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[5・6年生向け]平成30年版医師国家試験出題基準 特集
第6回:新ワード紹介(25)重症先天性好中球減少症(SCN)

編集部Sです.
平成30年版医師国家試験出題基準」(適用は112回国試から)に
新たに加わった用語をピックアップしてご紹介しています.

 

今日は,医学各論Ⅺ「アレルギー性疾患,膠原病,免疫病」原発性免疫不全症の項に追加された
重症先天性好中球減少症についてです.

 

◆重症先天性好中球減少症(SCN:severe congenital neutropenia)

 

好中球の質的異常としては慢性肉芽腫症が有名ですが,
重症先天性好中球減少症(SCN)は好中球の量的異常の代表的疾患で,
好中球減少を示します.

 

SCNは,生後より気道感染症,歯肉炎,肛門周囲膿瘍,皮膚感染症などの細菌感染症を反復し,
肺炎,敗血症などの重症感染症を合併します.
末梢血好中球数は200/µL未満となり,
骨髄検査では前骨髄球,骨髄球での成熟障害を認めます.

 

10種類以上の様々な原因遺伝子が同定されていますが,最も頻度が高いのは
好中球エラスターゼ(NE:neutrophil elastase)をコードするELANE遺伝子の異常で,
常染色体優性遺伝を示します.

 

同じ遺伝子変異でも,SCNではなく,
周期性好中球減少症(約21日周期の好中球の増減を呈する疾患)となる症例も認めます.
詳細な病態は不明ですが,ELANE蛋白質の構造異常や局在変化などにより
細胞死が誘導されるのではないかと推定されています.

 

次いで頻度が高いのは
HAX1遺伝子の異常(常染色体劣性遺伝)であり,
Kostmann症候群とも呼称されています.

 

いずれの原因によるSCNでも重症細菌感染症を反復することから,
抗菌薬による感染予防が必須です.
またSCNでは乳幼児期に死亡する例が多くみられましたが,
顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)が投与されるようになり,
大半の症例で有効性を示すとともに,長期生存が可能になりました.
根治治療としては,造血細胞移植が選択されます.

 

原因遺伝子としてELANEは記憶しておきましょう.
加えてHAX1も覚えておいてもよいでしょう.
前者は常染色体優性遺伝疾患であり,周期性好中球減少症を呈する症例もあります.
後者は常染色体劣性遺伝疾患です.
国試では抗菌薬の予防投与,G-CSFの投与,根治治療としての造血細胞移植など,
予防法・治療法が問われる可能性が考えられます.
SCNでは好中球数が200/µL未満となることも覚えておきましょう.

 

 

※監修:森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学分野 教授)

 

(編集部S)