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【平成30年版医師国家試験出題基準】第2回:何が変わったのか~問題数100問減の影響は?~

編集Aです.6月30日に発表された,
医師国家試験の新しい出題基準(ガイドライン)についてお伝えしています.
[第1回の記事はこちら

 

今回公表された出題基準は,次々回の国試
今の5年生が受験する「112回」(2018年2月実施予定))から適用されます.
今日は,その改訂ポイントの概要をお話ししていきます.

 

 

 

◆まずおさえておきたいのは「一般問題が100題減る」こと!◆

 

すでに学務課等からアナウンスされている大学もあるようですが,
まずおさえておきたいのは,「112回」の国試から
出題数が400問になる(※今は500問)ということです.
減らされる100問は,“一般問題”とされています.

 

これは,

★昨今の国家試験での出題数や範囲が膨大で,かつCBTで出題される内容とも被っている
★単なる知識を問う問題はCBTに任せ,国試では臨床実習を踏まえた応用的な問題に特化するべき

という考えにもとづき,実行されることになった改革です.
「モデル・コア・カリキュラム」の改訂とあわせて,現在最終調整が進められていると思われます.

 

この問題数変更のタイミングに合わせて
国試出題基準も改訂された,というわけです.

 

 

 

◆気になるのは「ブループリント」~出題範囲は変わるのか?その対策は?~◆

 

そうなると,気になるのは
「どういう種類の一般問題が減らされるのか」ということですよね.

 

出題基準には,各分野の出題割合を示した
「ブループリント」とよばれるものが掲載されています.
平成25年版はこちら  平成30年版はこちら

 

このブループリントは,「一般問題」「臨床問題」という区分けではなく
「必修」「総論」「各論」という切り口で作られています.

 

そのため,それぞれの問題数が明確に公表されていない今,
はっきりとしたことはわからないのですが,
示されているブループリント上の数字,
そしてこれまでの出題傾向,コアカリ改訂の動向などから総合的に判断すると,
確定とは言えないものの,下記のようなことが言えます

 

【1】一般問題が100問減らされるが,出題分野に大きな変化はない

 

ブループリントで示されている「項目」自体に
大きな構成変更はありませんでした

 

いわゆる解剖の基礎知識にあたると考えられる,医学総論III「人体の正常構造と機能」は
出題数は数問ほど減りそうですが,
まったく出題されないというわけではないようです.

 

出題割合の増減はあっても,出題範囲自体には大きな変更がないため,
112回を受験する5年生の皆さんも,これまでと同様の範囲について
過去問対策を行う必要がありそうです.

 

 

 

【2】総論(解剖,生理,検査,治療)+各論,まんべんなく100問減らされる?

 

減らされる一般問題の内訳ですが,
ブループリントの数字上,公衆衛生以外の分野から
まんべんなく問題数が減らされています(※メディックメディア調べ).
解剖だけでなく,検査や治療,そして各論的な知識(病態,症状,診断,治療など)から
少しずつ出題数が減らされそうです.

 

特に基礎的な知識はCBTで問われやすいため,
「CBTで基礎分野をしっかりやるのだから,医師国試は臨床実習の成果を問うものに絞る」
ということが予想されます.

 

すでにここ最近の一般問題では,
基礎的知識を臨床に則して問うような問題
(例えば単に解剖の知識を聞くのではなく,手術の術式などにあわせた問題)が
増えている印象です.

 

—【例:110D11】—
肝左葉切除で肝切離面に露出する静脈はどれか.
a 右肝静脈
b 中肝静脈
c 左肝静脈
d 下大静脈
e 短肝静脈

 

[解説]肝臓には解剖学的葉区分と機能的葉区分がありますが,
外科手術における左葉は,機能的葉区分における左葉を指します.
中肝静脈は肝右葉と肝左葉の境界部を走行するため,
肝左葉切除や肝右葉切除では中肝静脈が肝切離面に露出します.
[正解]b

 

(『第110回医師国試問題解説』)→237ページ参照
(QBオンライン)http://qb-online.com/#/list/110D11
—————-

 

今後は特に,臨床を意識しながら一般問題にのぞむ
(臨床症状や治療を理解するために必要な病態の知識,外科的手術で使う解剖の知識,など)
ことが重要です.

