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[5・6年生向け]平成30年版医師国家試験出題基準 特集
第7回:新ワード紹介(26)家族性地中海熱(自己炎症性疾患)

編集部Sです.
平成30年版医師国家試験出題基準」(適用は112回国試から)に
新たに加わった用語をピックアップしてご紹介しています.

 

今日は,免疫不全シリーズの最終回.
医学各論Ⅺ「アレルギー性疾患,膠原病,免疫病」の原発性免疫不全症の項に追加された
家族性地中海熱(自己炎症性疾患)についてご紹介します.

 

◆家族性地中海熱(FMF:familial Mediterranean fever)

 

 

家族性地中海熱は,発作性に起こる発熱と腹部,胸部の疼痛や関節腫脹などの症状が繰り返される遺伝疾患で,
自己炎症性疾患に分類されます.
地中海沿岸や中近東の人に多いですが,日本でも500名以上が診断されています.

 

典型例では突然高熱を認め,半日から3日間持続します.
発熱は周期性に起こり,その間隔は4週間毎が多いです.
随伴症状として漿膜炎による激しい腹痛や胸背部痛を訴えます.

 

発作時にはCRP,血清アミロイドAの著明な高値を認め,
発作間欠期にこれらは陰性化します.
発作の抑制にはコルヒチンが約90%以上の症例で奏効します.
長期的に炎症が継続するとアミロイドーシスに至ることもあります.

 

原因遺伝子としてMEFV遺伝子が知られており,常染色体劣性遺伝形式をとります.
原因遺伝子産物はPyrin(パイリン)であり,炎症経路を抑える働きをもつ蛋白質とされています.

 

自己炎症性疾患は,自然免疫の異常によって,
炎症反応が自然に起こり臓器障害を合併する疾患であり,
周期性発熱を認めるものも少なくありません.
(一方,獲得免疫の異常によって発症する疾患は「自己免疫疾患」と呼称されます.)

 

自己炎症性疾患は狭義のものでも15種類以上存在し,
発熱,関節炎,皮疹などを認める疾患では鑑別すべき重要な疾患です.
広義のものでは全身型若年性特発性関節炎などがあり,
こちらは膠原病・リウマチ疾患との鑑別で重要となります.
家族性地中海熱はこれらの中で最も頻度が高い疾患の1つです.

 

周期性発熱を呈すること,
胸痛,腹痛,関節痛などを合併すること,
発作間欠期には炎症反応を認めないこと,
コルヒチンが奏効すること,
長期的な炎症ではアミロイドーシスに至ることがあること,などが重要です.

自己炎症性疾患という疾患の概念(自然免疫系の異常)に関して問われたり,
代表的疾患例の選択肢として問われたりする可能性もあるので,
ポイントをおさえておきましょう.

 

※監修:森尾 友宏(東京医科歯科大学大学院 発生発達病態学分野 教授)

 

(編集部S)