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【平成30年版医師国家試験出題基準】新ワード紹介(4)nephrogenic systemic fibrosis(NSF)

編集部Sです.
平成30年版医師国家試験出題基準」(適用は112回国試から)に
新たに加わった用語をピックアップしてご紹介しています.

今日は医学総論の「画像検査」の領域から,
nephrogenic systemic fibrosis(NSF)を取り上げます.
和訳は「腎性全身性線維症」です.

 

◆腎性全身性線維症
(NSF:nephrogenic systemic fibrosis)

 

医学総論Ⅷ-6-O「造影時期共鳴画像検査〈造影MRI〉」
「造影剤と副作用」の備考として追記されました.

あたかも強皮症のように,
四肢や体幹の皮膚が肥厚と硬化を呈する疾患です.
1997年ごろから報告され始め,
それ以前にはなかった新たな疾患と考えられています.

報告されたNSFのほぼ全例が腎機能低下患者か透析患者であることから,
腎機能低下は本症発症の背景因子として重要と考えられ,
特に,
推算糸球体濾過量(eGFR)30mL/分/1.73m2未満(透析患者を含む) ※2は上ツキ文字
で,NSF発症率が高いとされています.

また,発症には,造影MRI検査で使われる
ガドリニウム(Gd)造影剤が深く関与していると考えられています.
腎機能が低下した患者にGd造影剤が投与されたのち,
数日から数ヵ月で皮膚の腫脹や硬化を呈して発症します.

NSFはいったん発症すると有効な治療法がなく
予後の悪い疾患(死亡率20~30%)であるため,予防が重要です.
今のところ,NSFを予防するためには,

1)Gd造影剤は,その必要性を考慮したうえで使用する
2)eGFR 30mL/分/1.73m2未満あるいは透析中の患者では,Gd造影剤の使用は控える
3)eGFR 30以上60未満の患者では,Gd造影剤使用のリスクとベネフィットを考慮して,NSF発症報告の少ないGd造影剤を必要最少量使用する

などが推奨されています.

Gd造影剤は血液透析で効率よく除去されるため,
腎機能低下患者でやむを得ずGd造影剤を使用する場合には,
事前に腎臓内科医と連携し,Gd造影剤使用後速やかに
血液透析を施行することが重要と考えられています.

 

※監修:赤井 靖宏(奈良県立医科大学地域医療学講座 教授,臨床研修センター センター長)

(編集部S)

 

 

 

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