 

この件については,総論・各論の問題数の内訳などが厚労省から発表され次第,
順次,分析を加えてご紹介していきます.

 

 

 

◆出題内容に大きな変化はないが,新しい疾患・用語が多数!◆

 

出題内容に大きな変化はないと言いましたが,
社会的背景をふまえた用語や,各科で注目されている疾患が
多数追加されています.

 

公衆衛生では,地域医療に関するさまざまな用語が加えられました.
「地域包括ケアシステム」「地域医療構想」「地域産業保健推進センター」など,
地域医療に関してさらに詳しい知識が問われていくことになりそうです.

 

肝臓の手術後に多数の患者が亡くなった事件は記憶に新しいですが,
こうした背景を受けてか,「医療事故防止マニュアル」「医療安全管理部門,リスクマネジャー」
「医療事故調査制度」などが,必修問題に加えられています.
医師に必須の知識として,早速問われそうですね.

 

「難病の患者に対する医療等に関する法律」(難病法)も今回新たに加わりました.
これまで国の医療費助成の対象となる疾患は「特定疾患」とよばれていましたが,
2015年から「難病法」が成立し,対象疾患は「指定難病」とよばれることになりました.
対象疾患も増えており,2015年に新たに指定された難病が
今回の出題基準でいくつか加えられています(「家族性地中海熱」「遅発性内リンパ水腫」など).

 

臨床科目では,消化器,代謝,免疫・膠原病,感染症,呼吸器,整形外科などで
疾患の追加(入れ替え)が目立ちました.
なかでも,新規に追加された用語「サルコペニア」「フレイル(の評価)」
分野を越えて注目されている概念です.
加えて,整形外科学会が近年提唱してきた
「ロコモティブシンドーム(運動器症候群)」「運動器不安定症」なども関連があり,
これら4つの用語を整理していきましょう.

 

 

 

今回はざっくりと,新しい出題基準の注目ポイントをご紹介しました.
次回からは,新たに加わった疾患や用語を具体的に紹介していきます.
お楽しみに!

 

(編集部A)

 

 

第1回:適用はいつから?
第2回:何が変わったのか~問題数100問減の影響は?~
新ワード紹介(1)非閉塞性腸管虚血症(NOMI)
新ワード紹介(2)胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)
新ワード紹介(3)腫瘍性低リン血症性骨軟化症(TIO)
新ワード紹介(4)nephrogenic systemic fibrosis(NSF)
老年医学にかかわる新ワード4つ
新ワード紹介(5)サルコペニア
新ワード紹介(6)運動器不安定症
新ワード紹介(7)運動器症候群(ロコモティブシンドローム)
新ワード紹介(8)フレイル
新ワード紹介(9)家族性低尿酸血症
新ワード紹介(10)タンデムマス・スクリーニング
新ワード紹介(11)ジカウイルス感染症
新ワード紹介(12)持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)
新ワード紹介(13)アシネトバクター感染症
新ワード紹介(14)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)
新ワード紹介(15)難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)
新ワード紹介(16)ジュネーブ宣言
新ワード紹介(17)システマティックレビュー
新ワード紹介(18)産科医療補償制度
新ワード紹介(19)医療事故調査制度
新ワード紹介(20)地域医療構想/地域包括ケアシステム
新ワード紹介(21)好酸球性食道炎(EoE)
新ワード紹介(22)ACTH非依存性両側副腎皮質大結節性過形成(AIMAH)
新ワード紹介(23)被包化膵臓壊死(WON)
新ワード紹介(24)高IgM症候群
新ワード紹介(25)重症先天性好中球減少症(SCN)
新ワード紹介(26)家族性地中海熱(自己炎症性疾患)
新ワード紹介(27)進行性多巣性白質脳症(PML)
新ワード紹介(28)ダメージコントロール(DCS)
新ワード紹介(29)ロービジョンケア

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