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【いいんちょーの僕です。】第15回 「きく」ということについて

こんにちは!
今月から無事に6年生となりました,大山です.ついに最高学年になってしまいましたが,振り返ると入学してからあっというま…という感じで何も実感が湧きません(汗).

いよいよマッチングや国試,PCC OSCEに向けて,対策も本格的に考え始めていく時期ですね…はりきっていきましょう!

AYA weekを終えて

前回コラムまで,3ヶ月にわたって掲載させてもらった“AYAがん”経験者の方へのインタビュー.
ご覧頂けたでしょうか?

各インタビュー記事の最後にも案内をさせてもらっていましたが,大学の有志メンバーとして集った僕らは,全国の医療系学生に向けた意識調査と特別講義を実施しました.

これらの企画が立ち上がったのは昨年9月.はじめは自分を含む全員が「AYAについて何かすこしでも学べたらいいな」というカジュアルな気持ちで動き始めたのですが,あれよというまに複数の大人の方たち(厚生労働省や広告代理店など)が関わることになり,予想を超えてしっかりとしたイベントになりました.特別講義当日はNHKの取材も入り,その様子が全国に向けて報道されました(報道内容はこちら).

AYA week NHK放送時画像

意識調査は1,200名,特別講義では120名を超える全国の医療系学生の皆さんに協力・参加をしてもらいました.おそらく,こちらのコラムを通じて知ってもらえたという方もいるんじゃないでしょうか?この場を借りて,あらためて感謝を伝えたいです.ありがとうございました.

…と,およそ半年を費やした一連のAYA企画はそのひとつひとつが大切な経験となりましたが,中でも特別な出来事だったのは,本コラムへの掲載に向けて3名の方にインタビューをさせてもらえたことです.今日はその話をさせてもらえたらと思います.

「きく」ことについての遍歴

僕は昔から,「きく」という行為にとても親しみを感じています.親しみというより,正確には“「きく」という行為にずっと助けられてきた”,そんな感覚が近いかもしれません.

僕は自分のことを話すのが苦手です.話すという行為それ自体は人並みにできると思いますが,こと“自分について何かを語る”ということになると,からっきしダメになってしまうのです.

そんな自分の話をすることが難しい僕にとって,周りとコミュニケーションをとるためには「聞き役」に回ることがどうしても必要でした.相手が楽しそうに話している様子を確認しつつ,このままの状態が続くようにと次の質問を懸命に考える—そんな経験をよくしていました.

そして僕が一度目の大学を出て最初にした仕事は,人事部での新卒採用でした.採用の仕事の多くは,学生の話を「きく」ことにあります.一年を通じて多くの学生の進路相談に乗り,採用期間になると面接に次ぐ面接…という風に,とにかくたくさんの話をきいていきました.

限られた時間で相手からどのような話をきけるかは,きき手によって雲泥の差がつきます.「あの事をもっと深く聞けたらよかったかな」「話したいことをきいてあげられただろうか」と,目まぐるしいスケジュールの中で自身の未熟さを痛感することばかりでした.

それでも時々ではありますが,「きけているかもしれない」という感覚が湧いてくる瞬間がありました.少しずつ経験を積んでいくと,こうしたコミュニケーションは“聞き手と話し手の共同作業”であるという感覚が身についてきます.自分が「きけている」と感じた時,相手の顔には「話せているよ」という表情が広がっていたり,声のトーンからも互いに伝わるものがあったり.“いい時間を共有している”ということを肌で感じ合うという,まるで音楽のセッションのような感覚.こういった体験を経ながら,僕は「きく」という行為に段々と惹かれていきました.

インタビュアーという夢

そして「きく」ことへの理解をもっと深めたいと思い,コミュニケーションに関連する本を読んだり,ワークショップに参加したりするようになった自分に,やがてひとつの夢ができました.

それが,“インタビューをしてみたい”という夢です.

僕はもともとインタビュー記事というものが大好きで,気になる人を見つけるとすぐ,その人のインタビュー記事がないかを検索します.本人から出てきた言葉をそのまま目にすることができて,その人となりをよく知ることができるのは,インタビューという手段ならではの魅力です.

