだった
とにかく過去問を解くことに時間をかけ,過去5年分の過去問に関しては問題文を数行読んだだけで答えの選択肢が分かってしまうようになりました.
その結果,内容を理解せずに正答が分かるという状態を解けていると錯覚してしまい,本番で数点足りずに不合格となりました.
問題演習が楽しいからといってそればかりになり,地道に覚えることから逃げてはいけなかったのだと反省しています.
過去問を単に”覚える”のではなく,映像授業などによる地道な暗記と理解に基づいて”解ける”状態を作りだす必要があるようですね.
●必修対策が十分にできていなかった
私は模試で必修8割を得点したことがなかったにもかかわらず,必修対策として勉強を始めたのは6年生の12月の頭からでした.
最終的にはQBに掲載された問題を1周解き終わらせることくらいしか対策できず,必修単独落ちとなってしまいました.
必修は油断せずしっかり対策すれば8割取れる分野です.
本番でも必修が一番緊張して周りが見えなくなりますが,十分に対策していけば自然と周りが選びそうな選択肢がわかってくるものだと,浪人後の必修対策を通じて思いました.
各論や一般・臨床の勉強をしていれば,必修の勉強にもなると思い,必修対策は,特にしていませんでした.
それでも,過去問や模試の必修分野では,8割を切ることはありませんでしたが,本番では「絶対に8割以上正解しないといけない」という緊張感や,問題文や選択肢を必要以上に吟味してしまったことで,普段であれば絶対に選ばない選択肢を選んでしまっていました.
国試の緊張感の中で,必修問題を平常心で解いていくためには,普段の勉強に加えて,多くの過去問に触れて必修問題に慣れておくことが一番大切です.
必修も油断せずにきちんと対策しなくては,本番の緊張感の中では足元を掬われかねないのだとよく分かりますね.
以上の先輩方の失敗談をまとめると,
●早めに勉強を開始して計画的に国試対策へと取り組み,
●映像授業による理解も,「QBオンライン」などを通じた過去問演習もバランスよくこなし,
●巷の「◯◯がヤバい!」に惑わされず,ブレない計画的な勉強を遂行しぬく
ことが大切なのだということが伺えます.
また,必修についても,ナメてかからずきちんと対策すべきでしょう.
メディックメディアでは,皆さんが国試に必要な知識の理解・定着から,演習を通じた「解ける」の達成までを一貫してサポートできるよう,映像授業の「Q-Assist」ならびに過去問集の「QBオンライン」を提供しています.
また,以下の記事では,どのように勉強を進めていくとよいのか,「6年生以前から勉強を始めるコツコツ型」と「6年生夏から短期集中するかけこみ型」に分けて具体的なスケジュールをお示ししています!
ぜひとも上記の記事の学習スケジュールを参考にして,「まだ国試対策に着手できていない…」という方は今すぐ計画的な勉強を開始してください!
皆様が無事に国試に合格されることを,心より願っています!