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【平成30年版医師国家試験出題基準】新ワード紹介(4)nephrogenic systemic fibrosis(NSF)

編集部M.Dです.

平成30年版医師国家試験出題基準」(適用は112回国試から)に
新たに加わった用語をピックアップしてご紹介しています.

今日は医学総論の「画像検査」の領域から,nephrogenic systemic fibrosis(NSF)を取り上げます.
和訳は「腎性全身性線維症」です.

目次

腎性全身性線維症(NSF)とは

112〜116回医師国家試験での出題状況は?

腎性全身性線維症
(NSF:nephrogenic systemic fibrosis)

ガイドラインの表

医学総論Ⅷ-6-O「造影時期共鳴画像検査〈造影MRI〉」「造影剤と副作用」の備考として追記されました.

あたかも強皮症のように,四肢や体幹の皮膚が肥厚と硬化を呈する疾患です.
1997年ごろから報告され始め,それ以前にはなかった新たな疾患と考えられています.

報告されたNSFのほぼ全例が腎機能低下患者か透析患者であることから,腎機能低下は本症発症の背景因子として重要と考えられ,特に,

推算糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73m2未満(透析患者を含む)

で,NSF発症率が高いとされています.

また,発症には,造影MRI検査で使われるガドリニウム(Gd)造影剤が深く関与していると考えられています.腎機能が低下した患者にGd造影剤が投与されたのち,数日から数ヵ月で皮膚の腫脹や硬化を呈して発症します.

NSFはいったん発症すると有効な治療法がなく,予後の悪い疾患(死亡率20~30%)であるため,予防が重要です.今のところ,NSFを予防するためには,

1)Gd造影剤は,その必要性を考慮したうえで使用する.
2)eGFR 30mL/分/1.73m2未満あるいは透析中の患者では,Gd造影剤の使用は控える.
3)eGFR 30以上60未満の患者では,Gd造影剤使用のリスクとベネフィットを考慮して,NSF発症報告の少ないGd造影剤を必要最少量使用する.


などが推奨されています.

112〜116回医師国家試験での出題状況は?

113回国試でNSFが出題されました.
リスク因子をおさえておくことがポイントです!
mediLinkIDを持っている方はQBオンラインで問題を見ることができます.

113E16

※監修:赤井 靖宏(奈良県立医科大学地域医療学講座 教授,臨床研修センター センター長)

※本連載は2016年に公開された記事に,最新の国試での出題状況を加筆して再配信したものです.掲載情報の最終責任は編集部にあることをご了承ください.

(編集部M.D)

第1回:適用はいつから?
第2回:何が変わったのか~問題数100問減の影響は?~
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新ワード紹介(4)nephrogenic systemic fibrosis(NSF)
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