…そして,彼らの言葉を引き出している“インタビュアー”という存在について,彼らこそ「きく」ことのプロフェッショナルだと感じていました.

“僕自身もインタビュアーとして,話し手の内面から言葉を引き出してみたい.プレッシャーはかかるだろうけど,インタビューというフォーマットならではのおもしろさや大変さがどのようなものか,いつか自分も感じてみたい.”

と,そんなことを思うようになりました.医学部に入学する,さらにずっと前の出来事です.

そうして据え置いていた願いをようやく叶えられる機会となったのが,阿南さん,岸田さん,そして松井先生にお願いしたインタビューだったのでした.

3本の記事を公開し終えた時,ありがたいことに一定の反響をもらうことができ,とても大きな充足感があったことを覚えています.至らない点もあったけれど,本当に今回このトライをしてよかったと思っていますし,これをきっかけにインタビューの機会をもっと得ていけたらと思うことができました.

医療における「きく」こととは

さて,今回のインタビューを終えて,僕は「きく」という行為についてもっと理解を深めていけるよう,あらためて日常のやりとりから「きく」ことを意識して過ごそうと考えるようになりました.たとえば,”相手は話したいことをすべて話せているだろうか”,”相手が伝えたかったことを理解しているだろうか”といった視点を,日々のやりとりでも意識的に持つことを心がけています.

この姿勢を持つことはインタビュアーとしてのレベルアップにも役立つと考えていますが,それと別に将来,医療従事者として提供する医療の質を高めることにつながるのではないか,また患者さんと信頼関係を築くことに役立つのではないか,という考えがあります.

あくまで個人的な感想ですが,これまでの臨床実習を振り返ってみると,“医療行為というプロセスにおいて,その多くの出発点であり中心にあり続けるのは,やはり患者さんの声を「きく」という行為ではないか”ということを感じています.

実際,“患者さんから詳しく情報をきくことによって9割近くの診断がつく”という報告もあるようですし,また患者さんに耳を傾けることなく,患者さんが望む医療を提供することは難しいはずです.“自分たちの「きく」という行為は,患者さんの言葉を充分に受け止められているだろうか?”…もし,このことに意識的でいることができたら,それだけで医療全体の質に大きな影響があるのではないかと思いました.

僕のインタビューの先生の言葉

  僕のインタビューの先生の言葉

「きく」という行為が医療を行う上で欠かせないものであるなら,インタビュアーの方々がそうであるように,僕も医療従事者として「きく」ことのプロフェッショナルであれたらと思います.

よかったら,皆さんも「きく」という行為についてあらためて向き合ってみませんか.

最後までお読み頂きありがとうございました.
今回は,このあたりで!

※諸事情により,今年度のコラム更新は不定期とさせて頂きます.申し訳ありませんが,ご理解頂けますようよろしくお願いします.


■筆者プロフィール
大山一慶:関東にある大学の医学部6年生.慶應義塾大学法学部卒業.株式会社リクルートへ入社後,脱サラしバンドマンに.その後いくつかのキャリアを経て,現在の大学へ入学.第252回日本循環器学会関東甲信越支部Student Award最優秀賞.心電図検定3級.ディープラーニングG検定2020#1.ご連絡はmailもしくはtwitterまでどうぞ.


–いいんちょーの僕です。目次–

第15回 「きく」ということについて

第14回 “AYAがん”を経験するということ vol.3

第13回 “AYAがん”を経験するということ vol.2

第12回 “AYAがん”を経験するということ vol.1

第11回 “Post-CC OSCE”という,事件.[後編]

第10回 “Post-CC OSCE”という,事件.[前編]

第9回 あったらいいな!QBオンラインの新機能♪

第8回 “他人(ひと)の不幸でメシを食う”

第7回 病院見学の帰路にて

第6回 朱に交わらず,いられるか?

第5回 実習再開のいま,大切にしたいこと

第4回 すぐに役立つQB実践術!

第3回 過去問を制する者は,国試を制す.

第2回 国試の準備,どうやって進める?

第1回 国試の準備,いつから始める?

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