【平成30年版医師国家試験出題基準】新ワード紹介(9)家族性低尿酸血症
編集部Sです.
「平成30年版医師国家試験出題基準」(適用は112回国試から)に
新たに加わった用語をピックアップしてご紹介しています.
今日は医学各論Ⅷ-2「血管・尿細管・間質病変」のC「尿細管機能異常」に追記された
「家族性低尿酸血症」です.
目次
家族性低尿酸血症って?
腎近位尿細管で尿酸再吸収に働くトランスポーター(URAT1など)の遺伝子異常により,
尿酸再吸収の低下をきたした結果,尿中への尿酸排泄量が増加し
低尿酸血症を呈する疾患です.
日常生活では問題はありませんが,
合併症として,運動後急性腎不全,尿路結石に注意を要します.
運動後急性腎不全は,
長距離走などの有酸素運動後に発症するミオグロビン尿性急性腎不全とは異なり,
短距離走などの無酸素運動後に急激な腰背部痛を伴って発症し,
若い男性に多くみられるのが特徴です.
CT所見から,腎血管攣縮による虚血性腎不全と考えられていますが,低尿酸血症との関連性を含む発症機序は明らかにされていません.
腎不全は一過性で,透析を要しないことが多いです.
本症の患者は,健診で低尿酸血症を指摘されることが多いです.
確定診断は遺伝子解析によりますが,疑い例も含め若年者では特に,
1)強い無酸素運動を避ける
2)運動前後で十分な水分補給を行い,非ステロイド性抗炎症薬を使用しない
などの指導が重要となります.
112〜116回での出題状況は?
調査したところ,
112回~116回での出題はありませんでした!
今後選択肢に登場してくる可能性もあるので,慌てないように基本事項をおさえておきましょう.
(編集部S)
■第1回:適用はいつから?
■第2回:何が変わったのか~問題数100問減の影響は?~
■新ワード紹介(1)非閉塞性腸管虚血症(NOMI)
■新ワード紹介(2)胃前庭部毛細血管拡張症(GAVE)
■新ワード紹介(3)腫瘍性低リン血症性骨軟化症(TIO)
■新ワード紹介(4)nephrogenic systemic fibrosis(NSF)
■老年医学にかかわる新ワード4つ
■新ワード紹介(5)サルコペニア
■新ワード紹介(6)運動器不安定症
■新ワード紹介(7)運動器症候群(ロコモティブシンドローム)
■新ワード紹介(8)フレイル
■新ワード紹介(9)家族性低尿酸血症
■新ワード紹介(10)タンデムマス・スクリーニング
■新ワード紹介(11)ジカウイルス感染症
■新ワード紹介(12)持続可能な開発のための2030アジェンダ(SDGs)
■新ワード紹介(13)アシネトバクター感染症
■新ワード紹介(14)ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)
■新ワード紹介(15)難病の患者に対する医療等に関する法律(難病法)
■新ワード紹介(16)ジュネーブ宣言
■新ワード紹介(17)システマティックレビュー
■新ワード紹介(18)産科医療補償制度
■新ワード紹介(19)医療事故調査制度
■新ワード紹介(20)地域医療構想/地域包括ケアシステム
■新ワード紹介(21)好酸球性食道炎(EoE)
■新ワード紹介(22)ACTH非依存性両側副腎皮質大結節性過形成(AIMAH)
■新ワード紹介(23)被包化膵臓壊死(WON)
■新ワード紹介(24)高IgM症候群
■新ワード紹介(25)重症先天性好中球減少症(SCN)
■新ワード紹介(26)家族性地中海熱(自己炎症性疾患)
■新ワード紹介(27)進行性多巣性白質脳症(PML)
■新ワード紹介(28)ダメージコントロール(DCS)
■新ワード紹介(29)ロービジョンケア