CBT(医学部)基本情報~合格基準・出題範囲・出題形式は?
共用試験の位置づけ
臨床実習では,医師免許を持たない医学生が患者さんの診療を行うことになるため,
医学部は医学生の能力を担保し,患者さんの了承を得ることが求められてきました.
この「医学生の質」を測るために,臨床実習開始前に行われる全国統一の試験が共用試験です.
共用試験は,知識を評価するCBTと,技能・態度を評価するOSCEの2種類の試験からなります.
2021年の医師法改正により共用試験は公的に位置づけられ,
2023年からは共用試験に合格できないと臨床実習に参加することができなくなりました.
CBTとは
CBTはComputer-Based Testingの略で,コンピューター上に出題される問題に解答する試験です.
30,000問以上といわれる問題のプールからランダムに選ばれた問題を解くので,
他の受験生とは解く問題が異なります.
臨床実習開始直前である4年生の8~2月に行われる大学がほとんどですが,3年生に行われる大学も一部あります.
合格基準
2022年度までは,最低合格基準としてIRT標準スコアで359(おおむね65%の得点率)が定められており,
これをもとに各大学が独自の合格基準を設定していましたが,
共用試験の公的化に伴い,2023年度にIRT標準スコアで396が全国統一の合格基準として定められました.
※ IRTとは?
CBTは受験生ごとに解く問題が異なるため,
問題の難易度を考慮したIRT(項目反応理論)を用いて評価されます.
IRTは複雑な理論であるためここでは説明を省きますが,調査時の基準値(IRT標準スコア359相当)を下回った学生の国試失敗経験率は23.6%というデータがあります(基準値以上の国試失敗経験率は3.8%).
CBTで基礎をしっかり固めてから,臨床や国試に臨むのがよいでしょう.
(参考)中谷晴昭:日本の医学教育の現状と医師国家試験.医学教育 2015:46(1)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/mededjapan/46/1/46_14/_pdf/-char/ja
出題範囲
文部科学省が定めた「医学教育モデル・コア・カリキュラム」には,医学生が卒業までに身につけておくべき学修目標が示されています.
この学修目標のうち,臨床実習開始前までに修得すべきレベルがCBTの出題範囲ということになります.
基礎医学から臨床医学,社会医学まで幅広く問われますが,疾患の知識に関する出題が約半分を占めています.
時間割と問題数
試験問題は6ブロックに分かれて出題され,合計320問を解くことになります.
問題を解く時間だけで6時間(1時間×6ブロック)もあるため,目も頭もたいへん疲れます.
特に後半はケアレスミスに注意しましょう.
240問のプール問題に正答しよう
320問のうち240問が「プール問題」(前年度までの過去問のうち,正答率などにより良問と判定された問題)からの出題であり,これらが採点対象となります.
残りの80問は「新作問題」(次年度以降のプール問題候補)であり,これらは採点対象にはなりません.
どの問題がプール問題なのかは明示されませんが,悪問・奇問は原則プール問題とならないので,
良問をきちんと解ければよい,と考えましょう!
CBTの成績は体感よりも1割高い?
過去の受験生に感想を聞くと,
「6割くらいしか分からなかったが,得点率は70%だった」というふうに,
体感よりも1割くらい成績が良かった,という人が多いです.
これは「分からなかった問題が採点対象外(新作問題)だった」という理由が考えられます.
本番で分からない問題が出ても焦らず,分かる問題で確実に得点することが大切です.
出題形式:単純5肢択一
ブロック1~4,計240問の出題は5つの選択肢から1つの答えを選ぶ「単純5肢択一」形式です.
単純な知識問題だけでなく,解釈や思考が必要な問題や,基礎医学・臨床医学双方の知識が求められる問題も出題されます.
同ブロック内であれば解き終わった問題を見直し,解答を変更することが可能です.
出題形式:多選択肢型
ブロック5,40問の出題は6つ以上の選択肢から1つの答えを選ぶ「多選択肢型」形式です.
基礎医学からの出題もありますが,診断を選ぶ臨床形式の問題が多くを占めます.
「単純5肢択一」形式と同様に,解き終わった問題を見直し,解答を変更することが可能です.
出題形式:順次解答型4連問
ブロック6,40問の出題は一つの症例について4問が連続で出題される「順次解答型4連問」形式です(10症例それぞれ4問=計40問).
臨床推論能力をみる問題形式であり,医療面接・身体診察・検査・病態などの幅広い理解が求められます.
解答して次の問題に進むと,前問の正答に基づく問題文の続きが追加されるため,前の問題に戻ることはできません.
過去の受験生からは「情報量の少ない1問目が特に難しい」という声が多いです.
もし1問目で間違えてしまっても気持ちをしっかりと切り替え,落ち着いて2問目以降に対処しましょう.
CBT対策は「クエスチョン・バンク医学共用試験CBT」で
「クエスチョン・バンク医学共用試験CBT」は,
オンラインでCBT対策の問題演習と解説閲覧が行えるサービスで,約3,000問の問題を収録しています.
ポイントをついた解説で,『病気がみえる』や『レビューブック』の図表を多数掲載しています.
さらに,問題順をシャッフルしたり,間違えた問題に絞って復習したりできるなど,
オンラインならではの機能が充実しているので,効率的なCBT対策が可能です.
医学生は忙しい!国試につながるCBT対策を
CBT以降の医学生はとても忙しいです.
【4年生】CBT,OSCE→【5年生】臨床実習→【6年生】マッチング試験,卒試,国試…,
と,ビッグイベントが目白押しです.
「クエスチョン・バンク医学共用試験CBT」は
国試まで繰り返し問われ続ける「疾患各論とその理解に必須となる総論知識=病気の知識」 が
しっかり身につくような内容となっています.
CBT対策のときから,国試をはじめとするCBT後のイベントにもつながっていくような勉強をしていきましょう.