新着記事

国試

[5・6年生向け]平成30年版医師国家試験出題基準 特集
第2回:新ワード紹介(21)好酸球性食道炎(EoE)

こんにちは,編集Aです.
平成30年版医師国家試験出題基準」(厚労省のページへ移動します)(適用は112回国試から)
についての連載をお送りしています.

 

【前回の記事】第1回:出題範囲・概要のおさらい

 

さて今日からは,昨年に引き続き
新しく出題基準に加わった用語をいくつかピックアップしてご紹介していきます.
今日は「好酸球性食道炎」(+好酸球性中耳炎,好酸球性副鼻腔炎)を取り上げます.

 

◆好酸球性食道炎(EoE:eosinophilic esophagitis)

各論Ⅵ「消化器・腹壁・腹膜疾患」5A「消化管共通疾患―炎症,感染症」消化管アレルギー・好酸球性胃腸炎に併記される形で,今回新たに入った疾患です.
定義はまさにこのカテゴリ通り「消化管アレルギー」のひとつで,読んでそのまま,好酸球が原因で食道に炎症が起こる疾患です.

 

…といって終わったら怒られますね(汗).もう少し掘り下げましょう.近年注目されている疾患なんです.
(1990年代,日本では医師の間でもそれほど知られていなかった疾患群なのですが,
ここ数年,各科の学会で独立してセッションが設けられるほどになっています)

 

 

好酸球性食道炎(EoE)は,「好酸球性消化管障害(EGIDs)」の一つです.
好酸球が消化管粘膜に浸潤し,慢性の炎症と消化管粘機能障害を引き起こす病態で,
このうち食道の扁平上皮粘膜層中に多数の好酸球浸潤を認めるものを EoEといいます(「イヤーノート2018」A-33より).
1993年にAttwoodによって疾患概念が確立されました.比較的新しい疾患ですね.

 

※出題基準にもともと入っている「好酸球性胃腸炎(EGE)」も,EGIDsの一つです.

 

はっきりとした原因はまだ不明ですが,
食物や空気中の抗原により,消化管粘膜にアレルギー反応(=過剰な免疫応答)が生じることにより,粘膜炎症・機能障害を引き起こすと考えられています.

 

 

で,なぜEoEが消化管領域で注目されているかというと,
「症状がGERD(胃食道逆流症)と似ているから」なんです.

 

EoEの臨床症状は,嚥下障害,胸痛,胸やけ,呑酸など.
…GERDとほぼ合致しますよね.

 

そのため,上部消化管内視鏡検査で食道に白斑や縦走溝,狭窄を認めること
(GERDの場合はmucosal breakとよばれる粘膜傷害が特徴〔病気がみえるvol.1(5版)p.60に画像あり〕),
さらに,生検で好酸球の浸潤を認めることが,診断のポイントになります.
EoEであればアレルゲン除去(食事療法)が必要ですので,鑑別が重要なんですね.

 

 

ちなみになぜ医師国試出題基準にEGEだけが先に入っていたかというと,
日本ではEGEの患者さんのほうが多いからです.これは今でも変わりません.
しかしEoEが近年注目されているのは,欧米でここ15年ほどの間に急激に患者数が増えたためです.
最近は,PPIが効かないGERDのなかにEoEの症例が含まれているのではないか,と考えられるようになっており,さらに研究が進められています.

 

 

これまでの国試は,EGE(好酸球性胃腸炎)が
106回と107回にいずれも1問ずつ,一般問題の間違い選択肢として登場しています.
106I10 107A7 ]…QBオンラインにログインしていれば直接飛べます.

 

今回EoEが追加されたこともふまえると,EGE・EoEが正解選択肢として登場する日も近いかもしれません.
疾患概念から治療まで,基本事項だけでも確認しておきましょう.

 

 

実は消化管領域に限らず,好酸球性疾患は
近年,各領域で注目されている疾患です.
H30年版出題基準でも,好酸球性食道炎のほかに,
「好酸球性中耳炎」「好酸球性副鼻腔炎」も追加されています.
もともと記載されていた「好酸球性胃腸炎」「好酸球性肺炎(肺疾患)」を含め,計5疾患になりました
慢性好酸球性白血病好酸球性多発血管炎性肉芽腫症も含めると7疾患).

 

好酸球性中耳炎も,1995年に提唱されたばかりです.
気管支喘息に合併しやすいほか,好酸球性副鼻腔炎の重症例で合併しやすいとされています.
アレルギー疾患全般に言えることですが,アレルギーを背景にもつ患者さんは,複数のアレルギー疾患を合併しやすいのでしたね
(たとえばアレルギー性鼻炎と喘息,など).
アレルギーマーチ」という言葉も,一般の人にもかなり知られるようになってきました.

 

好酸球性副鼻腔炎も,耳鼻科領域でのトピック疾患の一つです.
慢性副鼻腔炎のうち,難治性のものの多くがこれにあたるのではないかと考えられています.
前回の出題基準(H25年版)では「副鼻腔真菌症」が追加され,すぐに国試に出題された経緯もあります107A22
副鼻腔の疾患は(好酸球性副鼻腔炎も含めて)一度整理しておくとよいかもしれません.

 

そして,ここでは割愛しますが,好酸球性疾患を理解するために一度,
免疫機構(Toll-Like Receptorのパターン認識,ヘルパーT細胞の分化誘導など)にも立ち返りながら学習してみましょう.
『イヤーノート』にも免疫の章があるので,一度目を通してみてください.20ページ弱で,キーワードをまとめています(F-2~20ページ).

 

 

▼EoE,EGEについて詳しく学びたい方は,こちらの文献がオススメです.
木下芳一 編:好酸球性消化管疾患診療ガイド.南江堂,2014

 

他にもいろいろと参考になる記事がインターネット上にあがっていますので,「好酸球性食道炎 トピック」などで検索してみてください.
内視鏡画像も一度見ておきましょう.

 

(編集部A)

同シリーズの書籍・関連書籍