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【平成30年版医師国家試験出題基準】新ワード紹介(1)非閉塞性腸管虚血症(NOMI)

編集Aです.
平成30年版医師国家試験出題基準」(適用は112回国試から)
についての連載をお送りしています.

【前回までの記事↓】
第1回:適用はいつから?
 ■第2回:何が変わったのか~問題数100問減の影響は?~

さて今日からは,
新しく出題基準に加わった用語をいくつかピックアップして
1つずつご紹介していきます(※紹介順はランダムです).

 

◆非閉塞性腸管虚血(症)(NOMI:non-occlusive mesenteric ischemia)


医学各論IV-10「急性腹症」のD「血管病変」に,
腸間膜動脈閉塞症に併記される形で追加されました.

 

1958年にEndeにより初めて報告された疾患概念で,虚血性腸疾患の1病態です.
国内では現在,「腸間膜血管に器質的な閉塞を認めないにもかかわらず,
その支配領域の腸管に虚血性病変を発症する疾患
と定義されています(日本腹部救急医学会).

 

虚血性腸疾患のなかで代表的な「虚血性腸炎」との異同が議論されており,
「イヤーノート」では昨春(イヤーノート2016)から(A-105ページ),
「病気がみえる 消化器」でも今年の改訂版(第6版)から(176ページ),
用語解説を掲載しています.

 

 

 

最近,欧米では腸間膜虚血という大きな概念を
「急性腸間膜虚血」と「慢性腸間膜虚血」に分けています.
急性腸間膜虚血は,発症はまれですが,致死率が高いため重要視されており,
下記のように分類されています.
1)(腸間膜)動脈塞栓症
2)(腸間膜)動脈血栓症
3)腸間膜静脈血栓症
4)非閉塞性腸間膜虚血(NOMI)

 

1)~3)は血管閉塞性の虚血をきたす病態ですが,
NOMIは,腸間膜動脈の主幹部に器質的な血管閉塞がないにもかかわらず,
腸管の虚血をきたします.
腸間膜動脈の還流低下により,血管攣縮が高度に遷延して発症に至るとされ,
心筋梗塞,うっ血性心不全,敗血症や循環血液量低下などの全身的なショック
発症のきっかけになることがわかっています.

 

特に,ジギタリス製剤血管収縮薬利尿薬を服用している患者では注意が必要です.
腸間膜の収縮,腸間膜血管攣縮,末梢腸間膜動脈枝の攣縮などの結果,
器質的閉塞を伴わずに,腸管虚血をきたすのです.
術後に交感神経作動薬を投与された患者や,透析による血圧低下なども危険因子です.

 

病理学的には内膜肥厚や動脈炎が認められることから,
動脈硬化性の高血圧症,うっ血性心不全,虚血性心疾患などの心血管系疾患
さらに加齢も関連すると考えられています.

 

好発部位は上腸間膜動脈領域
壊死腸管が,非連続的かつ分節状に,広範囲に分布するのが特徴です.

 

この診断には,選択的血管造影検査が基本です.
上腸間膜動脈の狭小化・不整像,血管の攣縮,
腸管壁内血管の造影不良,上腸間膜動脈造影における造影剤の大動脈への逆流,
などにより,腸間膜動脈の攣縮を診断します.
最近ではMDCTによる診断も進んでいます.

 

 

 

虚血性腸炎も器質的な閉塞を伴わない虚血性病変ですが,
一般に下腸間膜動脈(脾弯曲部)に好発すること,
壊死型が少なく一過性の経過をとる場合が多いこと,血管造影にて異常を認めないこと,
などでNOMIと区別されます.
しかし,どちらも非閉塞性腸間膜虚血性病変であり,
同一疾患か,あるいは異なる病態であるかについてはまだ一定の見解がありません.
壊死型の虚血性腸炎をNOMIに含めるという考えもあるようです.

 

 

 

国試対策としては,疾患概念をおさえるとともに,
自覚症状がないまま病態が急激に進行する例が多いため
予後不良(→適切な診断が必要)であることを意識しましょう.
術後・心不全症例などにおいて,小腸壊死をきたした症例として登場するかもしれません.
血管造影所見血管閉塞を伴わない攣縮所見がある,など)もおさえておきましょう.

 

 

 

※監修:押谷 伸英(社会福祉法人石井記念愛染園附属愛染橋病院 副院長)

 

(編集部A)

 

 

第1回:適用はいつから?
第2回:何が変わったのか~問題数100問減の影響は?~
新ワード紹介(1)非閉塞性腸管虚血症(NOMI)
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